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月と金星

作者: お舐め

基子「どこか行ってきたの?」

僕「うん、ちょっと近所のH瀬さんとこの自販機でコカ・コーラ買って来たのよ」

「へえ、夕方だっただろ?」

「そうよ、三日月と金星が接近しててとてもロマンティックだったぜ」

「そう。私も見てこようかな?」

「H瀬さんも昔は酒屋さんだったんだが、何処の酒屋さんもみんな店閉めて

 自販機を置いてるなあ。おめえと同じクラスだったTさんとこもそうよ。」

基子は外に出て見た。

しばらくして帰って来て、

「うわあ、ホンマお月さんと金星綺麗わ。」

僕「自然現象ええなあ。自然に帰れ!」


基子「今日何しとったん?」

僕「おお、新しい曲作ってんねん。ええで」

「あんた、前に『それまで僕は〇〇人の女の子と寝た』って言うのん書いてたやん。

 あれ、ホンマ?」

僕は大声になった。

「嘘やがな!あれはな、村上春樹が『風の歌を聴け』の中で

 『それまで僕は3人の女の子と寝た』って書いてるから、それを茶化してん。

 3人寝た、なんていちいち報告するか?」

基子「そうかいな。わて、またホンマの事書いてるんかと思うたわ」

僕「なあ、村上春樹ってあっちゃんの親戚かな?」

「まさか」


僕「なあ、『風の歌を聴け』にクリスボンていうレストラン出てくるやろ?

 あそこ行った事ある?」

基子「ないよー。高そうやん」

「うっとこも、オヤジがレストランとか行くの好きじゃなかったからな。

 おかんはよく行く方だったけどそれでもクリスボンには行かなかった」

基子「あんたそういやあ、最近エッチな小説を書かなくなったな?

 エッチな絵も描かないやん」

僕「あれは、知恵袋などでリクエストがあったから、彼氏の目の前で彼女が先輩に犯される、

 ちゅうのんを書いたわ。『羅生門』みたいなもんかな?

 ソープかって全部リクエストで作った作り話よ。ロシアの195cmのソープ嬢と寝た、なんて

 あり得ない!」


基「絵の方はどうなん?」

僕「どうなんて、最近のエッチな絵がない事?」

「そう」

「なんでかなあ。寂しい時、基子の絵にキスするときあるよ。」


基子「へえー。。。で、今日はビール飲まへんの?」

僕「そうよ、明日歯科に行くからな。今日は大人しくしとくよ」

「ちゃんと歯磨いていかなあかんよ」

「お、うち歯磨き粉がないねん。買いに行かなあかんか?」

「デンターライオンとか」

「歯磨き粉付けずにブラッシングだけやったらあかんか?」

「そら、その方が歯医者さんにも都合ええで」

僕「ビール毎日飲まん方がええで」

基子「なんで?」

僕「血圧に影響するような気がする。な、俺血圧下がったけど、下が高いわ。108やわ」


僕はそれで、近所の薬局に行ってきた。

「おう、デンターなんとかとかいう歯磨き粉買って来たぞ。138円や。安いな」

基子「薬局が近くに出来たから便利やね。ま、「爽」のメロン味も買うて来たん?」

僕「そうよ。歩いて2分ぐらいやしな。ウィスキーも売ってるぞ」

基「生中がうまいな。缶ビールイマイチやわ」

「おう、その通りよ。サッポロの生とかうまいんか?」

「知らんわ」


僕「有働さんええな?」

基子「神女やで」

「ホンマ?うちの近所やんけ。デートすればよかった」

「なんでええの?」

「シドニー五輪の時、中継で泣いたから」

「独身やで」

「ええな。でも最近睫毛が長いな」

基「そら睫毛ぐらい伸ばすわよ」

僕「でも神女の女、デートしたことあるけどイマイチやったな。背が低かったからかもな」


基子「あんた、今日歯科に行ってきたんやろ?」

僕「そうよ。小学校以来やで」

「ちゃんと歯を磨いて行った?」

「もちろんよ。でも歯磨きさぼり気味やから、虫歯沢山あったわ」

「これからしばらく通うんやろ?」

「うん。レントゲンとか撮ったで」


基子「今日何しとったん?」

僕「おれらより二十歳上の人が石原裕次郎が好きや、っていうので、

 裕さんが死んだときに買った写真集持って行って見せてん。」

基「あ、おーいーらーは―ドーラマ♪やくざーなードーラマ♪」

「そうよ、でもその人DVDもってないから、スマホで一緒に見ようかって言うてんねん」

基「どんなんみるの?」

僕「嵐を呼ぶ男、とか、錆びたナイフとかよ。Youtubeで『狂った果実』でも見れるし。」

「あとは?」

「おう、いつもの通り、ガストで生中3杯とキムチと野菜炒めと唐揚げ食べたわ」

基「大丈夫なん、そんなに飲んで?」

僕「一日あけて飲んだらええで」


基子「あの『返信』って何なん?」

僕「ほら、おめえに絵本を送るって言ったろ?

 それを郵送したんだが、10日ぐらい経って帰ってきたんだよ。

 なんか「差出人不明、宛て名に見当たりません」てハンコ押してあったよ。

 なんでかな?住所に漢数字と西洋数字とまぜたからかも」

基子「ほな、あんたのとこにその絵本あるの?」

僕「そうよ。要るか?」

基「いや、べ、別に・・・」

僕「家までよう持って行かんからな」


挿絵(By みてみん)

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