お遣いの途中で2
順調にお遣いは終わった。
相手側は『これを何故そんなに急いで届けたのだろう?』という不思議そうな顔をしていたが、当人は気付いていなかった。
「材料は十分、腕の良い職人の方もいらっしゃいます。
あとは交渉と、時間が…………。」
今から頼んでも修羅場は確定果たして受けて貰えるのか?
しかも必要なのはフォーマルな装い故に下手なものは着られない。
急ぎで最高の品を。
となると代金が不安になる。
モラン商会会長だからそれなりの額は持っているのだがね、如何せん本人が頑なに使おうとしない。
「先ずは町を見ないことには始まりません。行きましょう。」
そう言って向かおうとした矢先の事だった。
目の前を歩いていた奇妙な老婆の姿がシェリー君の目に入った。
背中を曲げ、前傾姿勢になりながらも快活に歩く老婆は、その背に妙なものを背負っていた。
背筋を伸ばした自分より大きな背負い箱。
下部にはタンスのような大小の引き出しが複数。その上には縦長の観音開きのドアが取り付けられ、どちらかと言えば運搬用というよりはタンスとクローゼット、家具に近い。
「おっと…………」
矍鑠とした足取りの老婆がよろけた。
慌てて姿勢を立て直そうとしたが、自分より背の高い荷物を背負っていてはそう簡単にはいかない。
会われ老人は後ろ向きにひっくり返…………「大丈夫ですか?」らなかった。
間一髪、偶然近くにいたお人好しの少女が箱を手で押さえ、事なきを得た。
「ヒヒ、情けない姿を見せたね。
でもお嬢ちゃんのお陰で大丈夫だったよ。ありがとね。」
木箱を挟んでお礼の言葉を贈られた。
「暇を持て余していた者が手を伸ばしただけ。大したことではありません。」
「ヒヒ、謙虚なお嬢さんだね。そして、とっても良い子だね。」
「そこまで褒められたら嬉しくなって、目的地まで手伝いたくなります。」
「若い娘さんが年寄りに気を遣うんじゃないよ。」
木箱が軽くなる。
「気は遣っていませんよ。
ただ、ここでさようならをした後で何かが起きたらと考えると、放っておく方が私は嫌なのです。
ですから、若い娘に気を遣って手伝わせてあげてください。」
「ヒヒ、上手いこと言う良い子だね。
解ったよ。なら、頼もうかね。」
矍鑠とした老婆が歩き、その後ろで箱を持ち上げながらシェリー君が歩く。
目的があるのにこんなところで油を売る。
これはロスか?普段の私ならロスだなんだと言いながら渋々シェリー君を見守る。
だが、今回は『否』と答えよう。今回に関してだけそんなことはない。
評価新しくいただきました。ありがとうございます。
そして誤字脱字、後程確認・修正するので暫しお待ちください。




