零服目 謎の東洋人
試しに書いてみます。
ほとんど勢いで書いているのでご意見とかあれば遠慮なくどうぞ。
私がまだ、この世界の仕組みを知らされていなかった頃の事だ。
週に二、三回くらいの頻度だっただろうか。中米の田舎の町にある、私が両親と父方の祖父と住んでいる家に、一人の東洋人の男が通っていた。
彼は毎回、私の家の戸を乱暴に開くなり、ロクに挨拶もせず、すぐに私の祖父を呼んでくれと、私の両親に頼んだ。
しかし両親は、男を咎める事はせず……それどころか血相を変えて、すぐに祖父を呼びに祖父の部屋へと向かった。
しばらくして、祖父は私の両親に体を支えられながら玄関に現れた。
男は祖父の姿を認めるなり、すぐに家中に響くような大きな声で話し出した。
話す内容は、当時の私にはチンプンカンプンだったが……祖父は内容を理解しているのか時々、うん、うん、と口にしながら頷いた。
その様子を離れた場所から見ている私の存在に母が気づいたのは、そのすぐ後の事だ。
「ちょっとお母さんと町に買い物に行こうか」
母は笑顔でそう言った。けど私には、母が怒っているように見えた。
今思えば、ただ単に東洋人のする話を聞き、緊張をしていただけだと思えなくはないのだが……少なくともその時の私にはそう見えた。
買い物から帰ると、すでに男の姿はなかった。
玄関には、緊張した様子の父と祖父が立っていた。
男との用事は無事終わったみたいだ。けど、あの男がいったい何者で、父と祖父と何の話をしていたのかは結局、分からずじまいだった。
買い物中、母に試しに訊ねてはみた。しかし私が知るにはまだ早い、の一点張りで……話が平行線のまま買い物を終えた。
――父と祖父は、母とは違って答えてくれるだろうか?
部屋に戻るまでの間、そんな事を思っていたが、母があれだけ頑固に口をつぐむのだから、おそらく父と祖父も口を開かないだろう。
というかそれ以前に、男が話していた内容は、先ほど言った通り私にはチンプンカンプンなのだから、教えてもらっても意味がない。
だから私は、それから一生懸命勉強した。
東洋人の男の話を、少しでも理解できるように。
そして数年後。
私が、都会のハイスクールに入る前の事だった。
その東洋人の男が……故郷である日本で亡くなったという知らせが入った。




