夜のSNS
3話目、改稿しています。
ピロン
SNSアプリの通知が来たのでスマホを見ると夏樹からのチャットが届いていた。
《ミーちゃんの門限無くなりました!私の家なら泊まりもOKだって!ワーッ!パチパチ!(о´∀`о)》
《やったぜ!》
《ところでご相談があります》
《ご相談?いってみそщ(゜д゜щ)カモーン》
《ミハルのアドレスも知りたいなぁ〜って》
《あー、それかー》
《それがちょっと難しいんだよね、ミーちゃんのスマホお母さんに監視アプリとか入れられてるから。゜(゜´Д`゜)゜。》
《なにそれこわい、ミハルのお母さん厳しいって知ってたけど思ってた以上にめちゃくちゃ厳しいね》
《そなのよ、だからミーちゃんに連絡したいときは私に伝言してもらった方が良いと思う》
《春斗とミーちゃんが付き合ってるってバレたら門限もダメになるかもなのよ(´;ω;`)ブワッ》
《そっか、じゃあ仕方ないか》
《ごめんね(´;ω;`)》
《夏樹が謝る事じゃ無いよ笑》
《んもー、好き好き❤(ӦvӦ。)》
好意をストレートにぶつけられるのは嬉しいけど照れ臭いな。
以前までは幼馴染として友人感覚でのじゃれ合いぐらいに思っていたけど、今ではその意味合いの違いに顔が熱くなる。
《僕も好きだよ》
自然とそう返せた、以前までなら茶化した返事をしただろう。
諦めたはずの1番好きな人、ミハルとも付き合える事になって気分が高揚しているのかもしれない。
付き合える事になったそのきっかけをくれた夏樹に以前より強い好感を覚える。
《でもミーちゃんの為なら簡単に別れちゃうぐらいなんだよね?》
《あー、あれは本当にごめん!》
《僕なんかより夏樹とミハルが付き合った方がみんな幸せになれると思っちゃったんだ》
もし夏樹とミハルを天秤にかけるような事があれば僕が身を引く。
僕達の関係は天秤にかけるのとはちょっと違うけれど。
《そっかー、でも春斗もいないと幸せになれないんだからね❤(ӦvӦ。)》
《夏樹は最近かわいくなってきたし好きなのはホントだよ、好きじゃなかったら付き合わないし》
あれ?返信がこない。
《夏樹?落ちた?》
《嬉し落ちしてた❤》
《あっ、私も相談があるの❤》
《嬉し落ちって笑》
《相談?いってみそ》
《私達3人の関係ね、クラスみんなにいきなり言っちゃうと騒ぎになると思うの》
《あー、僕もそれ悩んでた》
《でね、段階を踏めばどうかなーって》
《ほうほう、くわしく》
《まず明日ね、私とミーちゃんが付き合う事になったって打ち明けようと思うの》
《うん、夏樹とミハルなら祝福してもらえると思う、もう二人がくっつけば良いのにみたいな雰囲気出来上がってたし》
《うんうん、でねでね、春斗は二人をくっつけてくれたキューピッド役という設定でいこうかなと思いまして》
《完全な嘘でも無いしアリだと思う》
《キューピッドだから二人は春斗に感謝していて学校ではいつも3人で一緒にいるの》
《んー、1日だけならともかくその設定でいつもは厳しくない?》
《じゃあ、キューピッドしてくれた春斗の優しさに触れて二人とも春斗を好きになっちゃうの》
《んんんんん?》
《それも騒ぎになりそう、とりあえず夏樹とミハルが付き合い始めたってとこだけで良いんじゃない?後はしばらく様子見で》
《分かった、それでいこっか、難しいね_(┐「ε:)_》
《じゃあそろそろ寝るね》
《おやすみ❤(ӦvӦ。)》
《ミハルからもおやすみ❤だって》
《おやすみ❤》
電気を消して布団の中で夏樹の事を考える。
夏樹は女子にはモテるが男子にはモテない、顔立ちは整っているしボーイッシュな女子を好きな人はいるけど夏樹はいかんせんカッコ良すぎた。
それに中途半端な男子を寄せ付けないようにしようとする夏樹を好きな女子のガードも堅い、夏樹に告白した女子から距離をおくようになった最近でも。
そんなわけで幼馴染という立ち位置の僕は学校でも女子にガードされるでもなくそれなりに行動を一緒にしていたし、帰宅してからもお互いの家に行き来したりで小中高と顔を合わせない日は無いぐらいに同じ時間を過ごしてきた。
それだけ一緒にいるわけだけど、表面的にはともかくその関係の中身には微妙な変化があったように思う。
小学生時代、夏樹は成長も早くてスポーツも出来たから友達も多く、僕からしたら自慢の出来る幼馴染という感じで憧れが強かった。
中学生になると夏樹の周りに女子が集まり始めて戸惑ったが、お互いの家を行き来する関係は変わらずのままで、そう、この頃からことある事に恋人になろうとアピールする夏樹がいた。
僕はまだ夏樹と恋人になるなんて考えられず、夏樹の近くにいるせいか周りに女子が多いのにモテない中学生活を送る事になる。
夏樹が僕の前でだけキャラを変えるような事をし始めたのはこの頃だったか。
そして高校、ふとした瞬間に「あれっ?夏樹ってこんなにかわいかったっけ?」と感じる事があり、その頻度は徐々にだが増えていった。
そして……そして……
僕が1番好きな人、有鬼堂ミハルさんと一緒に下校するようになり。
お互いに愛称や名前を呼び捨てで呼び合うぐらいには親密な友人になり。
「ナッちゃんは女子に恋愛感情があるわけじゃないんですよね」
誰とも付き合わないしそうなんだろうね。
「ナッちゃんと春斗くんは羨ましいぐらいにお似合いだと思いますわ」
ミハルぐらいだよそう見えているのは。
「結婚式には呼んで下さいね、うふふ」
新婦さん役で招待して良いかな?アハハ。
僕はいつものようにまた叶わぬ恋を諦めて。
恋が叶わないならいつか先の未来の恋に期待して、最近少しづつかわいくなってきた幼馴染と付き合う事にして。
諦めたはずの1番好きな人とも付き合う事になって。
僕は明日への期待と不安を胸に抱き、夢に落ちた。
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