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役に立たない話をしてルチェとオウデンが帰って行った。
しばらくして父が帰ってきたのを知ると、とりあえずしばこうと思い彼の元へ向かった。
「クソお父様!」
「リイス……」
父を呼ぶと彼は壊れたおもちゃを見る子供のような目をこちらに向けてきた。
「アバン様とメロディ嬢がやってきて目の前で朝からドロドロの修羅場劇場をされたんですが」
「修羅場劇場……」
目の前で起こった修羅場劇場の内容を父に話すと、彼は「やっぱりか」と言って頭を押さえた。
「ぶっちゃけ、面倒だから婚約解消してください。資金援助すればいいんですよね?お金返してくれるなら、別に結婚しなくてもいいじゃないですか」
正直、手切金払ってもいいからアバンの家と関わりたくなかった。
ワンチャンいけそうな方法とした兄のカミュを女装させて嫁がせる方法もあるけれど、バレる可能性もあるので我慢する。
騙されたアバンと罪悪感に苛まれるカミュの絡みを見たくないといえば嘘になるけれど。
「この婚約はな、資金援助が目的ではないんだ」
「何ですって?」
「アバン君がお前と結婚したいって血迷った事を言い出したから、気持ちが変わらないうちに押し付けたんだ!」
唐突にぶっ込まれた発言に私は目玉が飛び出しそうになった。
それは、あまりにも私に失礼ではないか。
「はぁ?」
「お前、なんて言われてるか知ってるか?」
「淑女になり損なった熟女予定の令嬢ですか?」
「違うわ!狂犬令嬢だ!」
「私は狂犬病じゃありません!」
「そんな話はしていない!」
「私は、独り身でも大丈夫ですから!」
そこまで言われているのなら、結婚なんかしないで修道院にでも行った方がいいのではないかと思ってしまう。
「そうはいかん!」
「資金援助だけすればいいだけじゃないですか」
「ブルーノ家はそこまでお金に困っていない。資金援助なんて形式的なものでしかない」
話を聞けば聞くほど金銭援助のための婚姻ではないという現実を突きつけられていく。
「意味がわからない。婚約する必要性ないじゃないですか」
「親心だよ。お前のようなやつでもいいと言ってくれる。そんな人死ぬまで現れないぞ!」
「別に現れなくていいです!」
「とにかく!婚約解消は認めない!お前の引き取り先が見つかったんだ!」
そんなに家から出て行って欲しいなら修道院だってあるじゃないか。
「修道院に行きます!」
「修道院を修羅場劇場にするつもりか!いやよ!やめて!神様を冒涜しないで!」
父は興奮のあまり口調がオネエになっていた。
「ゴミムシ糞お父様!」
「もっとひどくなってる!」
父としばらく口論を続けて部屋に入ると、アバンからの手紙が届いていた。
そこには、私への謝罪と身辺整理をすると綴られていた。
メロディとのやりとりを思い出し、怒りをぶつけてしまったけれど一つだけチャンスを与えることにした。
『何か面白い事を書け、書けなかったら毛が生えなくなるまで頭を殴ってやる。そして、二度と会わない』
と、私は返事を返した。




