表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海岸でタコ助けたらスーパーヒーローになっていた。 ~正義の味方活動日記~  作者: はらくろ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/70

第六十七話 敵地到着

 今朝は、電車に乗らず直接空を飛んできた。


「スマホの地図も正確だね。これなら大きな地図を広げなくてもいいから。……ま、どっちでもいいや」

(こういうところが年相応で可愛らしいのですよね)


 一八が地図を元に方角を割り出して指示。吽形がそれに合わせて飛んでくれている。


 時速で言えば百キロ前後。遠回りになる山手線の速度よりも早く、直線距離をひとっ飛びできるというわけであった。


 思ったよりも早く目的地へ到着した。高度を落とし、『隠形の術』で姿を消す。窓から中を窺うと、まだターゲットは入室していないようだ。


「さすがに吽形さんでも、あいつがどこにいるかなんてわからないもんね」

『申しわけありませんね』

「ううん、僕の下調べが足りなかったんだ。吽形さんのせいじゃないよ」


 一度屋上へ上がってもらう。裏口と屋上ヘリポートが見える場所に腰掛けた。


「まさかヘリコプターで通勤とかはあり得ないし、正面から入る目立ちたがりでない限り裏口から入りますよね? だってほら」


 今日はどんより曇り空。風もそれなり以上に吹いている。それを指差してくるくる。


『あぁ、カツラが風で飛んだら大変なことになるでしょうからね』

「よくわかってますねー」


 ある意味、今の一八は狙撃手みたいなもの。ターゲットが現れるまで、じっと待つのも任務なのである。


「そういえばさ、この地球に吽形さんたちみたいな人っていないんですか?」

『微妙に丁寧なことばが混ざっていますよ。緊張されているのですね。その質問にお答えするのであれば、いますよ』

「え?」

『東京にはいない。だけですが』

「あ、あぁ。聞き方が悪かったんですね。じゃない、悪かったんだ」

『無理しないでもいいです。丁寧な言葉使いが、もしかしたら一八さんの素の状態なのかもしれません。ワタシが無理なお願いをしてしまったのかもしれませんね。話を戻しますが、魑魅魍魎の類いになると、ワタシたちでは関知できませんので』

「そんなのもいるの?」

『ワタシたちが存在できているのです、いると思ったほうが精神衛生上よろしいかと』

「なるほどね。いると思ったほうが驚かないで済む。先手を取られないで済むってことね。……ということは、ターゲットはただの人間。裏で怪しい存在が操っている可能性は低い?」

「人間の悪い人が操っていたなら、わかりませんけどね。ただ、そのような者には負けるつもりは更々ありませんので、ご安心を」

「ありがとう――あ、あれ、あの黒塗りの車から出てくる無駄に風に揺れてるロン毛の茶髪」

『えぇ。おそらくはターゲットでしょうね』

「おぉっとぉ、おさえてるおさえてる。飛ばないようにおさえての入場だ」

『どこの格闘技の入場アナウンスですか?』

「鋭いツッコミありがとうございます」


 すると『ゴロゴロ』と雷の音が聞こえる。かなり大きな雷雲が近づいているようだ。これは面白いシチュエーションになりそうだ。


「いい雰囲気だね。例の作戦にはさ」

『えぇ、そうでございますね』

「それじゃさ、この鍵、開けられる?」

『このブロックを斬り落とすことは可能ですが』


 吽形の言うブロックとは、実際に鍵をかける金属製の四角い部品、『デッドボルト』のことである。


 触手の先が手になっている状態から、人差し指の爪を伸ばして上から下に滑らせると、鈍く何かが折れるような音がする。


『開きました』

「ありがとう」


 手を伸ばそうとしたとき、


『ちょっと待ってください。指紋が残ってしまいます』


  なんというしたたかさ。吽形は侵入の証拠を残さないように、触手の手でドアを開けてくれた。


「ありがとう。今のうちに『隠形の術』で姿を消しておいて、と」


 ドアを開けるとすぐに下りの階段になっている。


「思ったよりも急じゃないね。ヘリポートもあるくらいだから余裕あるのかも」

『そうですね』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ