二十八服目 怪氣学園S(4)
オワラネー
ジカンガネー
パーソナルスペースガネー
ヤ メ テ
ヤ メ テ
ヤ メ テ
ヤ メ テ
体育館倉庫の中に、声が響き渡る。
女性の声だ。しかも、泣いているのか。
その声は、うまく聞き取りにくかった。
「ま、また幽霊かよ!」
「お、おいヤバいんじゃねぇのか!?」
須藤が意識不明の重体になった原因である幽霊をかつて目撃した取り巻き達が、慌てた様子で倉庫の出入口へと向かった。
ハタから見れば情けない行動ではあるが、戦術としては間違っていない。出入口を確保しない状態で戦いが始まれば、いざという時に撤退し、態勢を整えるという選択肢を取る事ができないからだ。
しかし、そんな二人の希望はあっさり崩れた。
なんとその出入口が開かなくなっていたのだ。
もしかして幽霊が、騒霊現象で閉ざしたのか。
ニ ガ サ ナ イ
ニ ガ サ ナ イ
コ ロ シ テ ヤ ル
幽霊の声が、再び響き渡る。
逃げるという選択肢を選んだせいか、より物騒になった声だ。
「「ッ!?」」
パイプ煙草の煙を吸っていたおかげか。
カノアと璃奈はすぐに、どこから聞こえた声なのか気付いた。
背後。
人間の死角の一つ。
気付くや否や、二人はすぐに振り返る。
するとその直後。
ドガンッと音を立てて、二人は倉庫の壁へと叩き付けられた。
「ッ!? 璃奈!」
一瞬の事だった。
あまりに早くて、陽は何が起こったのか把握できなかった。
彼女はすぐに、音がした方向へと、美彩と霧彦、そして須藤の取り巻き達と共に振り向き……絶句した。
――半透明な女性が。
――制服をズタズタにされた女生徒の幽霊が。
――その両手で、カノアと璃奈の口を塞ぎつつ。
――そのまま二人を、その驚異的な力で壁に磔にしていた。
パイプ煙草の煙を防ぐのが目的か。
まさかこの女生徒の幽霊は、彼女達が使う煙草の煙の事を知っているのか。
「ッ!? クロードくん!!」
幽霊に関する情報を、まだ何も得られていない……下手に動けば、さらなる危険を招きかねない状況ではあるが、クラスメイトが襲われているのを見て、反射的に霧彦は動く。
しかし、その直後。
オ ト コ ナ ン テ
キ ラ イ ダ イ キ ラ イ ! !
霧彦は。
そしてついでに取り巻き達も。
カノアと璃奈が磔にされた壁とは反対の方向へと吹き飛ばされた。
しかしそれでも、書くしかない。




