表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海岸でタコ助けたらスーパーヒーローになっていた。 ~正義の味方活動日記~  作者: はらくろ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/70

第四十三話 オーディション




 東京プリンセスホテル、三階にある多目的ホールで、化粧品メーカーの江田島貿易薬品工業(エダボウ)が、来年からのイメージキャラクターを選抜するためにオーディションが開催されていた。


 すでに九人が自己紹介から、簡単な演技とセリフを言う共通課題をこなしていた。千鶴は十人目のエントリーになっている。


 舞台袖ではメイク担当の宝田、マネージャーの斉藤が見守り。観覧席では、静江と喜八、一八が見守る。


「では、最後のエントリーとなります。沖縄生まれの沖縄在住。中学三年生の十五歳。ではよろしくどうぞ」


 夏らしい清楚な金魚の柄の浴衣に身を包んで、髪を上げて登場。舞台の中央に立つと、


「龍童プロモーション所属の八重寺千鶴です。どうぞ、よろしくお願いいたします」


 一八のことを頭に思い浮かべると、千鶴は自然と優しい表情になっていく。簡単な演技のあと、少し長めのセリフをすらすらと、自然な口調で口ずさんでいく。


『――それはそうよ。日焼けには気をつかっているんですもの』


 舞台の横に設置された百インチ以上あるモニターに映し出された


 千鶴以外の九人ほどエントリーした女優の卵からタレント、モデルに至るまで。彼女らの担当マネージャーは誰もが思っただろう。『一番最初にでてくれなくて良かった』と。千鶴の存在があまりにも、圧倒的だったからである。


『二千二十x年、江田島貿易薬品工業(エダボウ)イメージキャラクターに選ばれたのは、エントリーナンバー十番。龍童プロモーションの八重寺千鶴さんです』


 スポットライトが照らされた。千鶴は『え? うそ?』という表情。もちろん、演技である。


「ありがとうございます。家族も喜んでくれていると思います。お父さん、お母さん、見ていますか? ――」


 夕方のニュースで放映され、それを那覇の店舗で見ていた日登美は高笑い。自宅の一階喫茶スペースで見ていた隆二は頬をつねっている。そんなことがあったそうな。


 ←↙↓↘→


 十階に用意されている、控え室の代わりのシングルルーム。宝田、斉藤、一八に千鶴。祖母の静江は用事があるからと忙しそうに。喜八の運転するンタカーで出て行った。


 お酒の代わりに、ジュースで乾杯が行われていた。


「「「「おめでとう」」」」

「ありがとうございます」

「さすがは千鶴ちゃんよ。最後の最後であの威力。アタシ、驚いたわ」

「そうですね。他のマネージャーさんたち、頭を抱えたと思いますよ」

「お姉ちゃん、ほら、テレビでもやってる」


『二千二十x年、江田島貿易薬品工業(エダボウ)イメージキャラクターに選ばれたのは、龍童プロモーションの八重寺千鶴さん。沖縄在住、十五歳の中学生三年生で、なんとあの、映画俳優だった八重寺静江さんのお孫さんなんです――』


 中継をしているアナウンサーが、カンニングペーパーらしきものを見て驚いている。


「私もこれは驚いたわ。でも何気に社長とも繋がりがあるのよね」

「私なんて驚いたとかそんな問題じゃなかったんです。その日のうちに会うことになってしまって。飛んできた社長が土下座をするまであったんです。私もさせられましたけどね……」

「斉藤ちゃん。打ち上げよ。幹事は任せたわ。マネージャーの仕事だもんね?」

「仕方ないですね。とにかく社長に稟議(りんぎ)を――」


 するとスマホの通知に高山貴子と言う文字が表示される。


「どうしましたか? 高山さん。あ、そうそう、高山さんも祝勝会にでま――」

『警察からね、来てほしいって連絡が入ったんです』

「なんと……」


 祝勝会は後日、龍童プロモーション本社ビルで行うことになった。渋々帰って行く宝田。斉藤は、千鶴と一八を乗せて、車を警察署へ向けるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ