気兼寝無く本腰を入れる副会長
ニタリには会長の考案した防犯システムの実験を任せている。
店の複数個所に設置した魔道具とニタリの居る部屋…防犯室とでも言っておこう、防犯室を有線で繋いである。
魔道具が拾った視覚情報と聴覚情報は線を通って防犯室に送られて、数秒の誤差無く店内の様子が防犯室で確認出来る。
実際に作ったのはレンだが、仕組みは我らが商会の会長が作って送ってきたものだ。『使用感を教えて下さい』・『改良点があれば送るかその場で改良をお願いします』と来たもんだ。
一体何を企んでいるんだか…………この魔道具とシステム、売り物にする気じゃ無いだろうな。
傭兵時代、情報は命と同価だった。これから行く場所が暑いのか寒いのか?乾燥しているのか湿度が高いのか?どんな言語が使われているのか……
暑いか寒いかを知らずに行った間抜けは環境に適応出来ずに体調を崩して最悪死ぬ。
湿度が分からずに食料の選択を間違えて最悪死ぬ。
言語が分からず致命的な意思疎通の行き違いが起きて死ぬ。
な?情報は武器で、盾で、命と同じだ。
だからこそ、このシステム。遠隔で、俯瞰視点で、大量の情報を精査出来るこのシステムは単なる通信魔道具というだけでない大きな意味と価値を持っている。
それを知る人間からしたら、これは一財産築ける代物。一荒事を起こしてでも欲しい代物だ。
純粋に盗難や外部からの侵入防止というだけでも要人やら要人御用達の金庫に使えば………欲しがる奴らの顔が見える見える。
まぁ、それも運用試験を経てからだ。
そして、ニタリにそれを任せた理由。
新人にそんなシステム丸投げするのは異常だが、人手が、もう兎に角、どうしようもなく、足りない。
それに、キリキというあの馬鹿力正直娘を逃がし屋として相方にして今まで始末されずに上手く立ち回ってきた手腕は高く評価する。
逃がし屋というただでさえあちこちに目を向けねばならない稼業に加えて逃がし屋向きじゃない人間とのコンビ。
目をどれだけ増やしても足りない程視野が広くなければ務まらない。
実際、招かれざる客(予定)に気付いていた辺り、正解だったし、な。
「招かれざる客……か。」
正直、間者が入り込んでも諜報以外にキッチリ表の仕事を働くなら欲しいと思っちまう。
恨むぜ、会長。そして、過去の俺。
仕事が減ると思っていたが、予想よりも減らない。
キリキにイタバッサが店舗を上手く回しすぎている所為で帳簿や発注書が増えた。
そして、もう一つ。イタバッサが持っていた情報がシャレにならない程多い上に爆弾情報まみれだったせいで警備官とのやり取りが増えている。
お、おかしい、ホワイト企業を目指していたのにブラックな面しか今のところ見えていない気がする。序盤だからと軌道に乗るまでと思っていたが、マズい流れだ。
もしかして、原作の教授の右腕は過労死枠だったのか?と考察する今日この頃です。
ちなみに、モラン商会。給金は割と弾んでますので、安心して下さい!




