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現実✕仮想のクロスワールド  作者: 切り札の一手
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プロローグ

異世界転生や異世界転移とは違い、ゲームの世界に飛び込む感じの物語です。ただ、VRMMO系等とも違うので、何と言えば良いのか…異世界ダイブ系?

ともかく、楽しんでいただければ幸いです。それでは本編をどうぞ!

 20XX年、あるアプリゲームが世界的に流行していた。そのアプリゲームの名前はリアルクロス、マルチエンディング仕様のゲームで、そのエンディングの数は現在確認できるだけでも80以上にもなる。

 プレイヤーは神の使徒となり、キャラクター達を導き、トゥルーエンドに辿り着くというのが目的となるが、エンディング分岐の条件が細かく、辿り着くのはなかなかに困難を極める。

「いや〜、改めてリアルクロスはどういうゲームか軽く考えてみたけど、トゥルーエンドに辿り着くの難しいな」

 スマホのゲーム画面を眺めながらそんなことを口にする。

『使徒様、どうかなさいましたか?』

 ゲーム画面から推しの声が聞こえる。透き通るような綺麗な声を発しているのは、白を基調としたドレスに軽装の鎧を身に着けている金髪のショートヘアーの碧眼の美少女レイアだ。俺、絆野未来(ほだのみらい)の推しキャラである。

 彼女はリアルクロスの世界に存在するアストリウス、イールン、マグナカリバの3つの内の1つの国、アストリウスの姫で、騎士団長も務めている姫騎士だ。

 リアルクロスは、プレイする時にそれぞれの国に5人のキャラクターがおり、その中から1人を選んでゲームをプレイすることができる。

 合計15人のキャラクターから、彼女を見つけた時、あまりに自分の好みにドストレートだったので、迷わず彼女を選んだ。その判断は間違いではなかったと自信を持って言える。

『使徒様、もしかして体調が悪いのですか?お返事がないので心配です』

「あぁ、いや大丈夫だよ。心配掛けてごめん」

『そうですか。それなら良かったです』

「うん、ありがとう……あれ?」

 今、何か奇跡的に会話になってたな…たまたま画面を押しちゃったのか。まぁ、レイアと会話した気分になれて良かったな。

「っと、そろそろ準備しないと…」

 登校時間が近づき、リアルクロスのアプリを閉じ、自分の部屋からリビングへと降りる。

『行ってらっしゃいませ』

 ふと、そんな声が聞こえた気がして振り向くと、そこにはいつもの俺の部屋しかなかった。

「ん?気のせいか?まぁ、とにかく学校行くか」

 そうして、俺はリビングに降り、準備を済ませて学校へと向かうのだった。

/////////////

 ゆらゆらとバスに揺られていると、ついついうたた寝しそうになる。

 いつもバスで登校している身ではあるけど、なんとも抗い難い感覚だ。

 もういっそ寝てしまおうか…そんなふうに思っていると隣から肩を叩かれる。

「おーい、起きろ!寝るなって」

「あぁ、起きてる起きてる。それにしても、何でバスってこんなに眠くなるんだろうな」

「気持ちはわからんでもない。ただ、寝たらお前絶対寝過ごすだろう」

「確かに」

 俺の隣に居る男の名前は霧野俊(きりのしゅん)、高校1年生の時に友達になり、高校2年になった今も同じクラスで友達だ。

 しかも、登校方法も俺と同じバスであり、基本的に一緒に登校している。

「そういや、リアクロはどこまで進んだ?」

「お前に薦められて、1ヶ月ぐらいだけどそこそこ進んだ方かな」

「そこそこ?1ヶ月も経てば1つのエンディングぐらい見れるんじゃね?」

「俺は一気にストーリーを進めたいタイプじゃない、推しとの時間を大事にするタイプだからな」

「そういう系か…まぁ確かに推しキャラとの時間は大事だもんな、わかる」

 うんうんと頷きながら俊がそんなことを口にする。

 リアルクロスは基本的に特定のアイテムを集めてストーリーを進めていくゲームで、ログインボーナスやデイリーミッションをこなせばストーリーをさくさく読むことができる為、無課金勢にも優しいゲームになっている。

 仮にアイテムがなくても課金することでストーリーを見ることもできるようで、早めにストーリーを見たいという人にはそっちの方が良いかもしれない。

 現に俊のやつはストーリーを早く見たいという理由でよく課金をしているらしく、エンディングもかなりの数見てきたらしい。

 俺はまだ始めて日が浅いし、課金というものをあまりしたいとは思わないから、その辺のことはよくわからないが。

「あっ、そういや朝リアルクロスをプレイしてたらさ、レイアと会話っぽいのができたんだよ」

「そんなのできたのか?お前の妄想でなく?」

「妄想ではないけど、たまたま偶然?画面に触れずに放置してたらさ、レイアから体調悪いのかみたいなこと聞かれてさ」

「ほぅほぅ」

「それで思わず大丈夫だよって返事しちゃってさ。そしたら、それなら良かったって返ってきたんだよ」

「そうか…あれ?リアクロのキャラクター達ってキャラをタップしなきゃ、特定のセリフは言わなかった気が……一応、ログインすると時間帯毎にセリフは言ってくれるけどそれ以外はなかったはずだけど……アップデートでもされたのか?」

 俺の発言に俊が疑問符を浮かべる。前はこのシステムはなかったってことなのか?最近始めたばかりの俺にはよくわからないけど。

「ちょい試してみるわ」

「オッケー」

 そうして、俊はリアルクロスのアプリを開く。すると、紫色の長い髪の妖艶な女性が姿を見せる。

 確か、この人はイールンの女魔術師だっけ?名前は確か、オルテナ。クールでセクシーな美女で俊の推しキャラだ。

「で、どれくらい放置してたんだ?」

「確か、5分…いや、3分ぐらいだったかも」

「よし、じゃあ学校に着くまでまだ時間あるっぽいし、一応5分ぐらい待つか。未来、時間測ってくれ」

「了解」

 そう言って左腕の時計を確認する。時間は午前8時5分、8時10分になったら、俊に伝えてやろう。

 そうして待つこと、5分。たった5分だというのに、いざ時間を意識するといつもより時間の流れを遅く感じた。

「5分経ったぞ」

「そうか…特になんの変化もないな」

「だな」

「やっぱ、お前の妄想じゃね?」

「いや、間違いなく聞いたぞ。俺がレイアの声を間違うはずもないし」

「まぁ、お前が嘘を言っているようには見えないし、本当なんだろうな…じゃあ何なんだ?何か特殊な条件があるとか、でなければバグか?」

「俊にわからないもんが俺にわかるわけないだろ…まぁでも、別に困るもんでもないし良いんじゃね」

「そうだな…というか、お前が試しにリアクロ開けばわかるんじゃ…」

「あっ…」

 その手があったわ…何故今まで思い浮かばなかったんだ。そうと決まればさっそくやってみるか。

 そうして、リアルクロスを起動すると、いつもの推しの姿が現れる。

『使徒様、どうかなさいましたか?先ほどお出かけしたばかりなのに…もしかして、何か急用ですか?』

「おい、待て待て聞いたことないぞこんなセリフ!?」

 耳元でそんな声を出す俊をスルーしつつ、試しにレイアに声を掛けてみる。

「いや、なんとなくレイアの顔が見たくなって…」

『そうなのですか?私の顔を見たところで特に何かを得られるとは思えませんが…ですが、あなたに言われるのは嬉しいものですね』

 そう照れくさそうに言うレイアは本当に生きているようで、まるで俺だけがリアルクロスの世界に居るような錯覚に陥った。

「…っと、そろそろ目的地に着きそうだし、また後でな」

『はい。ではここでお待ちしていますね…行ってらっしゃいませ』

 そう言って笑顔を向けてくるレイアを見ながら、そっとアプリを閉じる。

「…マジか…こんなことあるんだな…」

「俺も正直驚いてる…まさか、本当に会話できる日が来るとは…これって夢か?」

「試しにビンタしてやろうか?」

「それは勘弁。痛そうだし、もし夢ならそのせいで夢から覚めるだろ」

 まぁ、十中八九夢ではない。さっきから自分の手を抓っているけど、痛いし。

「そういや、俺の声は聞こえてないっぽかったな…隣に居て、しかも声も出してたのに何の反応もなかったし。まるで、お前だけリアクロの世界に行ったみたいだ」

「だな…これってバグなのか?」

「さぁな、だけどそれがバグだとしても羨ましい限りだわ。良いな〜俺も推しと喋りたいな〜」

「確かに、バグだとしてもこれは嬉しいバグだな…しばらくこのままにしておこうっと」

「そうしとけ、もしそれがバグならその内修正されんだろ」

「できればこのバグは修正してほしくないけどね…」

 そんな会話を交わしていると、目的地を告げるアナウンスが鳴り響く。

「次はエクス高校前〜エクス高校前でございます」

「おっ、着くっぽいな。降りようぜ、未来」

「了解」

 そうして、俺と俊はバス代を電子マネーで払い、バスから降りた。

 さて、今日も学校頑張るか!そんで家帰ったらリアルクロスをプレイしよう。

 モチベーション上がってきたぞ!

 そんな風にレイアとの会話を楽しみにしながら俺は学校へと向かった。



 だが、この時の俺はまだ知らなかった。この出来事が後の壮大な戦いへと続いていることに。


 レイアと会話できるようになったのはバグなどではない。それは現実と仮想が混じり合い、やがて2つの世界の命運を賭けた戦いの始まりだったなどと、この時の俺は知る由もないのだった。

主人公の姿としては、青みがかった黒髪に右が碧、左が黒のオッドアイで、碧の目は前髪で隠れている感じで、身長は177cmの長身の青年です

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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