表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アバロン島に住む大聖賢者  作者: カツヤマ403
6/6

転生してきた姪

転生してきた姪



朝、目を覚ますと知らない天井だった・・・

異世界譚ではよくある話だが、本当にここは何処だろう?


「お目覚めですか?」


「ここは何処でしょうか?」


「アバロン島と言われていますがご存じですか?」


「勇者が眠る島・・・ですか?」


「はい、そうです。

あ、申し遅れました、わたくしサーシャと申します。

賢者阿部マリ様の侍女をしております。」


「阿部マリ・・・、叔母さんは何処に・・・、あ、済みません」


勢いでサーシャに掴みかかるが、ハッとして放す。


「もう少しするとお目覚めになると思いますので、朝食をご一緒されては如何でしょうか?」


「はい、そうさせて頂きます。」


「では」


テーブルのベルを鳴らすと直ぐにノックがする。


「ブラウニーです。 お呼びでしょうか?」


「ブラウニー、入って頂戴。」


メイド服を着た女性が入って来て一礼する。


「本日よりユリエ様の滞在期間中にお世話をする専属メイドのブラウニーです。

ブラウニー、挨拶を」


「本日よりお世話させて頂きます、ブラウニーと申します。 宜しくお願いします。」


「ブラウニー、こちらこそ宜しくお願いします。」


「それよりサーシャ、わたくしの事をユリエとお呼びになりました?」


「失礼しました、マリ様よりお嬢様の事を姪のユリエ様と伺っていましたので・・・」


「いえ、叔母さんも鑑定をお持ちなのですね?」


「はい、お持ちです。」


「では、医療技術に関しても優れているのでしょうか?」


「たぶん、治せない怪我や病気はない筈です。」


リリアーヌは目を瞑り神に祈りを捧げる仕草をし、小さく呟く「良かった~」




朝の支度をしてダイニングに行くと、お粥に梅干、お味噌汁かしら、そして目玉焼きに醤油がかけられている。

キッチンよりマリ叔母さんが自分の分の食事をお膳に載せてやって来た。


「お・・・ばさん?」


「失礼ね! 身内の顔も忘れたの?」


このいつもの軽い感じはマリ叔母さんだ!


「若くないですか?」


「しょうが無いでしょ、2000年前に転生したら勝手に若返らされていたのよ!」


「2000年前・・・、叔母さん幾つよ!」


「2092才になったわ!」


「不老とか・・・女性の敵ね!」


「逆にそれで苦労もするのよ!

この前なんか、ブリカンの王都に行ったら、たかだか40の子供にガキ扱いよ、失礼しちゃうわ!」


「マリ叔母さん、それ笑えないわよ!」


楽しい食事が続く中、サーシャが小さく耳打ちをする。


「そう、食事が終わったら出向きましょう!」


「マリ叔母さん、どうしたの?」


「食事が終わったら、貴女を船から突き落とした男の身柄を引き取りに行きますよ!」


「分かりました。」



食事が終わりキーンの警備隊支部まで転移する。


「お早う御座います。 警備隊の責任者にお会いしたいのだけど・・・」


「大聖賢者マリア様、お早う御座います。」


年嵩の警備隊員が若い警備隊員に指示を出し、挨拶をしてくる。


「警備隊総司令がお待ちです、中へどうぞ!」


中へ案内され、狭い部屋に入るとマジックミラーで取り調べが監察出来る部屋であった。


「大聖賢者マリア様、お久しぶりです。」


「またお世話になりますね、警備隊総司令様。」


「ご覧の通り、容疑者は黙秘を続けています。」


私はユリエを見て確認をする。


「この男で間違いない?」


「はい、マリ叔母さん!

この男です。」


「では、私が訊問しましょう。」


「ではお願いします。」


私は隣の取調室へと移動する。

私が部屋に入ると取調官は静かに部屋を出て行った。

男は私を睨み付けて、バカにした様に薄ら笑いをした。


「貴方の身柄を引き取りに着ました。」


「誰だお前?」


「貴方が少女を船から突き落とした海域の責任者です。」


「意味が分からん?」


「貴方が少女を突き落とした海域は、ブリカン王国の海域になります。 一応は私の領地の領海になっていますので貴方を引き取りに来ました。

貴方はランク王国でもアサミ神聖王国でもなく、ブリカン王国の法律によって裁かれます。」


「どういう意味だ?」


「貴方の罪状は、私の姪の殺害・・・つまり、領主家への謀叛または身内の暗殺行為です。 判決としては、一族全ての死刑です。」


「何の事だ?」


「『何の事だと』聞きたいのはこちらの方です。 何の為に私の姪が殺害されねばならなかったのでしょう・・・しかも私の領地で!」


「知らん、俺は頼まれただけだ!」


「何方にですか? またその証明は出来るのですか?

出来なければ、貴方の母親アルマや妹のサラと夫のゴメス、姪のメリットの処刑は確定です。

あ、アーブルの港までご一緒だったメアリーも共犯ですから向こうの親族3親等まで処刑します。」


「まて、何故そうなる?

ガキの癖にたわごとを!」


「ガキ・・・?

調子に乗るなよ小わっぱ!

お前、誰に喧嘩売ったと思ってるんだ?

面倒だ、お前の故郷ごと消滅させてやろうか?

アバロン島の賢者を嘗めるなよ!」


「・・・」


「失礼、貴方の姪への行為に少々感情的になってしまいました。」


「あんた、アバロン島の賢者と言ったな?

あの伝説の賢者か?」


「『あの伝説』が何かは知りませんが、私が勇者パーティーの最後の生き残りですがなにか?」


「厄災の賢者・・・、2000年前の・・・、しかし、何故にローエングラム公爵の令嬢が姪?」


「それは貴方が知る必要の無いことです。

しかし、ローエングラム公爵令嬢と知っていて命を狙ったのですね?

これで確定しました、マタハリは私の敵です。 勿論、小国家プロイツ騎士団領の他にゼレ子爵領も消滅対象です。

どうせ黒死病が蔓延して消毒が必要でしたから、病原菌と一緒に国ごと滅菌してしまえば面倒も無いですね!」


「ま、まて、国ごと滅菌・・・?」


「貴方達の様な謀略・暗殺・ハニートラップとか病原菌民族は纏めてこの世から消滅した方が未来の為です!」


「マトモじゃない・・・、狂ってる。」


「マトモじゃないのも、狂ってるのもあなた方です。

それをマトモに相手をするとバカを見ます。

そう思いませんか?」


「・・・」


「身柄を引き取るつもりでしたが、それには及ばない様ですので、こちらで処分をして貰いましょう!

私は聴きたいことは聞けましたので後は領主としての権利を行使するだけです。」


「まて、一族全てを処刑するのか?」


「後々にはですが、それがブリカン王国の法律です。

しかし、いまはそんな些事に構っている暇は有りません。

そのため、私が処分を下さなくても天が下すでしょう!」


「どういう意味だ?」


「貴方達の愚行が救済を遅らせたので、貴方の故郷の殆どが黒死病で死に絶える可能性が高くなったと言う事です。

お陰でランク王国の東半分も危うくなりました。」


「何を言っているか分からん?」


「貴方の処刑はこの騒動の後にしてもらいますので結果を見て頂ければ理解出来るでしょう。

その時己の愚かさを深く懺悔しなさい!

では、また何れ・・・」


立ち上がり部屋を出て、ユリエと合流し、アバロン島へと帰宅する。


「マリ叔母さん、あの最後の内容がわたくしにも理解出来ないのですが?」


「サーシャ、これをランク王国国王と宰相に送って!」


「ちょっと待って、お父様宛・・・」


「先に読む?」


「はい、拝見させて貰います。」


ユリエは手紙の内容を考察し、理解する。


「では救済が遅れるとは・・・」


「そう、ローエングラム卿が宰相から落とされたら救済どころか現在の水際も決壊するわ!

プロイツ騎士団領など死に絶えるでしょうね。」


「どうにか出来ませんか?」


「それを決めるのは私ではなく、ランク王国国王です。」


ユリエはうつむき助けられない命を嘆く


「ユリエ、貴女に救命救急医療には向かないみたいね。」


「マリ叔母さんが若い頃に活躍していたから目指したの、でも適性がないって・・・」


「そう・・・、それで内科医なのね!」


黙って頷く


「ねぇユリエ、明日、聖女神殿に見学に行かない?」


「アサミ神聖王国の聖女神殿ですか?」


「そうよ!」


「はい、聖女神殿では高度な救命救急医療が行われていると話に聞いています。

是非見学したいです。」


「あの聖女神殿の医療はアサミさんが確立したのよ、他の国でも直ぐに取り入れられるのだけど・・・、真似る国が中々現れないのよね!」


「ならわたくしの領地で試験運用して、よければ国に本格運用して貰います。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ