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魔剣聖者 ~異世界で、魔剣拾って、世直し旅路~  作者: 赤月草原
第一章 戦いの始まり
19/20

赤い挑戦者


(こいつ、強い!)


 対峙した才雅は確かにその男の強さを感じ取っていた。この世界で出会った、どの大人たちよりも戦うことを知っているようだった。筋肉で覆われた身体は良く絞られていて身長も才雅の頭一つ分以上大きいくらいのよく鍛えられた肉体だ。片手で軽く扱う木剣を構えるときも、決して自分側に隙を見せないように振る舞っている。

 だがそんなことよりも、大きな体よりもさらに大きいモノを背負っている。いや、溢れ出ていると言った方が良い。そんなオーラにも似た何かが何よりも強さを思い知らしめていた。

 しかし、何より才雅自身しか分からないものもある。

 例えば、投げ飛ばそうと思ったら逆に投げ飛ばされていた時とか……


 □□□□□     □□□□□



「俺の名はエグゼス!次の相手になってやる!!」


 その青年、エグゼスは司会の男に選ばれることを待つ観客たちよりも我早くと闘技場へ跳んできた。

 燃える炎を思わせる赤髪と自信に満ち溢れる振る舞いを見せた男に皆が視線を持っていかれていた。


「何ですかあなた、勝手に入ってきて勝手に挑戦しようだなんて……」


 止めたのは司会の男。突拍子もなく現れた男がこの闘技場の主導権を握ってしまうのを恐れたからだ。興行が成り立たなくなる前に、司会の男はなんとか流れを取り戻そうとしていた。


「おれは構わないよ。」


 だがそんな思惑をぶち破ったのば他でもない才雅だった。おおよそこういった催し物の運営をしたことがない才雅は新たな挑戦者を拒む理由が思い付かなかった。拒む理由が無いのならば受けるべきだと思っていた。それに……


「むしろそれくらいやる気があった方が、こっちも本気を出しやすいからな。」


 才雅は司会の男とは真逆にやる気に満ちていた。司会の男はチャンピオンのやる気を損なわせるわけにはいかないといった様子でエグゼスに木剣を渡しに行った。


「悪いな。ちょっと無理矢理過ぎたかな?」


「大丈夫だ。ちょうど強いやつに飢えていたところだ。」


「なるほど。分かるんだな。」


 才雅はエグゼスと名乗った挑戦者がかなりの実力者であることを肌で感じていた。ここまで49もの試合をこなしてきたがいい加減骨のある相手と戦いたいと思っていた頃であった。


「遠慮はいらないぞ。」


「じゃあ……いくぜ!!」


 互いに構えを見せる……前にエグゼスは先に突撃していった。まだ試合開始の宣言をしてないのだが、先手必勝と言わんばかりに間合いに入ってきた。

 横薙ぎ、袈裟斬り、切り返し、突き……速さと強さを兼ねた猛攻を仕掛けてくるエグゼスに対して、才雅は攻撃を予見して避けていなして一撃すら当たらぬ動きを見せていた。

 ならばとエグゼスは柄を両手持ちして縦一文字に振り下ろした。これをチャンスと見た才雅は避けることなく、左手でエグゼスの手首を取り、右手は木剣を握ったまま体を180度回転させる。同時に肩でエグゼスを背負ってダメ出しに右足で払い上げる。流れるように一本背負いの形を作った才雅は決まったものだと確信した。

 だが次の瞬間、エグゼスは足に力を入れ上手いこと両足を地に付けた。そしてあろうことか上半身にも力を込めると才雅ごと上体を持ち上げた。


( な!?)


 反動で才雅はうち投げられた。着地時に咄嗟に受け身を取ることが出来たのですぐに態勢を整えることは出来た。だが、今までのようにいかない事態を痛感したことで分かっていたはずの概念が途端に恐怖に似たものに変わった。


(こいつ、強い!)


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