第3話
私とコンビを組んでください──。
春のほんのりと暖かい風と周りの雑音が身体を取り巻いてる中、少しか細く透き通った少女の声がまるで頭に話しかけてるレベルで俺の脳裏の底まで届いた。
あぁ、ビー玉みたいに美しい声だ。
姿も分からない。誰に向かって言った言葉なのかすら分からない。なのに俺はその一言に魅了された。
「あのー、聞いてました?私とコンビを組みませんか?って言ったんですけど。」
少女が少々心配そうに質問してくる。
もし仮に声に出して俺に言ってます?と確認して違う人に向かって言っていたなら心の恥になる。
なので俺は指で自分を指して首を傾げることにした。そしたらまた透き通った声がした。
「そう!目に包帯をぐるぐる巻いてて杖持ってるお兄さんのこと!」
どうやら合ってたらしい。その前になんだその変な名前はと突っ込んであげたいが今はそれよりも先に言いたいことがある。
「えーっと、どちら様でしょう…?急にパートナーだなんて言い出して。誰かと間違えてませんか?」
「パートナーじゃありません!コンビです!それに私のこの最強の眼が間違えるなんてありえません!その右頬にある傷と黶、絶対にあなたしかいません!」
彼女は名乗るよりも先にパートナーではないと勢いよく否定してきたのが少し気に食わないが大目に見てあげよう。では何故俺にそんなことを言ったのか。コンビとはなんのことのか。それすら分からない。何も思いつかない。そうやって考えてると
「あ、申し遅れました。私、癒咲 巫魂と言います。癒すと癒に咲くで癒咲 、巫女の巫と魂で巫魂です。」
「ゆざき みたま…珍しい名前ですね。」