1人になって考えるとハードルが高い
3人で恋人になる事が決まった後。
「ごめんなさい、私の家厳しくて寄り道とかできないの。ナッちゃん、もし良かったら私の母を説得するのを手伝ってもらえないかしら」
ミハルの家が厳しい事は有名だったので僕も知っていた。
せっかく付き合えたのに学校以外で会えないのは悲しいからぜひ説得してほしい。
「えーと……春斗どうしよう?」
夏樹が僕の方を見て聞いてくる。
僕の判断に任せたいようだ。
「僕も手伝うよ、って言いたいとこだけど夏樹だけの方が良いみたいだね?」
「ええ……母は男の人が嫌いで、出来れば春斗くんともお付き合いしてる事は秘密にしておきたいの、夏樹さんの事は母も気に入ってるし一緒に説得して貰えたら上手くいくと思うわ」
「分かった、行って来なよ」
僕と夏樹の家は隣だけれど、ミハルの家は一駅分学校に近い場所にあったから、途中の駅で降りた2人を見送る。
駅でも視線を集めてるなー、なんて考えながら手を振ったら、電車が発車するまで手を振り返してくれた。
それが嬉しくて優越感で満たされる。
今日は本当に良い1日だ。
そんなこんなで帰宅。
部屋に1人。
まあ、やる事はあるんだけど。
パソコンを立ち上げ作業を始める。
やる事は動画編集。
父経由で回されてくる顧客は有名動画投稿主がほとんど。
作業は月に20時間程度。
本当にこんなに貰って良いのかな?ってぐらいには稼げている。
父にやり方を教えてもらい始めてから1年ほどは小遣いが倍になった程度だったのだけれど、1年を超えたあたりから一気に増えて、今では税金とかを抜いて手元に入る分で月に20万円程度の収入になっている。
交渉だとかは父が全部やってくれているので詳しくは知らないけど、再生数やチャンネル登録者数の伸び方が良かったらしく、月に20時間と決めた僕に回せる分の枠が取り合いになってオークション的に値が釣り上がったそうだ。
今では僕の裁量でかなり自由にやらせてもらっているから動画編集自体楽しいし、編集した動画の再生数が伸びるのは嬉しい。
僕が動画編集の仕事を手伝っているのは夏樹も知ってるけど、この収入の額は結婚を考えるような相手以外には誰にも言わないようにと両親に口止めされているので教えていない。
「よし!作業終わりっと」
気分転換にミルクティーを飲みながら最近の事を振り返る。
クラスでは最近、夏樹とミハルが恋人になるのを期待するような雰囲気があった。
そして結ばれた、学園1のイケメン女子と学年1の美少女カップル、学園に誕生した至高の百合。
そして僕の立場はどうなのか?客観的に見ると?
百合に挟まる男、万死に値する存在、2人の女性と同時に付き合ってる浮気男。
やべぇわ、バレたら袋叩き程度じゃ済まねーわ。
夏樹とだけじゃなくミハルとまで付き合える事になったのは嬉しいけど、デートすら出来ないのでは?どうしようか?
あまりの幸運に浮かれていたけど、一人になって冷静に考えると夏樹とミハルの二人と同時に付き合う事のハードルの高さに絶望感が募り頭が痛くなってきた。
『百合に挟まる男はシネ!』『百合に挟まる男はシネ!』
グーにした手を振り上げ叫ぶ二人の友人が思い浮かんだ。
片方はノッポで眼鏡、もう片方はチビで目が伸ばした前髪で隠れてる、趣味はアニメ漫画ラノベVtuberという典型的な陰キャ。
思い浮かんだその光景にイラッとしたけど、僕が夏樹とミハルの2人と付き合ってる事を知って絶望した時の反応を想像すると面白かったから許した。
人見知りが激しくて友達は少ないけど、一旦仲良くなったらノリが良くて面白いやつらなんだよなぁ。
(・ω・)良かったらブックマーク、評価くだちぃ。
勢いだけで書いてるけどどうかなぁ?
プロットとか起承転結とかキャラ設定とか土台をしっかりしてから投稿した方が良いのでは?とか思うけど、そうしようとすると投稿前に力尽きる自信がある笑