表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/413

   十九服目 第一回捜査会議!!


「あら。カノアちゃんのお友達?」

「うむ!! ワシの潜入捜査に協力してくれる仲間じゃ!!」


 意気揚々と、霧彦達と帰宅したカノアは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()一美の質問に答えた。


 一美はそんなカノアと、その(あと)に続いた四人の男女を微笑(ほほえ)ましく見守り……途中で「男女比率的に、あの男の子大丈夫かしら」と心配になった。


     ※


 カノアが居候している柳瀬家は、清雲高校から自転車で三十分も掛からない場所にある…………ボロアパートの一室にあった。

 その様相(ようそう)に霧彦達は一瞬言葉を失ったが、カノアが意気揚々と入っていくので、とりあえず彼らは一緒に笑顔で入る事にした。


「ではまず、これまでの事件について整理しておくのじゃ!!」


 布団と机、(たん)()しか置かれていない、あまりにも女子らしいとは言えない質素な自室に、全員が入るのを確認すると、カノアは部屋の中心に、円卓と座布団を移動させ、そこにみんなが座ると……雰囲気を出しながら改めて言った。


 すると、それのどこがウケたのか。美彩は座布団に座ってから笑顔で「パチパチパチパチーー!!!!」と、実際に手を叩きつつ擬音を口にした。


「最初の……A組で起きた事件!! 先日、クラスメイトのチハルに聞いて知ったが、ワシが目撃した事件の中心人物はいわゆるゴス系と分類される存在……ようはワシの故郷であるアメリカ大陸にはごまんといるタイプの人間じゃなッ!!」


「ごまんもいるのか」

 実際にそうかは分からないが、そう言い切るカノアの勢いに押されて、陽は苦笑した。


「そして彼女を、ワシの知り合いの〝そっち方面〟に詳しい学者に調べてもらったところ……彼女が例の煙草を使っていたと判明した!!」


()(わい)だ。言い方の変更を要求するッ」

「いや霧彦、お前の頭ン中が卑猥だよ」


 思わず霧彦は、風紀委員としてツッコミを入れたが、ハタから聞けばボケだったため、璃奈が率先(そっせん)してツッコんだ。


「そして例の煙草を吸ったそのゴス系女子は、その煙草の影響で霊媒体質となり、波長が合う浮遊霊に一方的に憑依され……あのような事件が起きた。そしてこれはワシが実際にその霊と対峙し、その(あと)に判明した事じゃが……どうやらその浮遊霊は、清雲高校に怨みを持つ存在のようじゃった」

 カノアは急に、テンションを下げながら説明した。


「う、怨みって……イジメに()った、とか?」

 美彩が首を(かし)げながら訊いた。


「そうかもしれぬ」

 カノアは静かな声で即答した。


「そして第二の事件!! 廊下を走る幽霊!!」

 しかしすぐに、またテンションを上げながら話題を変えた。


「最初にヤツを見た時は、まだワシにしか見えんほど……時間が()てば、自然消滅するほど存在が希薄じゃった……が、しかし!! ワシが階段から落ち、みんなに迷惑を掛けた今日は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!! さらに言えばワシの煙を受けて浄化されつつも、ワシに対し呪いをかけるという反撃をした事実からして、ヤツが何者かによるバックアップを受けた可能性は非常に高い!!」


「バックアップって……まさかその、密売人の仕業?」

 陽は訊いた。


「おそらくそうじゃ!」カノアは即答した。「というかこのタイミングで、ワシに害を与えようなどと考えるのは、密売人くらいしかおらん!! ワシが心霊関係の事件を解決してみせたが(ゆえ)に、邪魔なワシを清雲高校から排除したいのじゃ!!」


「いったい売人は、何が目的でそんな危険な物をばら()くんだ?」

 霧彦は単純な疑問を口にした。


「金銭が目的なのか。それとも、混乱を招く事が目的なのか……まったく理解できない。下手をすれば買い手の予想外の暴走も起こるだろうに」


「そこは……ワシも疑問なんじゃ」

 カノアは再びテンションを落とした。


「その目的さえ掴めれば、事件はより早く解決できそうなんじゃが」


「なるほど。とにかく今は情報集めが大事か」


 霧彦は、己の(あご)に手を当て考え込んだ。

 そしてすぐに、難しい顔でありつつも結論を出した。


「じゃあ当分は、心霊絡みの事件とやらを解決しつつ、そういう怪しい動きをする売人らしき人物を捜し出す……って事で、いいか?」


「うむ!! 当分はそれで頼む!!」

 カノアは再び、元気を取り戻した。

「あと伝説のシロギャルの煙術――エル・フマドール様の使徒が使う、オリジナルの浄霊術の特訓も活動内容に組み込ませてほしいのじゃ!!」


「はぁぁ!? なんでまたアタシ!?」

 いきなり話の中心にされた璃奈は、再び目を見開いた。


「ワシに何かあった時、代わりに浄霊できねば清雲高校が危機に(おちい)るからじゃ!! いうワケで伝説のシロギャルよ――」


 カノアは太陽のような笑顔で言った。


「――エル・フマドール様の使徒の一人として、貴様には期待しておるぞ!!」



 ――……女子四人、男子一人のハーレム状態なのにあの子……何も感じないんでしょうか?


※隣の部屋でご飯の支度をしながら捜査会議の内容を壁越しに聞いてしまった一美の心中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハーレムじゃないですかー!! カノアちゃんの喋り方が好きです。 はい、めちゃくちゃ影響を受けております( ˘ω˘ )
2022/09/01 23:32 退会済み
管理
[良い点] ハーレム状態なのに……って、まあ、霧彦くんですもんね!(笑) そして、伝説のシロギャルは本人の意志とは関係なく、あれよあれよと中心人物に……!(笑) ……にしても、「不完全なる煙草」っ…
[一言] おお!! 黒幕っぽい存在が明らかに!! こういう姿が見えないラスボス的な存在って、カッコイイですよね! そしてハーレムになにも感じない霧彦マジ霧彦ww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ