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私を好きになってね【夏樹①】


 春斗の事を異性として意識し始めたのはいつだったか。

 小学生の低学年、まだ男子は恋愛には疎くて周りの女子が誰が好きという話をし始めた頃だったように思う。


 春斗の顔を見るだけでドキドキしてまともに顔を見れなくなっていた私を前に春斗は不思議そうにしていて


「どうしたの?気分悪いの?何か嫌な事があったの?」


 と心配してくれて、背中をさすったり抱きしめたりしてくれた。

 それは逆効果だから!と叫びそうになったけど、もちろん声には出さずに幸せな時間を受け入れた。


 中学生になると何故か私は女子に告白されるようになった。

 部活はバレーボールを選んだのだけど、女子ばっかりが私の周りに寄ってくる。


 私は普通に男子と、春斗と恋愛がしたかったから髪を伸ばして女性らしくなろうとしたのだけど。


「夏樹はカッコいいし、髪は短い方が似合ってると思うよ」


 と、春斗が言ったから元に戻した。

 カッコいいと言われるよりカワイイと言ってもらいたかったけど、それでも褒めてもらえてるのは分かったから凄く嬉しくて胸が暖かくなる。


 春斗は私の事をとても気遣ってくれるから好きだ。

 思春期を迎えた頃にほとんどの男子が女子を避けるような時期もあったけど、そんな時も私を避けないでいてくれた。


 ……男友達のように思われていただけなのでは?と言われたらその通りなのかもしれないけども。


「三木さんと秋月くん付き合ってるんだって」


「へー、良いなぁ、僕も彼女ほしい」


「じゃあ私達付き合っちゃう?」


「ははは、勘弁してよ、夏樹と恋人になったら夏樹を好きな女子グループから袋叩きに合いそうだし」


 何回告白しても私が春斗と付き合えないのはあいつらのせいなの?

 女子と恋人になるのは考えられなくても一緒にいればチヤホヤしてくれるから嫌でもなかったのだけど、私の大切な恋愛の邪魔になるなら要らない。


 その日から私に好意を寄せる女子とは少しづつ距離を取るようにしたお陰か、高校生になると女子から告白される事は少なくなった。


 でも春斗との関係は表面的には相変わらずで、私の中には執着感や嫉妬といった感情が積み重なりどうすれば春斗の気を引けるかばかりを考えていた。


 春斗は周りに流されやすい。

 学年1番の美人だというミハルの事を好きになったのも周りの雰囲気に流されての事だろう。


 春斗が好きになるのはいつも周りで評判になってる女子だ。

 学年で1番だとか、雑誌のモデルになったとか、人気のあるVtuberをやってるとか。


 周りに流されては無理目な相手を好きになっては告白もしないまま失恋を繰り返している。

 みんな私に告白してきた事のある女子だったりするのだけど。


 春斗が自分から告白しないのは、私のせいでもあるだろう。

 恋愛相談される度に告白しても上手くいかないよ、と諦める方向に話をしていたのだから。


 春斗が私以外の誰かと恋人になって、私が春斗の近くにいられなくなるのを想像すると怖くて絶望感に目眩がする。


 私に告白してくる女子とは距離を取るようにしたけど、ミハルには近付く事にした。

 告白こそされていなかったけど仲良くなってから知ったミハルの同性愛は本気のようで軽い男性嫌悪も含まれているようだから、春斗に惚れる事も無さそうだし、私の言う事なら何でも聞いてくれそうな雰囲気があったから。


「私ね春斗の事が好きなの、幼馴染でまだ告白出来ないでいるんだけどね、ミーちゃん上手くいくように協力してくれない?」


 告白出来ないでいるというのは半分嘘だ、何度も告白しているけど毎回冗談半分のように受け取られて流されているだけ。


「っ……うん……良いよ、私に出来る事なら協力するわ、どうすれば良い?」


「私と春斗とミーちゃんの3人で下校するようにして、私と春斗はお似合いだとか付き合えば良いのにとか、そういう方向に話を流してほしいの」


「うん……分かった、頑張って協力するわ」


 笑顔だけど少し辛そうな表情のミハル、ごめんね。


 私がミハルと仲良くなって春斗との3人でいると、春斗は嬉しそうにしていてその表情にドキドキして同時にミハルには嫉妬した。

 私にはそんな表情を向けてくれた事は無いのに。


 私はこんなに春斗が好きなのに春斗が好きなのはいつも別の人。

 春斗が望むなら何でもするのに、春斗は私に何でもして良いのに、春斗の部屋に行く時も春斗が私の部屋に来る時もゴムを用意して、背伸びして買った勝負下着を身に着けているのに。


 春斗が望むなら何でもするのに、春斗が望んでいる事は……。


「春斗ってミーちゃんの事が好きでしょ?でももう諦めてるよね?私は春斗の事が結構好きだし幼馴染から恋人にならない?」

「それも良いのかな?じゃあ、付き合おっか」


 えっ!うそっ!嬉しい!

 数え切れないぐらいに告白してやっと実った恋に私は浮かれた。


 やっと受け入れて貰えたのはミハルの気持ちを身近な距離で知れたからと、好きな相手との距離が縮まって恋愛に積極的になったからだろうか。


 これまでは嫉妬心から春斗の周りに他の女子がよって来ないようにしていたけど、こんなに上手くいくならもっと早くミハルを、いやミハルじゃなくても私に好意を向ける女子を利用すれば良かった。


 私の内面はどうしようも無くドロドロして歪んでるけど、これからも最愛の人と一緒にいられるというだけで幸せに満ちあふれていた。


 春斗の望みは私が叶えてあげるね。

 ミハルとエッチな事をさせてあげれば喜んでくれるかな?

 うふふ、春斗の望みを叶えてあげる私を好きになってね。

(・ω・)良ければブックマーク、評価くだちぃ。

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