日常の終わりーRED ALERT 01
終わりは1つの分岐であり、挫折。
毎日毎日………。
同じ行為に、同じ結果。
上の立場の者に逆らえず、従属する日々。
重く心は枯れ果て、大きく傷ついていた。
嫌気がさした………。
この日常に、偽りを望む自分を認識する。
だから……………。
俺は…こんな世界に……終わりを告げた。
始まりを鳴らす鐘は、同時に終わりを迎える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー01
明るい日差しがカーテンの隙間から照りつける。
いつもと変わらない日々、変化に無頓着な日常。
空はいつも青いと感じ、赤くなる時を願っている。
眠って時を過ごす時間に、暖かさを求めて、寝る。
そんな何気ない日常も、奪われてゆく感覚が怖い。
「もう、こんな時間が来なくなるのではないか」と。
※深層心理不要な方はスキップ
ーーーーーーーーーーーーーーーシーン切り替え
人の心は、本当に不思議だ。
精神と体は、持ち主が必ずしも同じとは限らない。
認識に至るまでの範囲は、古今東西すれ違い。
明日に終わりと始まりが訪れる予感を肌で感じていた。
そう単純ではないと知っていても、予知夢を信じるのか?と問われれば、答えは否である。
だが、火の無い所に煙は存在するのだろうか?と探偵並みの思考で、起きる前の事象を考察するのである。
何処か壊れてしまうことに抵抗がない自分がいる。
喜び哀しみ嘆きは、きっと俺の為にあるのだ。
独占欲に支配されたい心が、火花を散らせる。
しかし、今思えばそれが間違っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー深層心理終了
窓に光が乱反射している。
小鳥達の囀りは、とても心地よい。
「彼女に…会いたいな…」
起きて、朝ご飯を作る。
七瀬製カップ麺の蓋を開けては、3分閉じてみる。
「まだ、時間あるな…」
冷蔵庫からケチャップと胡椒を取り出す。
テレビをつけ、リビングの椅子に腰掛けた。
「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」
突然のことに驚いてしまう。そして、息つぐ間もなく
JNアラートの警報も同時に画面に発令された。
席を立とうとした瞬間、物凄い大きな揺れが…ジジッ
「……………んっ」
どうやら、倒れて寝ていた様だ。
足が思う様に動かない。
焦ったが、すぐに全身を覆う痺れは治った。
強く胸を打ち付けたのか、肋骨が折れている感覚。
痛みを振り払う様に、体を起こす。
「なんだよ………これ」
目を疑う光景が広がっていた。
窓ガラスは割れ、天井が無くなっていた。
酷い有り様だ。
一体何が起きたのか。
黒煙が上がり、サイレンが絶え間なく鳴っている。
頭の理解が追いつかない。
そんな状況で怒りを抑えられない自分を責めた。
幸いにも、情報連絡手段には困らなかった。
スマホを身につけていた自分に感謝する。
スマホのTVアプリを起動する。
ー NAJ宇宙観測所より、
「緊急の全世界同時生中継が始まる模様です。」
「現場の〇〇さん、状況報告をお願いします。」
「はい、〇〇です。」
記者が、現場の情報を伝え始める。
「直径850mを超える隕石が地球に迫っている事が判明しました。」
「これに対処する為、国防省の〇〇大臣は、全国に…」
ー 隕石だって?……。
「また、三連式電磁圧縮投射砲による迎撃を決断」
「国民の皆様に落ち着く様、理解を求めています。」
ー 流れてくる情報は、現実ではない。
なぜなら、………ここから、既に街の現状が見渡せるのだ。
「街が、家が……」 燃え盛る炎が街を一瞬にして変えた。
芽生えてくる感情は、とても心地よいとは言えない。
さらに、情報が追加される。
「ええ、今新たな情報が入りました。」
「記者会見の予定は急遽キャンセル。」
「内閣情報執務室にて、〇〇総理が、国民の皆様に向けた緊急会合の実施を検討中の事です。」
「状況は、未だ不透明なままで…」
突然、目の前がブラックアウトする。
「ジジッ………逃げて………」
頭に流れ込んでくる声
それは、どこか悲しげに訴えかけてくる。
「誰だ、誰なんだ」
強い痛みで、立っていられなかった。
「俺は…夢でも見ているのか………。」
その時だった。
記者達が響めき始める。
「ざわざわ……………………」
ドンッ!! ……………グッワッシャーン
大きな揺れと共に、音が会場全体に鳴り響く。
「な、なんだ…」
テレビの中から、悲鳴が聞こえた。
「に、逃げろーーー!わっー!」
大勢の人が扉から一斉に、群がってくる。
カメラを向けたその先に映る奇妙な姿の化物。
体は突起と触手らしきものに侵され、人の体を
成していない。大きな口が、下半身、上半身
大きく揺れ始め、鋭い爪が形成される。
にやりと緩やかに笑った様に見えたその笑みに
その場にいた記者達は、言葉を失う。
とたん、絶叫の嵐が全身の神経を振るわせた。
「う、うわー、逃げろー!!」
「キャー、来ないでえええ」
すぐに映像はスタジオへ戻され、赤テロップに切り替わる。
【国民緊急避難警報 発令】
ー 直ちに避難せよ。
「嘘だろ………」
季節が鮮烈に記憶に新しく刻まれる。
血に赤く染まる様に乾ききったその世界で、
いつもと変わらない休日が無い事を思い知った。