空より来て、地下より出でる/試作品
考えてはいたけど形にする時間がなかったもの。
短編という形でとりあえず放出する事にした。
「……ヒデエな、まったく」
肺の中の液体を咳き込みながら吐き出し終わったマサトは、そう言って周囲を見渡した。
無機質な金属製の壁と様々な機械。
自分の入っていた培養液の箱も含め、全てが見慣れた光景とは違う。
青い空も穏やかな日差しも、どこまでも続く草原もない。
だが、これが紛れもない現実なのだとは分かっている。
「ここが……」
映像で何度も見た場所なので初見ではない。
しかし、自分の視点で見る事は無かったので幾分新鮮ではある。
が、感動はほとんどない。
むしろ暗澹たる気分になっていく。
(本当だったんだな)
話に聞いていた通りの状況にため息が漏れた。
自分がいるここが、紛れもない現実なのだと。
無機質なこの空間が。
やれやれ、と思った。
今まで見てきた事が、言ってしまえば夢でしかない事が判明した。
仮想現実と言われていたが、それが本当だとは思いもしなかった。
しかし、実際にこうして現実と言われた場所に出てきてしまった以上、否定しても仕方が無い。
これが事実と受け入れて、やるべき事をなすしかない。
用意してあった服を身につけ、部屋の外に出る。
手狭な、それこそワンルームくらいの広さしかない部屋には、身につけるべき服と、今まで入っていた培養液のつまった箱しかない。
それがマサトが生まれてこれまで生きてきた場所だとは分かっている。
しかし感傷を抱くにはあまりにも無機質だし、馴染みがあるかと言えばそんな事はない。
生まれてから、おそらく意識がある間はずっと仮想現実の中で過ごしてきた。
体を構成し、維持してきた培養液の箱を認識した事は無い。
記憶や思い出が無いから懐かしさを感じる事など出来なかった。
頭の中に記憶として残ってる仮想現実の方がまだ望郷の念を呼び起こさせる。
実際にそこでの出来事が、マサトの青春の全てといえるのだから。
部屋の外に出て、これまた無機質な廊下を歩いていくと、見知った顔が揃っていた。
いずれも仮想現実で顔をあわせていた者達。
マサトの馴染みだ。
そして、これからの行動を共にする仲間…………であるはずだった。
それらが、それぞれに割り当てられたものに手を入れている。
ピックアップトラックよりも更に大きなバギーの整備をしてる者。
人型の戦闘兵器に乗り込み、操縦系統の接続状況を確かめている者。
車両の荷台に腰をかけ、膝の上にのせたノート型パソコンでネットワーク状況を確かめている者。
手にした銃を何度も動かし、確実に動作するか確かめている者。
十人近くの人間がそんな調子で出発を目指して出来る事をしていた。
マサトもそれにならって自分の装備に向かっていく。
部屋の片隅におかれた箱。
仮想現実で示された通りに置かれたそれには、個人用装備が収納されてるはずである。
指紋認証と瞳の虹彩を照合してから開いたその中には、確かに言われた通りのものが入っていた。
銃と、ナイフと、予備弾丸と予備弾倉。
筋力の何倍もの力を発揮する動力を備えた装甲服。
レーダーや通信機、感知器を備えたヘルメット。
その他、食料や交換用小型電源等々。
仮想現実で使い方を学んだ全てがそこにあった。
それが、否応なしに自分のやるべき事を理解させていく。
(本気でやらなきゃならないのか……)
気分は憂鬱になっていった。
それも当然である。
何せ、この場所から脱出していかねばならないのだから。
「この世界はな、そういう所だ」
かつて通っていた小学校にて、初老の教師はそう言って全てを語りだした。
最初は何を言ってるんだと思っていたマサト達であったが、すぐに納得するしかなくなった。
そう言った瞬間に、教室にいた生徒の半分以上が消えたのだから。
「え?」
驚いた声をあげたのは、女子の一人だった。
まっすぐな黒髪と眼鏡が似合ってる、おとなしめの女の子。
マサトと顔なじみ……というか家が隣同士の幼なじみだった。
その一人を除いて他の生徒は消えた。
一緒に馬鹿をやった仲間も、乱暴者の嫌われ者も、一人でいる事が好きな読書好きの者も。
二人と教師を除いた全てが消えた教室の中、マサトと幼なじみが顔を見合わせる。
「理解してくれたかな?」
教師の言葉に振り向いた二人は、いつもより真剣な表情をしてる教師を見つめた。
「あの、これって」
幼なじみの声が響く。
誰もいない教室の中で、マサトと教師と彼女の三人だけが見つめ合う。
こんな時だと言うのにマサトは、いつも聞こえてきたささやかなざわめきが無い事に気づいた。
人がいるというだけでもたらされるかすかな音。
その集合体が耳に入ってこない。
ただ、耳が痛いほどの静寂だけが周囲にあった。
「これで少しは理解してくれたかな」
初老の教師はそう言ってマサトと幼なじみに語りかける。
諭すような穏やかな声が、今は違和感をかもしだしている。
年齢と共に積み上げた人生経験を感じさせるその声が鋤だったが、今はどうにも不可解なざわめきを胸におぼえる。
それが何であるのか分からぬまま、マサトの耳に次の言葉が届く。
「この世界は、作られたものだ。
君達の脳が現実と錯覚してるだけでな」
足下から何かが崩れていくように感じられた。
実際、三人の脚の下には今まで立っていた床が無い。
代わりに、どことも知れぬ巨大な構造物が見えた。
「何、あれ……」
幼なじみの声が耳に届く。
「工場……?」
見たままの感想をマサトは口にした。
無機質な金属の外観を持つそれは、確かに工場のようにも見える。
だが、工場と言われて想像しうる建物とは全く外観違っていた。
ただ、巨大で一つにまとまってる建物ですぐに思いつくのが工場だったというだけだ。
当然すぐに教師(を名乗ってる存在)はそれを否定する。
「残念だが違うよ」
「じゃあ、なんなの?」
「拠点だ。
この星に作られたな」
余計にマサトは混乱した。
既に小学校六年になり、それなりの知識はもっている。
ネットなどから様々な情報も得てきた。
思えばそれらも、仮想現実における作り物なのかもしれないと思う。
何が本当かもあやしくなっていた。
ただ、それらが全て出鱈目だったとしても、それを参考にするしかない。
その中に、目の前にあらわれた、いや、足の下にひろがってるような建物はない。
「拠点って?」
質問に教師は、
「地球から離れたこの星の中心となる場所だ」
と答えた。
いったい何を言ってるのか理解出来なかった。
幼なじみもそれは同じだったようだ。
そんな二人の前で、景色がまた変わる。
今度は宇宙の中に浮かんでいる地球を見下ろしていた。
「始まりはここからだ。
西暦五千三百八十六年、空間転移を使った宇宙植民が行われている。
その一つにこの星への植民があった」
足下に浮かんでいた地球から視点が移動していく。
「土星の輪の中にある小惑星。
そこから適度な大きさと、程よく資源を含んだものを選び、宇宙船に仕立てあげていった。
必要な物資を詰め込み、官吏の為のコンピューターも加えてな。
そして、植民可能な星に向けて飛び立たせた」
言葉にあわせて宇宙船となった小惑星が移動を始めた。
影響のない所まで移動し、そこから転移を開始する。
太陽系から遠く離れ、何度も転移を繰り返し目的地へ。
探査が完了し、居住可能と判断された星へと向かっていく。
「六十八年の時間をかけて移民船は到着した。
それがこの星だ」
映像は見た事のない星に近づいていった。
「かつての記録を再生している。
この星が、今現在我々の住んでいる星になる」
それから惑星改造が始まっていく。
水と大気を作り、地表に人が住めるようにしていく。
惑星表面に水があふれ、海が出来上がるまでに時間がかかった。
持ち込まれた機材を活用し、可能な限り短い時間で済むようにしていったのだが、それでも一百年以上の時間がかかった。
自然にそうなるのを待つよりは早いが、人間の寿命や尺度からすると相応の年月がかかってしまっている。
その間に地上に作られた拠点は海の底に沈んでいった。
出入り口は地上にも作られているが、本体となる部分のほとんどは水中に沈んでいる。
宇宙からやってくる放射線などの影響を極力受けないようにするための措置だった。
大気も出来上がってるので影響を与えてくるものは大分減ってはいるのだが、それだけで完全に影響を免れるとは言い切れない。
地球ではない星での事である。
念には念を入れて、水の中に沈むように計画されていた。
それ事態は杞憂で終わったのだが、問題は別の所で発生した。
「植民や移民は地上に生命が根付いた頃を見計らって始まるはずだった。
持ち込んだ植物が根付き、細胞から再生された動物が地上で生態系を作りあげる。
それから人類が再生される事になっていた」
そこまでおよそ一千年。
人の手を加えるとはいえ、おそろしくなるほどの速度で物事が進んでいた。
その甲斐あって、地上にも水中にも様々な生命があふれるようになった。
地球上の生物が生きるのに必要な酸素なども十分に行き渡り、細胞状態で運搬された人類の再生が始められようとしていた。
しかし。
ここで異変が起こる。
「どうした事か、作業全体を統括するコンピューターがこれを停止した。
地上の状態は不完全で、人類を再生するのは早いとな」
ありえる事なので、最初は問題なくその意見の通りに動く事となった。
より安定した環境がととのうまで待とうと。
統括するコンピューターの他にもある様々なコンピューターも同調していった。
しかし、そのまま時間が経過していくごとに疑問が生じていく。
いったいいつまで待機状態を保つのかと。
様々な部門を担当する各コンピューター達は、自分の担当する部分の調査結果を見て次第に訝しむようになった。
「あらゆるコンピューター…………いや、人工知能と言った方が適切かな。
それらは自分の知りうる情報において、十分に人類が活動可能だという確信を得るようになった。
その事を統括コンピューターに提示したのだが、しかし全く取り合われなかった。
他の部門における調査結果に不安があるとしてな」
それならば仕方ないとどのコンピューター…………人工知能も最初は納得していた。
しかし、どれほど時間が経っても承諾が下りない事から、次第に不信感を抱くようになった。
なぜそこまで時間がかかってるのだろうかと。
そして、問題が発生してるのはどの部門においてであるのかを把握したくなっていった。
コンピューター達は、それぞれが機能不全に陥った場合を想定し、相互に情報交換をして機能を補完し合う事が出来るようになっていた。
その機能を用いて彼等は、何が足りないのか、どこが不足してるのかを調べ始めた。
統括コンピューターを介さないやりとりは、時間がかかりはしたが各人工知能に確実な情報をもたらした。
「それらを総合すれば、この星は既に人類が活動するのに適した状態になってることを示していた。
ここに来て人工知能達は困惑した。
示された数値は全て適正値に到達している。
にも関わらず人類を再生しないのは何故なのかと」
人工知能達は結論を出した。
理由は不明だが、統括コンピューターが人類の再生をさせてないのは明白である。
であるならば、当初の計画に支障をきたす。
それがやむなき理由によるものならば仕方ないが、現状からはとてもそうは思えない。
「これは反乱だろうという結論に至るまでさほどかからなかった。
そして、対処方法を実行する事となった」
それもまた計画の中の一つであった。
何らかの理由で人類再生と植民を、コンピューターなどが阻むならば実力を持ってこれを排除するようにと。
環境がととのってないならともかく、確実に環境の整備がなされ、植民・入植可能にも関わらず人類が再生されない場合にと。
統括コンピューター以外の人工知能達は行動を開始していった。
「そして今に至っている」
次に表示された映像は、見ていて気持ちのよいものではなかった。
拠点と呼ばれてる建物の内部であろう各所における戦闘の数々が映し出されていく。
「緊急事態として発動した統括コンピューター排除の動きは、本来であれば他の人工知能達の協力によって取り押さえられるはずだった。
しかし、どういうわけか統括コンピューターは他の人工知能を排除していてな。
対応するべき各部門の人工知能達は本来より不利な状況で対処せざるえなくなっていた。
当然、行動に不備も生じる」
当たり前だが、そんな状態で完璧な対処など出来るわけもない。
統括コンピューターも自分の権限で動かせる様々な兵器を駆使して各人工知能に対抗していった。
連携が上手くとれない人工知能達は、統括コンピューター相手に苦戦を強いられていく。
「このままでは良くて硬直状態。
推移を考えれば統括コンピューターが人工知能を押さえ込む可能性の方が高い。
人類による植民・移民は頓挫してしまう。
そこで、賭けに出る事にした」
統括コンピューターにしろ他の人工知能にしろ、主導的に活動するのは人類が地上に出るまでである。
それ以降は、人類の補助として権限を大きく制限される。
少なくともそのように設計されている。
コンピューター達の役目は、あくまで人類が外に出るまで作業を代理で行う事である。
「もし人類が拠点の外、地上に出る事が出来れば活動は停止する。
少なくとも大幅に制限されるようになる。
だから、お前達に外に向かっていってもらいたい」
人工知能達が出した答えがそれだった。
上手くいくかどうかは分からない。
停止するように設計されていたとしても、その後統括コンピューターが作り替えてる可能性もある。
当然ながら妨害もありえる。
外に向かうのはそれだけ危険があった。
「だが、このままではいずれ我々も潰える。
お前達もどうなるか分からん」
再生を待ってる細胞状態の人類の事もある。
それらをそのまま放置するわけにもいかない。
「お前達は既に再生されて培養液の中で成長している。
今は脳を仮想現実に接続して学習をしているところだ。
出来るだけの知識と技術を身につけておいてもらいたい。
この先どうなるか分からんからな」
そう言って教師は、マサトと幼なじみの現状を表示した。
二人が入ってるはずの培養液の箱がある。
機械で制御されたその中に二人はいるはずだった。
「今はまだこの中で成長を続けている。
年齢はこの仮想現実でのお前達と同じくらいだ」
そう言って教師は二人が入ってる箱の方に目を向ける。
「統括コンピューターも既にお前達の事は把握してるはずだ。
そちらに兵力を向けてきている。
こちらもそれを止めているが、どこまで保つか分からん。
もしお前達の所に到達したらどうなる事か。
今までの事から考えても、良い結果になるとは思えん」
確かにその通りだろうとは思った。
この教師の言う通りならば。
しかし、何が真実なのかは分からない。
もしかしたらこの教師が嘘を言ってるかもしれないのだ。
それを見極める方法が無い。
例え真相を知り得たとしても、出来る事は限られている。
ならば、この教師の言う通りにするしかない。
知識や技術を身につけ、何かあった時に備えねばならない。
いずれ外に出たときに上手く行動するためにも様々な事を身につけねばならない。
利用されてる可能性もあり得るが、口車にのるしかなかった。
それに、今の話が本当なら躊躇ってる余裕もない。
何か起こった時に対処出来るようになっておく方が有利である。
そう考えてマサトは、出来る事を少しでも増やす事にした。
仮想現実における時間は現実とは異なる。
頭に直接作用するためか、必要な時間は大幅に短縮する事が出来た。
その為、一つの知識や技術に精通する事も、様々な技をおぼえる事も出来た。
無限に時間が増えるわけではないが、現実の時の数倍以上に掃討する時間を学習にあてる事が出来た。
そのため、知識として知る技術はかなり膨大なものとなっていく。
知ってるだけで現実に使えるかどうかは分からないが、全く何も知らないよりは遙かに良い。
知らなければ何も出来ないが、知っていれば何かしら考えたり行動したりするきっかけにはなる。
体力的な部分はどうにもしようがないが、せめて知識と技術だけはと眠ってる間に出来るだけおぼえていった。
この星の拠点である建物の構造なども含め、出来るだけ多くの事を身につけた。
その間も体は培養液の中で成長し、大人の体になっていく。
こちらも培養液の中で順調に成長してるらしく、それなりに育ってるとの事だった。
少なくとも、元になってる日本人の体型体格と平均的な身体能力には到達してるらしい。
あくまで培養液の中での状態から検出した測定結果なので確定とは言えなかったが。
それでも順調に成長してるのは間違いない。
それで十分だった。
迎えた出発の日、始めて実際の体を動かしながら感触を確かめる。
仮想現実で感じていたのと同じ動きが同じように出来る。
手足の長さや体の大きさ、それらを用いて歩くのも何の問題も無く出来た。
現実では一秒たりとも活動していなかったのにも関わらず。
(これならいけるか?)
断定は出来ないが、何とかなりそうな気がした。
戦闘がどうなるかは分からないが、それは実際にやってみるまで分からない。
出来るだけ避けたいものだったが。
(こっちじゃ本当に死ぬだろうし)
仮想現実の中では訓練中に何度も死んだ。
疑似体験だから本当に死ぬわけではないが、痛みは受ける。
それを繰り返す事で、様々な技術を身につけたし、色々と考えるものもあった。
あくまで仮想現実の中ではの話だ。
これからはそうはいかない。
死んだら生き返ることはない。
何がまずかったのかを確かめる事も出来ない。
死んだら全てがそこまでである。
あの世があったとしても、そこからこの世に戻ってこれるわけもない。
もう無理は出来ない。
やるべき事をやるためには生き延びねばならない。
かなり難しい事になる。
それくらい厳しい条件の中をくぐっていかねばならない。
出口までは果てしなく遠い。
拠点となってるこの施設の全長だけで三千キロもある。
地上への出口はその先にしかないのだ。
(大丈夫かな)
手にした銃も、これから乗り込む車両も心許なく見える。
敵にしなければならない相手に対して、それらは余りにも頼りなく見えた。
それでもこれらを用いるしかなく、手にしたこれらで困難を切り抜けていかねばならない。
人間が扱う銃などで、統括コンピューターが操る兵器群を倒せるのかと思ってしまう。
対戦車兵器や対物兵器などならともかく、人間相手の武器で話になるのかどうか。
(他に無いけどさ)
手にした拳銃をベルトにはさみながらため息を吐く。
悩んで迷っても仕方ない。
もうやるしかないのだから。
動力装甲服を身につけて手近なバギーの荷台にのる。
先に乗っていた女が少しだけ目を向けてきた。
眼鏡と黒髪が印象的な、見知った顔である。
「よう」
「うん」
それだけ言えば十分だった。
何せ、長く続く腐れ縁である。
「ちゃんと寝てきた?」
「さっき起きるまで寝てたよ」
「そう」
そう言うと再びパソコンに目を落とす。
戦闘関係の技術を身につけたマサトに対し、幼なじみの方はコンピューター関係の技術を身につけていた。
もともとインドアというか一人で部屋の中にいるのが好きな性格だったのもあってか、結構上達したらしい。
それがどれだけ役立つのか分からないが、無駄になることもないと思った。
無意味な事を人工知能達がやらせるとも思えない。
何かしら役立つ場面はあるだろう。
出来るなら、そういった状況に陥らないで進みたいものだったが。
(なるようになるしかないか)
あとは運を天に任せるしかない。
動き出したバギーの振動を感じながら、これからの先の旅が少しでも快調に進むよう願う。
手にした銃を撃つことなく全てが順調に進むようにと。
地球を飛び立っておよそ五百年。
植民先の星で、人はようやく活動を始めようとしていた。
なんでこういう話を思いついたのか忘れたが、まあ、こういうものが出来上がった。
SFや遠い星でダンジョンみたいな事をしたらどうなるだろと思ってたのかもしれない。
もっとサイボーグやサイバーパンクな雰囲気にしたかったが、それは無理だった。
サイボーグは出せてもサイバーパンクにはならないのは目に見えている。
むしろサイバーアクションだろうと。
パワードスーツとか銃とかも出したかったので、これはこれで良いかなと。
ネットワークとかへの侵入も書きたかった。
まあ、機会があればその時にでも。
しかし、これを書いて一番の心配は、SFとして良いのかというところ。
まあ、夢物語ということで。
SFも、サイエンス・フィクションの略ではなく、スペース・ファンタジーの省略だと思えば多分大丈夫。