最恐!異世界もふもふ血みどろテイマー!!
「あ、あやつです・・」
老人は恐怖で震える声と指先で100m先の巨大な生き物の存在を知らせる。
そこにはイノシシに似た動物が今にも突っ込んできそうな興奮状態にあった。
像のような巨躯、額に槍先のような角、口からは無数の鋭い歯がのぞかせる。
「村長さんは下がっててください!」
黒髪短髪の高校生ほどの少年が老人を自分の後ろへと下がらせる。
「さあ!みんないくぞ!!」
少年の声に反応し、マントの中より3つの小さな影が外へと飛び出す。
少年の前に現れたのは、
耳が自身の体の2倍はあるであろう体が丸々とした兎のような生き物。
しっぽが体の2~3倍はあるレッサーパンダのような生き物。
シマエナガのような丸々もふもふな見た目とは裏腹に鷲のようなたくましい脚と爪をもつ生き物。
3匹は視線を、眼前にいる敵へと向けていた。
「よし!みんない・・ん?」
今まさに攻撃の号令をかけようとしたその時、後ろからトントンと少年の肩が叩かれた。
「戦いのさなか申し訳ございません・・あの~・・つかぬ事をお聞きしたいのですが・・」
「は、はいなんでしょう・・」
緊迫した中、予想外のことで驚きを見せる少年は敵の動きを警戒しつつ、老人の質問に耳を傾ける。
「その魔物?達はあなた様の使い魔なのですか?・・」
「ええ、そうですけどそれがどうかしましたか?」
老人の質問の意図が分からず困惑する少年を尻目に老人は言葉をつづけた。
「こういってはなんなのですが、あまりにも可愛すぎるというか・・そもそも戦えるのかな~っと・・大変失礼なことを言っていることは自覚してるのですが・・」
「お任せください!必ずや打倒して・・」
老人との会話の途中、魔物がこちらに駆け出さそうとしたそのときー
兎のような生き物が即座に飛び出し、自身の体を回転させながら弾丸のごとく魔物の体へ向かっていく。
ピンと伸ばされた耳が魔物の角に当たった瞬間粉々に砕かれ、耳が額へと突き刺さる。
ゴワァァァァァァーと悲鳴を上げながらその場で暴れ出す魔物。
足取りを止めた隙に頭の上に乗ったレッサーパンダのような生き物は、
しっぽの先端から蜂のような針を出し、魔物の脳天へと突き刺す。
血だまりの中に沈み、息絶えそうな魔物の顔の上に直径2mはあるであろう岩が落とされた。
空中にはシマエナガのようながパタパタと飛んでいた。
「・・終わりました」
1分とかからず退治は終わり、そこには魔物の死体と泡を吹いて倒れた村長の姿だけ残った。