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人類滅亡を招く恋  作者: AuThor
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結末

「・・・・・・」

晴海は脳内で映像の再生が終わった瞬間、泣きながら立ち上がり、山に向かって走っていく。


晴海は総真が今どこにいるかわかっていた。


――総真は小隕石落下地点にいる

走りながら晴海は大粒の涙を流していた。


2日間、天文台から私を移動させなかったのは、小隕石の軌道を完全に天文台へ向けさせるためだ。


総真は天文台に今いて、小隕石の落下により死ぬつもりだ。


自分の存在を消そうとする悪い出来事の流れを止めるために身代わりになって総真は死ぬつもりなのだ。


晴海は総真に電話しようと思うが、スマホが橋の下に落ちたことを思い出し、走る。


すると、夜空に小隕石のような光が見えた。


晴海は総真と最期を共にしたかった。



総真は天文台で、上空に見える小隕石の小さな光を見ていた。


晴海さんとの日々があまりにも幸せで、楽しくて、つい死ぬことを先延ばしにしてしまった。


本当はもっと早く死ぬつもりだったのに。


小隕石の光がみるみる大きくなって迫ってくる。


晴海との幸せな日々が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。


幸せだった。


晴海さんともっと一緒にいたかったな。


総真のもとに小隕石が落下した。



晴海は天文台に向かって全力で走っているときに1つの光が山の頂上に落ちたのを見た。


その瞬間、物凄い光と爆発音を晴海は感じ、直後の暴風が晴海を吹き飛ばした。


晴海は暴風により、後ろに飛ばされ、地面に倒れ込む。


うつぶせで地面に倒れる中、晴海は意識が朦朧としている。


晴海は倒れている体をなんとか起こし、山の頂上を見ると、天文台のあった場所が跡形もなく無残な姿に変わり果てていた。


晴海はうずくまり泣いた。これ以上ないほどに泣いた。


どれぐらいの時間、泣いていたのかわからないが、とにかく長い時間泣いていた晴海の目から涙が止まった。


晴海は座り込んだ状態で、何も考えられない放心状態になっていた。


不意に晴海の頭の中に総真からもらった金属の箱が思い浮かぶ。


思い出したように、バッグから金属の箱を晴海は取り出す。


そして、金属の箱を開ける。


中に入っていた手紙を晴海は読む。


その手紙の内容は、総真が一人でタイムスリップして未来に帰ることによってしか隕石落下を防ぐことができないということが本当の方法として記されており、隕石衝突を回避するためには、そのことを晴海に話してはいけなく、真実を話せなかったということへの謝罪があり、

そして、これまで本当に2人で過ごした日々は幸せなものだったということ、総真はもとの世界で前を向いて生きていくから、晴海も前を向いて生きてほしいという内容があり、一番最後の文では、人生は最後まで何が起こるかわからないから、どんなときも希望を胸に生きていこうと書かれていた。


晴海はその手紙で顔を覆う。


「総真くんの嘘つき・・・」

晴海はつぶやく。


晴海は手紙を金属箱に入れて、ふらふらと立ち上がる。


総真がタイムスリップして未来に行くという方法が嘘だということは、時計を額にあてたときに見た映像で晴海にはわかっている。


晴海は総真が天文台で小隕石の落下により死んだことを確信していた。


私も死のう。

生きる気力が弱まっていた晴海はそう思った。


しかし、そんな晴海の頭の中に手紙の最後の文が不意に思い浮かぶ。


人生は最後まで何が起こるかわからないから、どんな時も希望をもって生きていこう。


その瞬間、晴海には一つの考えが思い浮かんでいた。



小隕石落下の翌日に、超巨大隕石が地球に衝突しないことが判明し、世界は歓喜に沸いた。


それから2年後、晴海は理系の大学に進学していた。


晴海の人生の最終目標はタイムスリップして過去の総真に会いに行くこととなった。


自分が後を追うように死んだところで総真に会えるわけでもない。


手紙の最後に書かれていた文のとおり、人生最後まで何が起こるかわからないのだから、最後まであきらめず希望をもって頑張ってみよう。

晴海はそう思った。


過去へのタイムスリップ自体は不可能ではないということを晴海は知っているので、あとは総真の父のように理論を見つけ出すだけだ。

晴海は強く意志を固め、勉強に打ち込んだ。


晴海は理系科目が苦手だったので、小学校の算数・理科から勉強し始めた。


明確な目標ができたので、それに関わる科目の勉強もやる気が出た。


もちろん、勉強していく中で、自分の発想力や応用力などの能力の低さを痛感することも多い。


特に天才と言われる人たちが思いついてきたアイデアや理論というのは、晴海がどうやっても一生思いつけないのではないかと、勉強すればするほど感じた。


それでも、最後まであきらめず、やりきって死んでやる。


どれだけ時間がかかっても、何十年かかっても総真に会えることを信じて頑張ろう。


おばさんやおばあちゃんの歳になってしまえば、若い総真とは恋愛できないだろう。

晴海はそれでも会って感謝を伝えたかった。


晴海は高校2年生から理系科目の勉強を真剣に始め、できるできないは別として、理系科目の勉強が趣味と言えるようになった。


晴海は明確な人生の目標ができ、真剣に取り組みたいものができ、覚悟をもってそれに打ち込むことにより、精神的に以前より成長した。


翔子はそんな晴海の姿を見て、芯のある女性のような顔つきになっていると指摘した。

今の晴海ならモテてもおかしくないと言った。


そして晴海は以前より親切な行動も心がけた。


良いことをすると、めぐりにめぐって良いことがあるかもしれないと考えているからだ。


その晴海の親切な行動を偶然見かけた男の中には晴海に惹かれる男もいた。


晴海は何人かの男性に告白された。


告白してきた男性の中には以前の晴海なら付き合っているほどのイケメンで性格の良い男性もいた。


しかし、晴海は全ての告白を断った。


総真以外の恋人をつくって、総真に会うための努力をすることなんてできないからだ。

相手にも失礼だろう。


晴海は大学に入ると同時に一人暮らしを始めた。


もちろん、親からの仕送りもあるが、バイトも始めた。


料理にも少しずつ挑戦し始めた。


晴海は左腕に総真の腕時計をつけ、左手に総真からプレゼントされたペアリングをつけて懸命に前へ進む。


今日の大学の講義が終わり、晴海は街中を歩き、家に帰ろうとしていた。


すると、目の前の人ごみの中に一人の青年が立っているのを晴海は見る。


晴海は大きく目を見開く。


そこには総真が立っていた。


晴海の全身に電流が駆け巡ったかのような衝撃が走る。


「・・・総真くん?」

晴海は震えながらつぶやく。


次の瞬間、晴海は総真のもとへ駆け出していた。


目の前から消えてしまわないように、まばたきをせず、大粒の涙を流しながら晴海は総真に抱き着く。


泣きじゃくる晴海を見て、

「晴海さん」と総真は優しく言う。


晴海にとって理屈や理由なんてどうでもよかった。


目の前に総真がいれば、何でもよかった。


2年前に総真は隕石にぶつかったが、実はその瞬間、総真や総真の父親も予想できなかった現象が起こり、総真は自分がてっきり死んだかと思ったが、目覚めると、透明な存在となっていた。

最初は透明な存在なので、周りのものには干渉できず、場所を移動したり、見たりすることしかできなかったが、徐々に半透明になり、そして、2年後に完全な実体となったのだ。


「もう、どこにも行ったりしない?」

晴海は総真を見て泣きながら言う。


「うん。ずっと一緒にいるよ」

総真は笑って言う。


晴海も泣きながら笑った。


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