スライム、食事する
あれから色々と考えてみた。
夢かと思って寝ようと思ったがどうやら睡眠は必要ないらしい。
スライムになってしまったということを現実として受け止めねばならない。
スライムとして生きていくためには何が必要か?
普通に考えれば衣食住を揃えればいいのだろうが…。
衣、スライムだから服はいらない。
食、お腹はまったく減らないが食事は必要だろう。
そもそも何を食べるのか、どうやって食べるのかもわからない。
住、安全な棲家は必要だろう。というか洞窟から出たい。
食事が問題だな。水分も取れたほうがいいだろう。
食料と出口を求めて彷徨い歩くとしよう。
ぽよん、ぽよん、ぽよん、ぽよん
粘度を抑え、弾力をある程度高めるとボールの様に弾める。
移動がとっても楽ちんだ。
ちょっと勢いを付けて弾むだけで勝手に進むのだ。
この移動方法を極めたら洞窟内を縦横無尽に跳ね回れると思う。
ちょっとやってみようか。
ふんっ、やっ、とっ、えいっ。
お、意外といける。
床から壁へ、壁から天上へ、天上から壁へ。
まさに縦横無尽。
オレってすごくない?
ちょっと楽しくなってしまったオレは、跳ね回りながら洞窟内を進んでいた。
赤いドロドロしたスライムを発見した。
スライムか?お仲間か?お仲間なのかっ?
跳ねるのを止めてニュルニュルと近づいていく。
やぁ、兄弟!って気持ちでツンツンしてみた。
するとねばーっと盛り上がってこっちを飲み込もうとしてきやがった。
うわ、おい、やめろ、やめてください。
あ、え、おい、ちょっと溶けてる?もしかして溶けてる?
くそがっ、そっちがその気ならやってやんよ!
こっちに覆いかぶさってきているスライムに逆襲してやる。
相手の下に潜り込んで、下からガバっと包み込んだ。
捕まえたが、コレ、どうやって溶かすんだ?
とりあえず念じてみる。
とけろ〜、とけろ〜。
お、できた。なんか吸収出来てるっぽい。
ふぅ、ビックリしたぜ。
お仲間だと思ったのに。
しょうがないよね、やられたらやり返す、倍返しだ。
同族の犠牲により、はからずも食事の方法が分かってしまった。
じゃあエサを探しつつ洞窟探検を続けよう。