表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/22

17

屋敷に帰るとアバンから手紙が届いていた。


「アバンからの手紙?仕方ないからもらっておく」


アバンからの返事は何と記されているのだろう?

軽くスルーしているのか、それとも禿げ上がるほど悩んで駄洒落を考えたのか。

とりあえず私は手紙に目を通すことにした。


『ハゲ同士が喧嘩をしたが、怪我(毛が)なくてよかった』


と、返事には記されていた。


「なんだこれ!?ぷっ、ふふふふ!」


私は笑い続けた。


「コイツのギャグセンス最高じゃないか!」


今世紀史上最高に私はときめいていた。

きっと、彼は物凄く悩んでこんなダジャレを考えたのだろう。

私の無茶ぶりに悩みながら考えている姿を想像するだけで、今まであった事を全て帳消しにしてもいい気分になっていた。


「この先、あの男が悩んでひりだした。くだらないダジャレを聞くのは楽しいかもしれないわね」


私が冷めた目で見たらアバンはどんな顔をするのだろう。想像するだけで笑える。


「絶交宣言はとりあえずおしまいね」


私はペンを取り出してアバンに「仕方ないから仲直りしてやる」と手紙に書いた。


それから、アバンからの手紙は来なかった。絶交を解除してやった。それなのにだ。

自分から手紙を出したら負けになる気がして、私はアバンが会いに来るまでずっと待っていた。


返事が来なくなって三日後。

学園に行くとルチェがあることを私に教えてくれた。


「アバン様、どうやら学園を休んでいるようなのよね」


「え、そうなの?」


私はアバンが学園に来ていないことすら気が付かずにいた。

気にかけることが負けのような気がして、だから、知らんぷりしていたのだ。


「婚約者なのに、なぜ、気がつかない!?」


オウデンがドン引きした様子で私のことを責める。


「だって、興味ないんだもん」


興味がないといいつつも、アバンがどこに逃げたのだろうと逡巡する。

しかし、思いつかない。


「まさか、家出!?」


「まあ、気持ちはわからなくもない」


オウデンがジト目で私を見ている。


「何ですって!?私のどこが狂犬病なのよ!」


私は叫びながらオウデンの首を絞める。


「そういう所だよ!」


責められても私のどこが悪いのかわからなかった。


「それにしても、アバン様はどこに行ったのかしら」


その質問に答えてくれる人はいない。

けれど、なぜだろう。とても、嫌な予感がした。


それは、まるで何日も続く便秘が解消されたと思ったら、今度は下痢が何日も続き、ただ、腹と尻が痛い。

そんな腸内嵐が起きた時と同じだった。


その予感を的中させるように、屋敷に帰ると私宛に奇妙な手紙が届いていた。


『アバンを返して欲しければ、指定した場所に来い』


と、記されていた。


どうやら、アバンは間抜けなことに誘拐されたようだ。

無関係だと思うし、別にアバンを返して欲しい。とか、そんな気持ちは何一つないけれど。

なぜだろう、アバンを奪ってやった。という、犯人の考え方に私は腹が立っていた。

お気に入りのおもちゃを奪われた子供のような気分だった。


「毛が、生えなくなるまで殴ってやる……」


私は手紙を握りつぶして指定の場所に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ