草原の白提灯
鮮やかな夏の中、二人の世界はモノクロって感じ。
夜中に気のおもむくまま、筆に任せて書いたものだから細かい設定とかは特に無い。
「私は嫌なの。いつまでもいたくない。大変で大変で、こんなにも息苦しい世界」
ギラギラと輝く太陽の下、梢で蝉が喧しく鳴く公園。
入口の車止めに座って彼女はそう言うと僕の袖口を掴んだ。
空を見上げて彼女はこう続ける。
「君もそうでしょ?働いていないと皆から見下されているような気がする、だから働いているけど、何の為に働くのか目標もなくて、息苦しいな、何でこんなに大変なのにこの世界に生きているんだろうなって。そう思うでしょ?」
答える事は出来なかった。
僕の袖口を掴んだ手を振り払えなかった。
目をそらす僕、畳み掛けるように彼女は言葉を続けた。
「ね、将来に不安を感じなくてもいい、未来を恐れなくてもいい、そんな今だけが永遠に続く世界に行こう?一緒にさ」
そう言った彼女は僕の手をギュッと握る。
そして目を輝かせて僕を見つめる。
彼女が言う世界、それは理想的な世界だろう。
僕は真っ白な入道雲の沸き立つ空を見上げる。
そんな僕に彼女は言う。
「ほら、やっぱり君も私と同じこと思ってたでしょ?」
確かにそうだ。
認めるしかない。
この世界に嫌気がさしていたのだと。
この世界から逃れたかったのだと。
僕は彼女の瞳を見つめ返し一つうなずく。
そして彼女の華奢な手を握りかえすと一歩踏み出した。
嬉しそうに微笑む彼女と共に。
読んで下さりありがとうございました。