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約3000字漫才集

漫才【じゃんけん必勝法】

作者: 名もなき山田

ボケ=A(エー/小太り)


ツッコミ=B(ビー/細身)

A/B「よろしくお願いしますー」


A「ふぁああああ……」 B「なによ眠そうじゃない」

A「そうなのよ、昨日ちょっと考え事してたら眠れなくなっちゃって」

B「エーくんが!? 珍しいね、何か悩むようなことあった?」


A「じゃんけんの必勝法をね――」 

B「ねえよ」

A「えっとビーくんはじゃんけんの全てのパターンを網羅して――?」

B「してるよ。その上でねえっつってんだよ」


A「ウッソだあ! じゃあ俺がこれから何出すか当ててみろよな!」

B「ごめんな、お前の思考パターンは網羅してねえんだわ」


A「とにかくね、俺はじゃんけんに勝ちたいの! 勝ち組になりたいんだよ!」

B「勝ち組じゃんけん気にしねぇと思うよ」


A「だからちょっと相手して。まず俺がグーを出すからビーくんはチョキ、ここからグーチョキパーの順番でお互いに出し合っていく。つまりビーくんは絶対に俺に負けること、いいね?」

B「脳トレかよ」


A「なら何かないですかね? 勝てる方法」

B「ちょっといい? そんなにじゃんけんする機会ある?」

A「あるよぉ! 余った牛乳とかドロケーのときとか」

B「過去はいいよ。つかドロケーのじゃんけん勝ち負けねぇだろ」


A「あと友だちん家でゲームするときコントローラーが4に対して5人とかだと、もう……」

B「それ分かる! 負けると『あれ、俺なにしに来たんだろう』ってなるやつね」

A「あ、そうすか……」 B「のってこいよ」


A「ちょっと一回マジで勝負しよ。『いいか、俺はグーを出すぜ……?』」

B「うわ出たー。でもそれ意外と効果的かもしんないね」

A「寝ずに考えた結果よ。結局裏をかくかそのまま行くかで悩んで寝たけど」

B「寝てんじゃねえか」


A/B「じゃんけんぽん!」 


A(✂) B(✊)


A「ちょっと!? 今の俺がそのまま出さないと踏んで、裏かいてグーを出したんだよね?(怒)」

B「まぁ、そうだね」

A「性格が悪すぎるよ!」

B「うーんブーメラン」


A「やっぱダメじゃん! 寝ずに考えた奇策ダメじゃん!」

B「寝て考えた凡策ですね」

A「くっそぉ~、じゃ逆に『お前はパーを出す』的なのは?」

B「暗示? でもそれ人数多いと無理じゃない?」


A「もう一回いい? 『ビー、お前はチョキを出したくなる……!』」

B「はいはい(呆)」

A「じゃんけんぽん!」


A(✋) B(✂)


A「あのさぁ!(怒)」 B「いや怒る意味が分からない」

A「何普通にチョキ出してんの? 言ったよね? 『ビー、お前はチョキをだしたくなる……』って!」

B「今の俺がそのまま出さないと踏んで、裏かいてパー出したの?」

A「そうだよ!」 B「なんと」


A「あーもう暗示もダメじゃん! 全然効いてないじゃん!」

B「まぁ、うん、結果的にね」


A「……待てよ、ビーくんは暗示に掛かってない? だってそうだろ、暗示に掛けます~って言ってるんだもんな。そんなのビーくんからしたら『暗示が来る……ッ!』って構えられるんだし。いやでもビーくんチョキ出したよな。ってことはやはり暗示に……、掛かっていたんですか?」

B「うるせえな」


A「やっぱりじゃんけんって読み合いだと思うんです」

B「そうね。相手が何を出すか分かれば勝てますから」

A「だからそこを鍛えようと」

B「鍛える? 鍛えようがないでしょそんなの」


A「……そう、思いますよね?」

B「うん、思うよ。どうやって相手の手を読むのを鍛えるのよ。無理でしょ」

A「考えましたよ。寝ながらも」

B「それ夢だね。期待していいのかな」


A「ずばり、じゃんけんの手を一つ、少なくする!」

B「グーとパーだけでじゃんけんするとか、そういうこと?」

A「その通り。それなら二択だから手を読む練習になるってわけ」

B「何かあったよね? グーとパーでグループ作るやつ」


A「あったあった。必ずいるのがチョキ出してくるやつね」

B「分かるわ~、ってかごめん僕だそれ。みんなが真剣にグループ分けしようとしてる時ほど、チョキ出しちゃった後の『なんだよコイツ』感すごかったなぁ」

A「あ、そうですか……」 B「もっと何かあるだろ」


A「じゃあいい? グーパーじゃんけんするよ」

B「いいけど、エーくん弱いんだからちゃんと僕の手考えなよ」


A「わかってるって。そうだ3回勝負にしようよ。2回勝てば勝ちね」

B「いいよ、あいこは?」

A「俺の勝ちで。はいじゃーんけーん!」

B「『じゃーんけーん!』じゃねえよ、おい」


A「……分かった。あいこはあいこのままでいい。君はそのままのあいこで」

B「はいじゃーんけーん」

A「くっ不意打ちか! 卑怯な!」 B「楽しそうだなお前」


A/B「ぽん!」


A (✊) B(✋)


A「一旦やめよう!」 B「なに負けたからって」


A「いやこの後また『じゃんけんぽん!』で始めるか、『ぽん! ぽん!』の連打で行くかとか決めてなかったから」

B「いいよそんなの、ぽんぽんで。はい僕1勝からじゃーんけーん」

A「ビー、それはおかしいと思う」 B「んっ、何がですか?」


A「言ったじゃん、大事なことはちゃんと二人で相談してから決めるって」

B「奥さんかお前。言っとくけどこれどーでもいいことだからな」


A「っていうかダメこれ。二択なのに何出すか全然分かんないもん」

B「早いな諦めるの。あのさ、今のじゃんけんで僕思ったんですけど」


A「ああ、ビーくん急かしたヤツ? 佐々木小次郎かよ」

B「何が? えっとだから、急いで出したでしょ、手を。だからこう、手がギュっとなってグーを出したんじゃないかと」


A「確かに……そう、俺が会心のあいこボケを披露したって言うのにビーくんがそれを無視してじゃーんけーんって始めるから慌てて……そうだよ、俺が慌てて出した手はグーに間違いありませんっ!」

B「うん? いやそうだよね。僕が言ってるのはさ、慌ててギュってなってグーになったんじゃないの、ってとこなんだけど」


A「つまり『早く早く!』みたいな感じで急かして勝負すればいい――と?」

B「そ。そこでパーを出せばちょっと勝つ確率が上がるかも、って話」


A「そっかぁ! じゃほらほら早くじゃんけんしよじゃんけん! ほらいくよ!」

B「もう学べよ。僕相手にやっても意味ないんだってば」

A「お母さん危篤だってほら! 早くじゃんけんしないと間に合わないよ!」

B「縁起でもねえな! じゃんけんする時間惜しいわ」


A「っていうか、それ『さいしょはグー』使い来たらキツイよね」

B「そっか割とメジャーだもんね。2回連続でグー出さないってことでしょ?」


A「そうよ。それ考えたらまたグーはないとか、いや裏をかいてとかなるじゃん」

B「そんなの別に『僕はじゃんけんぽんで始めたいんです』って言えばいいんじゃないの?」


A「おまッ! ビーくんさぁそんなこと言ったら『じゃんけんぽい』派や『じゃんけんほい』派の抵抗勢力が幅利かせようとしてくるに決まってるって!」

B「何と闘ってんだよお前」


A「それに流派は色々デリケートな問題だから……」

B「ならいっそのこと初手は必ずグーで行く、とか決めたら? それなら負けても『俺は俺のルールに従って負けた』ってなるじゃん」

A「何それ、かっけぇ……! じゃあ俺の生涯初手は『パー』にする」

B「おおー、よかったじゃん(棒)」


A「じゃあじゃんけんしよ! 最後に悔いのない勝負ができそうな気がする!」

B「もう勘弁して!」


A/B「ありがとうございました」

✌✂✊✋チョキが出ない_(._.)_

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジャンケンあるあるですね、思わず頷いてました。 [気になる点] ジャンケンネタで3千字は長く感じました、もっと短くしてテンポを上げたらよいかもしれません。 [一言] ✌(ピース)で変換する…
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