見慣れた/見知らぬ空
ドアを開けると、ぬるい空気が肌を包み込んだ。
春と夏の間で、初夏とも言い切れない、曖昧な季節だった。
敷地から道に出て、日光を浴びる。
空を見上げると、鮮やかな青が伸びていて、私は心臓に微熱が滲むのを感じた。
何年もここにいて、何でも知った気になって、外に出たらそうではないと知って。
そうして見上げたこの空は無知で純粋な私の背中を押してくれているような、むずがゆい喜びに満ちている。
やっぱりここは窮屈で、退屈で、広大で、感動的だ。
そういう気持ちを知りたくて、また一歩前に進んでいくんだと、私の呼吸がゆっくりと弾む。