表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実✕仮想のクロスワールド  作者: 切り札の一手
4/9

アストリウスを守れ!

異世界ダイブ系、第4話。今回はアストリウス防衛戦に向けての準備回のようなものです。

それでは本編をどうぞ!

 騎士団の後を追うように付いていくこと、数時間。

 俺達の前に、巨大な城門が目に入った。

 それは目的地が近いことを示していて、俺の気持ちも自然と引き締まっていた。

「使徒様、もうすぐアストリウスに着きますよ!」

「そうみたいだな…何か緊張してきた」

「使徒様も緊張するんですか?とても素晴らしい力をお持ちなのに…」

「俺はまだまだ新米だからね…上手くできる自信がないんだよ」

 実際、自信はない。だけど、やらないとレイア達を助けられないし、元の世界にも戻れない。

 もうすぐ起きるアストリウス防衛戦、絶対に勝たないと。

「何を上手くできる自信がないのかはわかりませんが、使徒様はもう少し自信を持って良いと思いますよ」

「そうかな…でも、ありがとう。やるだけやってみるよ」

「その意気です!さぁ!もうじき、お城に戻れますし胸を張って入りましょう!」

「うん…まぁ、俺の姿を見ることができるのはレイアだけだけだからあんまり関係ないかもしれないけど」

「言われてみれば確かにそうですね…使徒様の姿がハッキリと見えているので、いつもより存在を強く感じてしまって…つい」

 そう言って、照れくさそうに笑みを浮かべるレイアを見ている内になんだかこちらまで照れてきてしまった。

 この娘、可愛すぎない?見ているだけで、何か浄化されそうなんですが。

 と、そんなことを考えていると、レイア達が次々城へと入って行くのが目に入り、俺もそれについていく。

 そうして城門を抜けると、賑わいのある国の景色が広がった。

「うわぁ…すっげー!」

「使徒様に気に入って頂けたようで何よりです!」

「あぁ、賑わいがあって良い国だね…」

 素直な感想を口にしつつ、改めて辺りを見渡す。

 周りには食料を売っている店や、装飾品を売っている店、武器や防具が売っている店等、様々な店があった。

 すごいな…如何にもファンタジー世界みたいな感じだ。まぁ、リアルクロスはファンタジー世界だし、当然といえば当然だけど。

 アストリウス防衛戦が始まったら、ここにいる人達も巻き込まれるんだよな…どうにかできないだろうか?

「使徒様?どうかなさいました?」

「いや、大丈夫だよ。改めて良い国だなって思っただけだよ」

「そうですか?それなら良いのですが……もし、お悩みがあるなら遠慮せずに私に言ってくださいね」

 何かを察したように、レイアは俺にそう伝える。

 もしかして、レイアにバレちゃったのか?顔に出てたのかな…姿が見えると、こういう風にバレることもあるのか。

 どうしよう…レイアに話すべきだろうか?話した所で信用してもらえるか?だけど、レイアが信じてくれたらここの人達も避難できるかもしれない。

 話すだけ話してみよう。信じてもらえなかったら、その時は諦めよう。

 そう考えて、俺は口を開いた。

「レイア、信じてもらえるかはわからないけど…」

「はい…」

「もうすぐアストリウスは襲撃を受けるかもしれない」

「襲撃、ですか?一体誰が…」

「それは、わからない…だけど、さっきから嫌な予感がするんだ…だから念の為、ここの人達を避難できないかな?」

「嫌な予感ですか…だから、使徒様は先ほどから何かを警戒していたんですね」

「あぁ…だけど、それが確実に起きると証明できるものが俺にはない…それでも信じてくれるか?」

 俺の言葉にレイアは少し考える仕草を見せる。

 まぁ、それも仕方ない。いきなりこんなことを言われても信用するのは難しいだろう。

 ましてや、レイアはこの国の姫で騎士団長だ。その立場上、確証のない情報でそんな判断を下すのは難しいはずだ。

「いや、やっぱり忘れてくれ…俺の気のせいかもしれないし」

「いえ、私は使徒様を信じます!」

「えっ…?」

「信じます!」

 若干、食い気味に信じると口にするレイアに俺は驚きを隠せない。

「本当に良いのか?何の確証もないのに?」

「はい!例え確証がなくとも私はあなたを信じます!」

「それって国として大丈夫なのか!?」

「大丈夫です!むしろ、ここであなたの言葉を信じずに、この国の人々が血を流してしまったら、私はきっと死ぬほど後悔しますから」

「レイア…」

 本当にどこまでも真っ直ぐな女の子だな…まぁ、俺はそういう所も好きなんだけどさ。

「うん。信じてくれてありがとう」

「いえいえ。こちらこそ、私を信じてくれてありがとうございます!それでは、さっそくお父様とお母様に報告しに行きましょう!きっと2人も力になってくれます!」

「そうだな、きっと力になってくれる……よし、行こう!」

 そう決意を固め、俺とレイアは王城に向けて歩を進めるのだった。

///////////////

「ただいま戻りました。お父様、お母様」

 この国の王と王妃、レイアからすれば両親である2人の前で、レイアは跪く。

 俺もそれに倣い、跪く。2人に俺の姿は見えないのかもしれないが、これは礼儀の問題だ。

 実際、この国を治めている王と王妃の前で、不躾な態度を取るのはさすがにどうかと思うし。

 俺達が今ここに居る場所は、玉座の間とも言うべき場所で、辺りは見るからに豪華な作りになっている。

 そして、奥には王様と王妃様が座る豪華な椅子があり、そこに、この国を治める2人の人物が腰掛けていた。

 それにしても、すごい威厳だな…この国の王様。やっぱり国を治める立場の人はこういう感じなんだろうか…俺には到底真似できない。

 というか、まったく関係ないけどレイアのお母さん、美人すぎる…レイアと同じ金色の髪、ただレイアと違ってお母さんはロングヘアーだけど、レイアが大人になったらこんな感じかなと容易に想像できる。

 お父さんもイケオジみたいな感じだな…あの強い意思を感じさせる真っ直ぐな瞳も王としての威厳の理由の1つかもしれない。

 こうして考えると、レイアは基本的にお母さん似で瞳はお父さん譲りって感じか。

「良く戻りましたね、レイア。元気そうで何よりです」

「うむ。よくぞ無事に戻ってきた…此度の調査は不明瞭な部分も多く、心配していたのだ」

 2人共、心底安心した表情でレイアに優しい言葉を掛ける。

「はい!使徒様のおかげで、無事に帰還することができました」

「使徒様!?まさか、神の使徒様がお前のことを救ってくださったのか!」

「はい!今も私の隣にいらっしゃいますよ」

「そうなのか!?私にはあなたの声も聞こえず、姿も見えないが、感謝の言葉だけでも言わせて頂きたい…使徒様、我が娘を救ってくださりありがとうございます!」

「私からも、言わせてください。使徒様…レイアを救って頂きありがとうございます」

「いえいえ!そんな、俺なんか…!顔を上げてください!」

 レイアの両親に頭を下げられ、たじたじになりながらそう口にする。

 いや、ホントに顔を上げてほしい…この国のトップ2人に頭を下げさせるとか畏れ多いって。

 確かにレイア達が魔獣を調査した時に助けたりはしたけど、あの時はゲームだったわけだし……ん?待てよ…その記憶がレイアにあるってことは、その時からもう…?

 いや、さすがに考えすぎだよな。

「お父様、お母様。使徒様は顔を上げてくださいと言っていますよ」

「そうなのか?何と器の広い御方なのだ…あなたがそう仰るのであればその言葉に甘えさせて頂きます」

 そう言って、ようやく2人は顔を上げてくれた。

 良かった…あのままじゃ俺のメンタルが死ぬ所だった。

「使徒様のことをご紹介できた所で、お二人にお話したいことがあります」

「ふむ、話したいこととは何だ?レイア」

「実は…」

 決意を固めたレイアは王様と王妃様に俺から聞かされたことを話した。

「なるほど…使徒様の感じた嫌な予感か…確かに使徒様の言葉であれば信じるに値するものであろうな」

「私も使徒様の言葉であれば信じるべきだと考えます…ですが、我が国の民にいきなり避難を呼びかけるとなると、混乱を招くのは避けられないでしょう」

「でも!もし、避難できなければ多くの民が血を流すことになるかもしれません!」

「その通りだ…民を守る為に全力を尽くすのが王としての役割だ。混乱を承知で避難させるしかあるまい」

「ですが、混乱の最中で冷静な行動を取れるとは思えません…避難をさせるにしても何か工夫が必要でしょう」

「工夫か…」

 王妃様の言葉に王様は険しい表情を浮かべる。

 王様も王妃様も、民を助けたいと思っているのだろう。だが、このままやっても混乱を招くだけで上手く行くかはわからないから、こうやって悩んでいるんだと思う。

 皆を混乱させないように避難させる方法か……あっ!これならいけるんじゃないか。

「レイア、1つ思いついたんだけど…」

「本当ですか!?使徒様!」

「うん…上手くいくかはわからないんだけど…」

「はい!聞かせてください!」

「わかった。えっと、避難訓練みたいな形にすれば良いんじゃないかな?」

「避難訓練…?」

 レイアが首を傾げてそう尋ねる。というか、その仕草は反則じゃない?可愛すぎる。

 と、しっかりしないと…どうやらちゃんと説明した方が良さそうだし。

「あぁー…簡単に言えば、この国の人達に非常事態が起きた時はこうやって避難してねっていうのを教える訓練っていうのかな…万が一の時に備えての訓練みたいなものだと思ってくれて良いよ」

「なるほど…訓練の形を取って、避難を呼びかけるということですか…良いと思います!やるだけやってみましょう!」

 俺の言葉を聞いたレイアはすぐさま、王様と王妃様に呼びかける。

 すると、2人も俺の提案を受け入れてくれたようで、すぐに準備を始めると言ってくれた。

 ふぅ、とりあえずこれで何とかなるかな?上手くいけばこれから起きるアストリウス防衛戦でこの国の人達の犠牲が少なくなる。

『絆野君、なかなか良い調子だね!本来のルートなら、このままアストリウスの人達の多くが犠牲になっちゃう所だったんだよ…』

 マジか…本当に良かった…とりあえずこれでこの国の人達は大丈夫と思って良いんだろうか?

 まぁ、とにかくやるしかない。

『うーん、やっぱりちょっとゲームのシナリオとズレることもあるんだね…絆野君の影響かな?まぁ、とにかく気をつけてね…私も見守ってるけど何が起きるかわからないから』

 岡野さんの心配そうな声を聞き、それに答えるように彼女から見えるようにサムズアップする。

『…うん、頑張って!絆野君!』

 その声に励まされ、アストリウス防衛戦に対して決意を新たにするのだった。

次回はアストリウス防衛戦になると思います。一応前後編の予定です。

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ