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人類滅亡を招く恋  作者: AuThor
7/14

前兆

総真は毎週、両親に旅行券などを渡して、時々、平日の夜に夕飯を作りに家へ来て、家族と一緒に和気あいあいと話す。


そして付き合い始めて3週間ほど経つと、総真は晴海の両親に、晴海と一緒に暮らしたいということを言ったのだ。


総真が一人暮らしをしていることは晴海の両親も料理の席での話で知っていた。


晴海の両親は、どうぞ、どうぞ、と二つ返事で了承した。


晴海は総真との2人暮らしは願ってもないことだったが、自分の両親の態度に

娘を金づるか何かと思ってんじゃないのと総真と2人の時に言うと、

「俺を信頼してくれてるんだと思うけど。危ない男だと思ったら認めなかったと思うよ」と総真は言う。


そうかもしれないなと晴海は思う。



総真との2人暮らしが始まった。


晴海は本当に幸せだった。


学校の外での時間を全て総真と一緒に共有できるようになったからだ。


もう、高校を総真と一緒に今すぐ辞めて、総真と結婚して専業主婦になりたいと本気で晴海は考えるようになった。



付き合い始めて1カ月ほど経ち、晴海は総真と一緒に学校から帰ろうと、2人で楽しく道を歩いていた。


総真の腕時計が晴海の目に入る。


総真は2日ほど前から腕時計を左腕につけ始めた。


それまでは、総真は携帯で時刻を確認していたので、腕時計はつけない主義だと晴海は思っていた。


その腕時計は時刻がずれているようで、それぞれの指針の速さも違っているように晴海には見えた。


晴海は総真の腕時計が気になり、「その腕時計の時間ずれてるんじゃないの?」と聞いてみる。


「おしゃれでしょ」と総真は笑顔で言い、

晴海もおしゃれとは思わなかったが、総真に合わせて

「・・・ああ、言われてみれば、おしゃれかも・・・」と適当なことを言った。


総真は腕時計をつけ始めてから、頻繁に腕時計を確認することに晴海は気づいていた。


晴海になるべく気づかれないようにさりげなく腕時計を確認しようと総真はしているようだが、確認する頻度が多いので、晴海はそのことに気づき始めていた。


歩きながら晴海は総真と会話しつつ、特に今日は総真が時計を確認することが多いように感じると晴海が思った瞬間、

総真は時計を見て、何かに気づいたような表情になり、

「晴海さん、止まって」と言う。


「どうかした?」

晴海は立ち止まって総真を見る。


「嫌な予感がする・・・」


「・・・嫌な予感?」


総真は鞄から厚い革製の黒い手袋を取り出し、手に装着する。


総真の装着した手袋は火を通しにくそうだし、鋭利な刃物でも傷つきにくそうな手袋のように晴海は感じた。


そして、総真は辺りを見回し始める。


総真の表情がこれまでにないくらい何かに警戒している表情になり、晴海は少し不安になる。


「どうしたの?」

晴海は不安な表情で総真を見る。


「とにかく、俺が指示するまで動かないで」

総真はしきりに周りのいろいろな方向を見る。


その総真の動作を見て、何かを探しているみたいだと晴海は思う。


総真は上空を見上げた瞬間、動きを止めて、何かを凝視している。


晴海も上に何かあるのかと、上空を見てみる。


すると、中年の女性がマンションの4階のベランダで大きく重そうな花瓶を持って移動させようとしていた。


次の瞬間、手が滑ったのか、中年の女性の手から大きな花瓶が離れ、晴海の頭上めがけて花瓶が落下してきた。


「きゃっ!」

晴海は叫び、自分の腕で頭を覆い、かがむ。


総真は晴海を自分の右腕で覆い、落ちてきた花瓶を左手でそらす。


花瓶は晴海から離れた横に落ち、大きな音をたてて割れる。


「すみません!」

ベランダから中年女性の驚いた声が聴こえる。


「大丈夫です!後片付けしといてください」

総真は大きな声で言う。


晴海は落ちた花瓶を見た。


・・・へ?・・・何が大丈夫?・・・あんな重そうな花瓶が頭に当たってたらどうなってた?

晴海は呆然とする。


「行こう」

総真にそう言われ、一緒に歩き始める。


晴海は歩きながら、まだ呆然としている。


「え?・・・何?総真くんって超能力者?」


「超能力じゃないよ。強いて言うなら第六感かな」


「第六感?」


「何となく、何か嫌なことが起こる前兆を感じ取ることができる」


「・・・へえ・・・霊とかも見える?」


「霊は見えないよ」

総真は笑う。


そんなどっかの漫画に出てきそうな能力が現実でありえるの?・・・。

晴海は驚いていた。


晴海は総真が時計を頻繁に確認していたことを思い出し、

「その腕時計、結構見てたけど、何か悪いことに関係あるの?」

と自分でもわけがわからないと思うことを聞く。


総真は少し考え、

「この腕時計はお守りなんだ。この時計を見ると、第六感が高まって、悪いことの前兆に気づきやすくなれる。最近、ここらへんの地域でそういう悪いことが生じる傾向が強くなってるって感じたから、腕時計をつけ始めたんだよ。」と言う。


「へえー・・・」

晴海は、とにかく腕時計は第六感を高めるグッズのようなものだということだけを何とか理解する。


「大丈夫だよ。晴海さんは俺が守るから!」

総真は笑顔で言う。


いろいろと意味のわからないことがあるが、

とりあえず「・・・ありがとう」と晴海は言った。


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