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アバロン島に住む大聖賢者  作者: カツヤマ403
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アバロン海峡海戦と報復

アバロン海峡海戦と報復



勇者式典より1ヶ月が経って、ブリカン王国の王太子がアバロン島の対岸に10万の兵を引き連れてやって来た。

私は勇者の丘(勇者を埋葬した丘)から海を見下ろし、どの様に痛い目を見せてやろうか考える。


「東側の森に『ラビリンス』の結界を張って誘い込みましょか?

後続の輸送船を焼き払って餓死寸前まで体験したら、少しは民草の心情も理解できる様になるかもしれません!」


「あの王太子の頭の軽さでは無理かと・・・」


サーシャは更に辛辣であった。


王太子は二日かけてピストン輸送で8万の兵をアバロン島の東海岸に移動した。

三日目の朝に補給物資を運び込んだ船舶を確認する。


「さぁ~出掛けましょうか!」


転移魔法でアバロン島手前の島に移動する。

砂だらけの島でアバロン島からも5海里離れているのでスルーされていて誰もいない。

そこに一人立ちブリカン王国を見つめる。


「『メテオ』薙ぎ払え!」


補給物資は船諸とも海に沈み、海岸に積み上げられた物資も火だるまになって焼失した。


「はい終了!」


アバロン島の邸に戻るとサーシャが迎えてくれる。


「お疲れ様でした。」


「あとは迷宮で遊び疲れたら帰ってくれるでしょう!」


「間に海が有ることを考慮出来ない時点で頭が軽すぎるのです。」


一週間後、王太子とその取り巻きはアバロン島から脱出し兵は置き去り、飢え死に寸前の兵をブリカン王国の西海岸に転移してあげた。 大聖賢者暗殺の首謀者リストと共に・・・




ブリカンの兵を送り返した翌日、ロールス公爵領の邸に訪問していた。


「突然の訪問、申し訳ありません。」


「いえいえ、先触れは頂きましたので問題有りません。」


「改めてまして、お久し振りです、ロールス公爵様。」


「覚えておいででしたか?

お久し振りです、賢者阿倍マリ様。

本日はどの様なご用件で・・・」


「そろそろ報復を行おうかと思い、ロールス公爵の進捗を伺いに訪れた次第です。」


「此方を気遣って頂き、有り難う御座います。

領内は安定的ですが、難民の対応がいまいち要領を得ません。 まだ起こってもいない難民に対する対応をどうするか検討中です。」


「では、私からの提案ですが、一旦領地を城壁で囲いましょう、大した手間では無いので明日にでもやって置きます。 問題は出入口ですが、街道は開けて置きますが、その他に必要な出入口は連絡して下さい。


あと、難民の居住区を選定して頂ければ、仮設の住居を準備します。」


「手紙にて、支援して頂けるとの事でしたので期待していましたが、ここまでの事をして頂けるとは・・・」


「いえ、私の友人達が安らかに眠るのに助けて頂いているのですから易いものです。」


「それは私ではなく2000年前のロールス公爵です。」


「いえ、歴代の公爵様達も陰ながら頑張ってくれていたと私は評価しています。

勿論、現公爵様も・・・」


「有り難う御座います。」


「あと、話は変わりますが、国王からソフィア様へ召還状が届いているとか?」


「よくご存じで、確かに届いておりますが、勝手に婚約破棄をしたのは王家です。


ソフィアは傷心旅行の最中で居どころも連絡も取れませんからと返事をしました。」


「ブリカン王家は己の怠慢をソフィア様へ押し付けるつもりの様ですね!


王族としての役割を果たせないものが王族であるべきではない、貴族も同様。


自浄作用があるなら王族は黙認しようとも思いましたが、責務を果たせないものを何時までもその地位に着かせて置けば国民が疲弊していくだけです。」


「近年、王都でもスラムの数が増えていました。 領地によっては農民が農地から逃亡したり、生活苦で子供を売ったり、飢えで全滅する家も出ているとか・・・


それらの領主の殆どが王都で豪遊や権力闘争にと湯水の様に贅沢をしている者達です。」


「では、準備が整いましたら思いっきりやらせて頂きます。

報復対象の全員が王都で豪遊していますので!」


このあとソフィアが聖女アサミの航跡を辿り、諸国漫遊を楽しんでいる話をしてアバロン島へと帰宅する。



「マリア様、ブリカン王国より書状が届いています。」


「内容は?」


「先日の海戦で被ったブリカン王国の被害の賠償請求です。」


紙とペンを出してスラスラと書き、サーシャに手渡す。


「これで送って頂戴、まともに相手をするのも疲れたわ!」


「確かに・・・、しかし『バカめ』だけですか?」


「この内容はどう考えても降伏勧告です。 私の故郷ではこう言ったものには『バカめ』と返すしきたりです。」


「承りました。」



翌日、ロールス公爵領の領堺に『グレートウォール』の魔法で万里の長城バリの壁を築くと、居住区に住居を作成してロールス公爵邸を訪れた。


「ロールス公爵、昨日の話の通り境界に壁を作製し仮設の住居も2万棟ほど建ててきました。


食料支援については、難民が押し寄せたさいにソフィア様と相談して配分や方法について検討し実施いたします。」


「マリ様・・・、早速・・・有り難う御座いました。 しかし、かなり慌てた様子ですが、何か御座いましたか?」


「いえいえ、大したことでは御座いません。 昨日、邸に帰りましたらブリカン王国から書状が届いていまして、内容が「海戦で被ったブリカン王国の賠償請求」でしたので早めに滅びて貰おうと決意を新たにしたところです。」


ロールス公爵は頭を抱えながら悶絶していた。




翌日、ブリカン王国王都の貴族門の前に、人が一人しか通れない形で立看板が設置された。


「なんだこれは! いつの間に・・・、衛兵、これを退けろ!」


「そうしたいのは山々ですが、強固な結界が張られていて撤去出来ないのです。」


立看板には、「先だっての大聖賢者暗殺の首謀者ならびに中心人物を、アサミ神聖王国の法に於いて三日後に処分する」と書かれ、処刑十五人と冒険者ギルドによる処分者四人が記載されていた。


「ふざけた事を、お前ら、これを叩き壊せ!」


体格の良い騎士が数名、木槌や斧槍で壊しにかかるが、アクセラレータの魔法により弾き飛ばされていく!


立看板の最後には「我が最大の魔法アクセラレータを突破してみよ!

賢者阿倍マリより」と挑発的に記載されていた。


三日後、十五人は心臓を毒矢で貫かれ死亡し、冒険者ギルド長と副ギルド長他二名が冒険者ギルド本部により処分され、冒険者ギルドは封鎖された。


また翌日、新たな内容の掲示がされた。

アバロン島の海戦に置けるブリカン王国からの書状と、2000年前にアバロン島が賢者阿倍マリに譲渡された契約書、勇者の処刑に関する執行辞令書である。

王都民は困惑し、不満が爆発、これを隠していた教会にも飛び火、それを軍が出動して鎮圧したが、貴族門から騎兵を出せない情況で反乱民は殆どが王都外へ逃げ延びた。


逃げ延びた王都民は、王国各地でこの事を伝え、王族の権威は失墜した。


争乱が収まり、立看板を堂々と一人の少女が回収する。 それを見ていた騎士長が声をかける。


「何だお前、何をした!」


「小わっぱの分際で偉そうだな、人に名を訪ねる時は自身から名乗るものだ!」


「餓鬼の癖に戯けたことを・・・」


「私は今年で2087歳だがお前は幾つだ?」


「は?」


「話にならん!」


振り返るとスタスタ歩いて王都の門から出て行った。


「2087歳・・・、おい、追え!」


騎士達が我に帰って門から出たときには少女の姿は何処にもなかった。

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