16
次の日、学園に行くとルチェからある情報を伝えられた。
「メロディ嬢、学園を休んでいるみたい」
「そうなんだ」
単純に昨日、騒ぎすぎたので知恵熱が出たのか、ショックで寝込んでいるのか、どちらなのか判別がつきにくい。
もしかしたら……。
「消されたとか?」
アバンがメロディを闇討ちした可能性も考えられる。
「しれっと怖い事言わないでくれる?」
オウデンが恐ろしいものを見るような目をこちらに向けてきた。
邪魔になったら罪を着せて殺すような奴がこの世に存在しているのだから、邪魔だと思ったから即座に殺す奴だっていてもおかしくない。
「いや、だって来なくなるなんて怪しいでしょ」
「ブルーノ家はそんな怪しい家門じゃないよ!」
ルチェとオウデンそう言うので考えを改める。
「確かにそうね。きっと騒ぎすぎて知恵熱が出たのね」
「それもそれで酷いな」
私たちがメロディのことをああでもない。こうでもない。と話し込んでいるとあることに気がつく。
「昨日は、宗教の勧誘か押し売りのように鬱陶しいくらいに絡んできたのに、今日は何もないのね」
二人の親衛隊が誰一人私に絡んでこないのだ。
「そりゃあ」
二人が何か言いたげな目を向けるので、私はそうかと納得した。
「ブルーノ家に消されるって思ったのかしら」
「いや、そうじゃないだろ」
オウデンは呆れた様子で私を見てため息を吐き、そして、「昨日、リイスを止めるのが大変で筋肉痛になった」とぼやくのが聞こえた。
さほど暴れていないのにそんな事を言うなんて、オウデンは貧弱だと私は思った。
「アバン様と話した?」
ルチェは気になる様子で問いかけてくるが、昨日の今日で顔を合わせるのは不愉快だ。
話すことも特にないし。
顔を見せるなと怒鳴りつけたので、私の中であと四半世紀くらいは顔を合わせない予定でいる。
「何で?」
四半世紀顔を合わせない予定なので、なぜ、話す必要があるのか不思議で仕方なかった。
「婚約者でしょ?」
「え、めんどくさい」
婚約者だからって顔を合わせる必要なんてあるのだろうか。
結婚なんて本人の意思など関係なく紙一枚でできてしまうのだから、四半世紀は顔を合わせなくても大丈夫な気がする。
「ちょっと、可哀想だよ」
ルチェは、アバンになぜか同情していた。
気持ちはわかるけれど、所詮他人事だから同情できるのだ。
昨日の修羅場はかなり迷惑だったのだ。
「だって、完全な巻き込み事故じゃない。そもそも、私と結婚する必要性ってそこまでないじゃない」
アバンは別に私と結婚する必要はそこまでないのだ。
「アンタの事が好きだからじゃないの?」
ルチェの一言が不思議で私は首を傾ける。
何言ってるのかよくわからない。
「私のどこがいいんだか、お父さまもなんで受けちゃったのか謎よ」
「まあ、親心でしょうよ」
オウデンは、私の親の何がわかっているのだろう。
そういえば昨日、父も同じことを話していた。
まるで、私のためにこの縁談話を受けたような口ぶりにとても腹が立った。とりあえず、父の頭を毛が生えなくなるまで殴ろう。
昨日、暇潰しで読んだ本に「ハゲは人類の進化」と、書かれてあった。
父をハゲにして進化させてやれば、もう少し娘にも毛ほどの愛情を示してくれるかもしれない。そんな気がした。




