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アバン2

僕はいつのまにか目の前にいる酔っ払いに全てを打ち明けていた。

悩んで突然現れた変質者に、打ち明けるようなほど僕は追い詰められていたのかもしれない。


「うわぁ、どん引きだわぁ」


リイスは僕の話を聞いてその一言で全てを片付けた。


「そんなに酷い?」


「みんな酷い。アンタなんで言うこと聞いちゃうの?……まともそうに見えて同類だね」


リイスの言葉のナイフはグサリと僕の心に突き刺さった。

メロディと母を最初は説得しようと話をした。けれど、二人は愛のためなら落ちぶれてもいいと言い。僕の意見を聞き入れはしなかった。

だんだん、僕は二人と話し合うのを諦めて流されてしまっていた。


「……」


言い訳だけが頭の中でぐるぐると回り続ける。

リイスはそんな僕の頭を叩いた。


「口先だけなら誰でもできるんだよ。本当にどうにかしたいなら、親恋人なんて無視して恥も捨てて走り回れよ」


「そうだな、だけど」


「アンタがまともな人でいたいなら、彼女とは別れた方がいいよ」


リイスの言うことはごもっともだった。

だけど、わかっていても長年そばにいた事もあり、彼女を切り捨てることができそうにない。


「うん、だけど、そんな勇気がない」


「おい、お前!付いてんのか、おい!」


リイスは突然僕の胸ぐらを掴んだ。


「漢気だよ……」


リイスの呟きに僕は首を傾ける。


「漢気だ!漢気さえあれば何でもできる!なんとかならなかったら私がやる!どうしても困ってて助けて欲しかったら私が結婚してやるよ!テメェの漏らしたケツをクイクイっと拭いてやらぁ!とりあえずアンタは事故の件どうにかしろ」


「それは、本気で?」


リイスの漢気に溢れる言葉に僕は戸惑いながらも、叱咤してくれる人がいてとても嬉しかった。

たとえ、話の勢いであったとしても彼女なら本気でやってくれそうな気がする。


「私に二言はない!アンタを守ってやるよ!たとえ宇宙人が降臨して世界が破滅したとしても」


リイスは勢いだけで喋っているのがわかる。それでも嬉しかった。


「だから、そんなシケた顔すんな。な?オメーはやるべきことやればいいんだって、それは間違ってないから自信持て!」


「ありがとう」


リイスの言葉に僕は元気付けられていた。


「とりあえずさ、船の件ちゃんと片付けられたら結婚してやってもいいよ。漢気を見せてくれたら次は私が見せてやる!」


酔った勢いで言ってるのはわかっているけれど、僕はそれを本気で取ることにした。


それから、僕は母とメロディの言う事を無視して事故の後始末に走り回った。

メロディには距離を置きたいといい寮に入れた。

それから程なくして乗り組員たちの安否がわかり、久しぶりにゆっくり眠れた。事故の始末を終えると父は、疲れた様子で領地に引きこもった。

没落することはなんとか避けられたが、生活はしばらく苦しいものになるだろう。

それでも、何もしないで終えるよりもずっと良かった。

メロディとの別れ話は難航したが、リイスが「結婚してやる」と言ったので僕はそれに縋った。

酔った勢いで言った事なので覚えていないだろうが、二言はないと言い切ったので思い出すことに賭けることにした。

そして、彼女は自分の言った事を覚えていなかった。

予想通りだったけれど、彼女らしかった。

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