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人類滅亡を招く恋  作者: AuThor
9/14

総真の正体

晴海は朝、学校に行く準備を家で総真と一緒に始める。


昨日は大地震が起きたため、デートが途中で中止になったので、今日は総真と一緒にどのようなことをしようか晴海は考えていた。


総真は2人暮らしをするようになっても、相変わらずバカップルのようなことを晴海としようとするところは変わらず、今では晴海もそれをするのが一周回って楽しく感じている。


今日は学校終わりの部活を休み、総真と街で遊ぼう。

晴海は歯磨き中に街で何をしようか考える。


「晴海さん!今日は学校から帰って、久しぶりにハートマークのTシャツ着て、港に行こうよ」

総真の声がリビングから聴こえた。


「あと、船に乗ってタイタニックしない?」

総真は笑う。


それを聞き、晴海は吹き出す。


マジか・・・あれやるのか・・・。

晴海は笑う。


「いいよ! タイタニックしよ」

晴海は笑顔で返事した。



晴海は総真と一緒に楽しく話しながらの登校中に、今日の予定である、学校終わりに港へ行き、2人でハートマークのTシャツを着て船に乗り、タイタニックする計画についてのおもしろい案が浮かんできた。


そして学校で授業を受け、昼休みになり、2人はいつものベンチに行くために食堂を抜けようとした。


食堂では大型テレビが設置されており、テレビの画面には芸能人たちが映し出されている。


晴海は今日のタイタニック計画は、ハートマークのTシャツではなく、ドレスとスーツを着て本格的にやりたいという考えが浮かんでいた。


晴海は総真にそれを伝えようと食堂で振り返り、

「今日さ・・・」と笑って言いながら、総真を見た。


その時、総真は腕時計をちょうど見た瞬間だった。


総真の顔が凍り付く。


晴海は総真の表情に驚く。


総真が激しく狼狽しているように晴海は見えた。


信じられないという様子で無言で辺りを見回す総真。


「・・・どうかしたの?」

晴海は恐る恐る聞く。


総真は全くの予想外だといわんばかりの顔で、ポケットから黒い手袋を取り出し、装着する。


「晴海さん!早く外へ!!!」

物凄い剣幕で総真は晴海の腕を引っ張る。


2人で走りながら食堂を抜ける。


その様子を食堂にいた他の生徒たちは、ぽかんとした表情で見ていた。


いきなり食堂で大きな声を聴き、2人の人間が走っているのを見たからだ。


晴海はとんでもない事態が起きたということは総真の鬼気迫る行動から察していた。


2人は外に出る。


そして、総真は辺りを見回し始める。


食堂からテレビの音が聴こえる。


総真が取り乱しているように晴海は見えて、不安になる。


昨日、旅行で大地震に遭遇したから、今日は何も起こらないはずでしょ?

晴海は祈るように思う。


総真は時計を見て、辺りを必死に見回す。


晴海の恐怖は増していく。


次の瞬間、それは起こった。


食堂のテレビから

「緊急速報です」

という音声が聴こえた。


食堂のテレビの緊急速報という音声に反応し、2人は同時にテレビを見る。


テレビではアナウンサーが資料を動揺しながら読み上げている。


その内容を聞き、晴海は愕然とした。


「・・・隕石?」

晴海は呆然としてつぶやく。


緊急速報の内容は、超巨大隕石が地球に接近しており、3日後に50%の確率で地球に衝突する可能性が浮上したということだった。


しかも、その超巨大隕石が地球に衝突した場合、人類の生存確率は0%だという内容だった。


晴海は口を半開きにして、総真を見る。


総真を見た晴海は驚く。


そこには今まで一度も見たことのない総真が何かをあきらめたような表情があった。


観念したような総真の表情を見て、晴海は何かが終わると感じた。


総真はテレビから視線を外し、晴海に向き直り、儚げな表情で


「晴海さん、屋上へ行こう・・・」と言った。



屋上に続く階段を2人で昇る晴海と総真。


屋上のドアには鍵がかかっているので、ピッキングして総真はドアを開ける。


その姿を見て、本当に何者なんだろうと思う晴海。


屋上に2人で出ると、気持ちよい風が吹き抜けた。


空は快晴で、3日後に人類が滅亡する可能性なんて微塵も感じられない。


総真は背伸びをした後、屋上の壁を背に座る。


晴海も総真の横に座る。


テレビの緊急速報で食堂は大騒ぎになっていた。


そして、校内アナウンスで緊急全校集会をおこなうため全生徒は体育館に集まるように指示があった。


しかし2人はその緊急全校集会が行われている最中に屋上にいる。


総真と晴海は2人で屋上に座り青空を眺めている。


こんな事態なのに、2人で屋上で過ごすのがなんとなく心地よく晴海は感じた。


総真は左腕の腕時計をはずし、その時計を晴海に渡す。


「この時計を見て何か思い出さない?・・・」と総真は言う。


晴海は何となくその腕時計をどこかで見た覚えがあったような気がしていた。


しかし、晴海は思い出せない。


「・・・どこかで見たような気がするけど・・・思い出せない」


「この時計はね、母からもらった大切な時計なんだ」


「晴海さんが川の中から見つけ出してくれた時計だよ」


川・・・時計・・・。

2つのキーワードが頭の中に入った瞬間、晴海の全身に電流が駆け巡ったような衝撃が走る。


晴海は思い出した。


中学3年生の時に幼い少年と一緒に時計を見つけようと川の中を探した記憶を。


「・・・思い出した。旅行中に川の中で子供と一緒に探した時計だ」


総真は笑う。


「その子供が俺なんだ」


晴海は全身に鳥肌が立つ。


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