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オーナーズ・オブ・ブレイド~チート刀と少女達で、俺は異世界を救う~  作者: 高下 高
第七章 兵とオーナーズ・オブ・ブレイド
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96.謁見と答えにくい質問

 騎士(きし)達を見ると、(しばら)くして彼女らの下に一人の女性が来て、内容は聞こえないが、話し()けていた。


 話が終わると、その女性は、一礼をして戻っていく。


 すると、騎士の一人が(となり)にいる者に話し掛け、それが終わると、話し掛けられていた者が、こちらへと()けてきた。


 刀気(とうき)達の前に止まり、女性は声を出した。


 「オーナーズ・オブ・ブレイドの皆さん、団長がお呼びです。私達の下へ来てください」


 刀気は了解し、カノア達と共に騎士達の下へ向かう。


 騎士達の下に着くと、その一人が振り返り、刀気達に近づく。


 その姿を見て、刀気は、思わず(つぶや)く。


 「え……?」


 その姿は、装備こそ違うが、薄茶色(うすちゃいろ)(かみ)と目で、目は見覚えのある(するど)さがあった。顔が見えたのは、大半の騎士と違い、ヘルムを被っていないからである。ちなみに、装備は違えど、剣は初めて見た時と同じものであった。


 彼女は、礼をしながら感謝を述べる。


 「此度(こたび)戦闘(せんとう)、加勢していただきありがとうございます」


 刀気は、感謝への返答ではなく、疑問に思ったことを口にした。


 「何故(なぜ)、ジャンヌさんがここに?」


 そう、眼前にいる女性は、国主が訪れたときに護衛の騎士と共にいた、国主(こくしゅ)の側近であるジャンヌだった。


 ジャンヌは、体を戻し、口を開く。


 「……そうか、お前は知らないのだな。私は国主様の側近と騎士団団長を兼任(けんにん)している」


 刀気は、内心では(おどろ)きつつも、納得する。


 「そうだったんですか」


 側近と騎士団長、二つの大役(たいやく)(にな)っているのは初耳だが、思えば、実力を備わっていることが(うかが)えた。先の戦いの時に少ししか見えなかったが、騎士達の中に明らかに他の騎士とは動きが違う者がいた。動きが速く、顔がよく見えなかったが、よくよく考えれば、あれはジャンヌだったのだろう。薄茶色の髪に見覚えがある剣といった、前方の女性と一致する部分があるからだ。当時は、無駄(むだ)のない立ち回りや読まれにくい攻撃(こうげき)しており、刀気にとってその動きは、経験上熟練者の動きだと判断していた。元の世界でも、ゲームの中でだが、同じような動きをし、そのゲームのシステムを完全に理解したような強者を、刀気は何人も見てきた。それ(ゆえ)の判断である。


 つまり彼女は、それだけの実力があり、兼任は、その結果だとされる。


 騎士団長は、咳払(せきばら)いをした後、話し始めた。


 「本題に入るが、今回の戦果により、お前達には、国主様に謁見(えっけん)することを求める」


 刀気は、確認するように問う。


 「謁見……、ですか?」


 国主がこちらへ訪れることはあったが、こちらが向かうことは、少なくとも刀気は初めてである。ましてや、謁見という単なる訪問ではないので、国主からの方とは意味合いが異なる。謁見自体は、ゲームで何度か見たことがあるが、実際に経験するとなると、緊張(きんちょう)せざるを得ない。


 ジャンヌは(うなず)き、二言目(ふたことめ)以降は、これからのことを告げる。


 「そうだ。私は先に行き、国主様へ伝えるため、案内は副団長が務めさせてもらう。他の者には、負傷者の手当を命じる」


 そうして、彼女は振り向き、騎士達の中の一人を見て、言う。


 「頼んだぞ、ティミー」


 声を掛けられた人物は、(おび)えた顔で返事をする。よく見ると、その者もまたヘルムを被っていなかった。


 「は、はい!」


 ティミーと呼ばれた女性は、白髪(はくはつ)で茶色い目をしており、髪にはヤミのように()ねているところがあるが、彼女より少ない。装備は薄茶色の髪の女性と似ているが、デザインが所々(ところどころ)で異なっている。


 向き直したジャンヌは、手招きをして、刀気を呼ぶ。


 「それと、鶴元(つるもと)刀気。私の前にこい」


 刀気は、言う通りにジャンヌの前へ行き、近づく。


 すると騎士団長は、顔を刀気の右耳に寄せ、(ささや)く。


 「お前は、甘すぎるな」


 「……!」


 ジャンヌの囁きに、刀気は思い当たるところがあり、無言で驚く。それは、彼女が刀気を見たときに、少しの間、目を下に向け、(まゆ)をひそめたことである。


 囁かれた直後に、ちらりと下を見ると、(みね)を後ろ向きにした言技化丸(ことぎかまる)があった。どうやら、ザドを倒した後、無意識のうちに刀の向きを戻すことを忘れていたようだ。つまり、ジャンヌはその状態の刀を見て、刀気が峰打ちを行ったことを察したとされ、さっきの囁きをしたとされる。まあ……、言ってしまえば、自分のミスで、峰打ちを使っていたことがバレたということだ。


 刀気の戦い方と騎士達の戦い方を思い返せば、甘すぎると言われるのも仕方がないのだろう。理由としては、刀気は峰打ちだが、騎士達はそのまま攻撃していて、敵ともども出血していたからである。なので、血を流さない刀気の戦い方は甘いとされても、反論はできない。しかし、たとえそうだとしても、自身の選択を後悔(こうかい)するつもりはない。刀気達の戦い方がどのようなものかは、発案した時に理解しており、その上で選択したものだからだ。


 もしも、今回のような戦いがこれからもあり、そこで敵が峰打ちに気づき、反感を買われたとしても、変えることはないだろう。だが、峰打ちを過信するつもりはなく、使うときは細心の注意を払っている。何故なら、単なる峰打ちではなく、身体強化込みのものであるため、加減を間違えれば、どうなるか分からないからだ。場合によっては、通常では起こりえないことになる恐れがあり、倒れたまま一度たりとも動かなくなることもあり得る。故に、行動自体は甘いとしても、行う側からすれば、簡単ではないのだ。


 しかし、刀気は事情を説明することなく、表情を改める。理由としては、事情説明が、自身の甘さへの言い訳として解釈(かいしゃく)される可能性があるからだ。


 ジャンヌは、刀気の右耳から顔を離し、口にする。


 「それでは、私はこれで失礼する」


 そうして振り返り、デュルフング城へと歩いた。


 刀の向きを戻し、(さや)に納めてから、刀気は元の位置に戻る。


 すると、ティミーがこちらへ来て、口を開く。


 「……で、では、私が案内を務めさせてもらいます。鶴元さんとミウさんとは初めてですので、自己紹介を。私は、ここの騎士団の副団長をしていますティミーといいます」


 続けて、刀気とミウが自己紹介で返す。


 「お――自分は、オーナーズ・オブ・ブレイドのリーダーの鶴元刀気です」


 「わたしは、メロディアスから来ました、ミウといいます」


 そこで刀気は、あることに気づく。それは、騎士団の中でヘルムを被っていないのが、見えている限りでは団長と副団長だけだということだ。そこから、その訳は、階級の違いを表すためのものだと推測する。ちなみに、団長と副団長で装備のデザインが違うのもそのためだとされる。


 そして副団長は、身振りと共に案内を(うなが)す。


 「……では、改めて案内を始めます。わ、私について来てください」


 その後、ティミーは城の方を向いたので、彼女に合わせて、刀気達は歩み始めた。






 それから暫くして、ティミーが足を止めたので、刀気達も止まると、白髪の女性は振り返り、右方向を示して言う。


 「こ、ここが、謁見の間となります。私は、戻られたらときの案内のため、ここでお待ちしていますので……」


 右を向くと、大きな(とびら)が見え、両隣(りょうどなり)には全身(よろい)を着た者がいた。


 扉に近づくと、鎧姿の二人が来て、右側の人物が声を掛ける。


 「オーナーズ・オブ・ブレイドの皆さんですね。それでは、ドアをお開けいたします」


 二人は、ドアに向かい、左右の把手(とって)をそれぞれ持って開けた。


 開かれた先には、長く伸びる赤と黄色のカーペットに様々な装飾(そうしょく)(おく)には二段の段差があり、その先には、玉座に座る国主オルトリーベとその隣にいる側近のジャンヌがいた。


 刀気は、謁見の間に入り、途中でカノア達が止まったので、同じく足を止める。


 ――確か、こんな感じだったかな。


 ゲームで見た謁見のシーンを思い出し、それを(もと)(ひざまず)き、胸中(きょうちゅう)で確認した。


 一応、視線でカノア達を見ると、刀気と似た姿勢であったため、間違っていないのだろう。


 すると、オルトリーベが言葉を発したので、刀気は顔を上げる。


 「……(おもて)を上げよ。此度の戦闘、よくぞ勝利してみせた。聞いたところでは、敵部隊の隊長を、鶴元刀気――貴様(きさま)が倒したようだな」


 刀気は、緊張しつつも、返答する。


 「は、はい」


 といっても、峰打ちにより、敵部隊長は恐らく気を失ったのだが、言わぬが花だろう。


 国主は、(りん)とした顔で、用件を言う。


 「さて、貴様らを呼んだのは、此度の戦闘における報酬(ほうしゅう)についてだ。今回の場合は、貴様らだけではなく騎士団も戦ったので、すまぬが以前のように与えることはできぬ。なので、ウエポニアとの戦いを終わらせた(あかつき)に与えることにした。もちろん、量は(はず)んでおき、はぐれ外獣(がいじゅう)の戦いの時は、今まで通り報酬を与える。それと、以降もウエポニアの部隊が現れ、戦った場合も今回と同じだ」


 この国の財産がいくらあるかは正確には不明だが、限りはあると考えれば、刀気達だけではなく、五十人程いる騎士団員全員に与えるとしたら、莫大(ばくだい)な量になるだろう。そして、オルトリーベの言葉から察するに、ウエポニアとの戦いの度にそれを行うだけの量はないと思われる。国の財産となると、様々(さまざま)なことに使われるとされるので、報酬に莫大な量を振り分けることはできない。故に国主は、その代替(だいたい)案を提言したのだろう。国のこととなると、刀気達に出来ることはあまりないので、拒否(きょひ)する要因はない。何故なら、無理に反論しても財産が増えるわけでもなく、もし通ったとしても、量によっては、財政を悪くする恐れがあるからだ。


 刀気は、ゲームで見た動作を真似(まね)して、その時に聞いた台詞(せりふ)を口にした。


 「……()(がた)き幸せにございます」


 その後、オルトリーベは口を動かす。


 「余からは以上だ。戻ってよいぞ」


 刀気は、ゆっくりと立ち上がり、礼をして、(きびす)を返し、立ち上がっているカノア達と共にこの場を後にする。


 謁見の間を出ると、ドアが閉まり、眼前にいるティミーが声を出す。


 「お待ちしておりました。で、では、城門へと案内いたします」


 そうして、刀気達は、城門へと歩いていく。






 城門に着くと、ティミーはこちらを向き、一礼をしながら言った。


 「それでは、私はこれで……」


 そして、彼女は、刀気達の右側に移動し、駆け出した。


 その音が遠くなった後、刀気達は、デュルフング城を出る。


 歩いている中、ラン達が声を発する。


 「しっかし、謁見なんて久しぶりだよな」


 「そうだね。確か、数ヶ月(すうかげつ)ぶりだったかな」


 「うん、確かそのくらい」


 「ですが、刀気さんとミウさんと共にしたのは、初めてですわね」


 するとカノアが、刀気に声を掛けた。


 「そういえばトーキよ、(みょう)に慣れていた感じだが、経験があるのか?」


 刀気は、声がした右隣を向き、困り顔で口を開き、答えにくい質問であるため、最後は笑って誤魔化す。


 「あぁ……、それは、何っていうか、その……、あっはははは……」


 ちなみに、他にも理由はあり、それは、流石(さすが)にゲームで知ったからとは言えないからというものだ。


 カノアは、怪訝(けげん)な顔をするが、数秒程で戻し、それ以上は追及しなかった。


 刀気は、内心で安堵(あんど)し、向き直した。


 その後、ミウの声が後ろから聞こえた。


 「わたしは初めてだったから、みんなの動きに合わせていたわ。メロディアスでは、そんなことなかったしね」


 それから、刀気達は、いくつかの雑談をしながら、帰路に()いた。


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