表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

草原の白提灯

作者: 秋津珠音

鮮やかな夏の中、二人の世界はモノクロって感じ。

夜中に気のおもむくまま、筆に任せて書いたものだから細かい設定とかは特に無い。



「私は嫌なの。いつまでもいたくない。大変で大変で、こんなにも息苦しい世界」


ギラギラと輝く太陽の下、梢で蝉が喧しく鳴く公園。

入口の車止めに座って彼女はそう言うと僕の袖口を掴んだ。

空を見上げて彼女はこう続ける。


「君もそうでしょ?働いていないと皆から見下されているような気がする、だから働いているけど、何の為に働くのか目標もなくて、息苦しいな、何でこんなに大変なのにこの世界に生きているんだろうなって。そう思うでしょ?」


答える事は出来なかった。

僕の袖口を掴んだ手を振り払えなかった。

目をそらす僕、畳み掛けるように彼女は言葉を続けた。


「ね、将来に不安を感じなくてもいい、未来を恐れなくてもいい、そんな今だけが永遠に続く世界に行こう?一緒にさ」


そう言った彼女は僕の手をギュッと握る。

そして目を輝かせて僕を見つめる。

彼女が言う世界、それは理想的な世界だろう。

僕は真っ白な入道雲の沸き立つ空を見上げる。

そんな僕に彼女は言う。


「ほら、やっぱり君も私と同じこと思ってたでしょ?」


確かにそうだ。

認めるしかない。

この世界に嫌気がさしていたのだと。

この世界から逃れたかったのだと。

僕は彼女の瞳を見つめ返し一つうなずく。

そして彼女の華奢(きゃしゃ)な手を握りかえすと一歩踏み出した。

嬉しそうに微笑む彼女と共に。


読んで下さりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ