糾弾のアリア
軽薄なお前を私は死ねと思っていた
死ねと
そうしたらお前は
帰らなかった
死んだ
どうしてお前が死んだのか
銃弾がお前の下劣な脳髄を
ぶち抜いたのか
お前は応えなかった
死んだのだ
お前は死ぬことでしか
価値のないお前は死ぬことでしか
残らない
お前は家族を捨て
お前は友情を断ち切り
お前は愛情を裏切った
お前は死ぬことでしか赦されぬと
お前は死ぬことでしか生きられぬと
ああ
ああ
聞いているか
お前は死んだのだ
この国ではないどこか遠くで
お前は死んだのだ
消えてくれ
『緋弾のアリア』とは無関係である。念のため。『緋弾のアリア』はヒロインの名をアリアとしたが、アリア(Aria)は邦訳すると詠唱となり、大楽曲における最も叙情的な盛り上がりにおいて見られる独唱曲などを意味するものだ。例えば『トゥーランドット』の「誰も寝てはならぬ」などが有名だろう。つまり、登場人物の気持ちの昂ぶり、感情の発露だ。私がこの作品を『糾弾のアリア』と付けたのは正しくこのアリアを意識してのことであり、大きな物語中の一節として死んだ「軽薄なお前」を糾弾する「私」の感情を表現した。