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決闘茶会の本当の終わりへ

 シソーデ=ダイエイトは負けた。神童と謳われてきた彼の経歴に傷が付いた。

 その傷を喜ぶ者がいた。その傷を悲しむ者もいた。

 彼の両親は驚き、そして我が子を案じ、慌てた。

 彼に物騒極まりない魔法を吹き込んだ家庭教師は、その敗北の報を聞いて驚き、しかし負けて帰ってきた当の本人の顔を見て、満足げに笑った。


 負けた当人は敗北を心から認め、そして素直に謝る準備をしていた。

 妹のカヨウも憑き物が落ちたような顔をして、己の愚行を恥じていた。


 負けたことも、謝ることも、もう確定事項として受け入れた。

 そして冷静になり、気になることが……疑問が浮かんだ。


 『モンテル=ゴードン』とは何者なのか?


 ゴードン家の一人息子ということは知っている。

 ゴードン家は良く言えば多才で多彩、悪く言えば無秩序で節操がない家風だ。

 先代は古代魔法の研究をしていたと思えば、当代で音楽家として活躍し、次代は農業で一財産築く……という、自由でそれぞれ結果を出すが、相手する者としてはたまったものではない家系。

 が、特にモンテル=ゴードンについて、そういった才覚の話は聞かない。

 武器や魔法の扱いについて非凡の才能があるなんて噂にもなっていない。

 我ながらだが、俺を倒すだけの実力者が同年代にいたら騒ぎになっていたはず。なのにそれが今までなかった。

 急に強くなった?

 いや人間はそう簡単に強くならない。

 俺だって最初からこうじゃなかった。

 昔の俺と今の俺を比べたら、昔の俺は神童なんて言われないだろう。

 なら、影武者か?いや、それともドーピング?

 それはない。あの時、俺はモンテルに助けられた。そんな高潔な精神の持ち主がそんな卑怯なことはしない。

 そもそも、見届けたリバルツ家がそれを見逃す筈がない。

 と、なると……。

 噂があった。

 モンテル=ゴードンは最近来た家庭教師に魔法や武術を教わっていると。

 どうやらその家庭教師は貴族ではないらしいと。

 どうやらその家庭教師は凄腕で、現ゴードン家当主が直々にスカウトしたと。

 普段なら眉唾だと鼻で笑うが、今回はそうもいかない。

 あの実力が本当に爪を隠していたものなら話は別だが、そうでないなら俺に匹敵する力をモンテル=ゴードンから引き出した傑物ということになる。


 どうやら、今回はその家庭教師に会えるらしい。


 一度見てみたい。

 神童と言われた自分を倒すほどの強さを与える家庭教師なんて、楽しそうだ。




 「じゃぁ、カテナ、先生、行こう。」

 「はい、モンテル様。」

 「はい……。」

 シェリー君は少しだけ憂鬱な表情を浮かべていた。


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