モンテルの会心の一撃 が きまった
近接武器での対刀剣の闘い方、それは……。
「超近接格闘!」
『身体強化』・『強度強化』を重ねて距離を詰める。
相手は長い剣を持っていて、間合いの広さで負ける。なら近接に持ち込み、相手に手数という苦手を押し付け自分の得意を叩き付ける。
「悪くありません。けれど、得意な間合いに持ち込もうと考えるのはあなただけではないのですよ。」
そう言いながら距離を取る。
後ろを向きながら右へ左へ読み辛い動きで混乱させてくる。
その上で隙有らば斬りかかってくる。
うっかり突っ込めば無事じゃ済まない。
かといってこのままだと剣の間合いで闘いを続けようとしてくる。
「なら……!」
敢えて実直に突進する。
勿論、先生はそれを回避。体勢を崩して前のめりに手をついたボクに剣を振り上げ、トドメを刺しにくる。
多少の無駄は必要と諦めて、無理矢理環境を変える。
使う魔法は勿論……
『地形操作』
地面が起き上がる。
先生の剣が柱にぶつかって、鈍い金属音を響かせる。
作ったのは固めた土の柱。
1本じゃない、何本も何本も、人がギリギリ通れる広さの場所を確保しているけれど、何本も作って辺り一帯森みたいにした。
「刀剣や槍は十全な空間がないと意味がない。
良い手立てだと思います。」
剣は柱と柱の間に挟まれてまともに動かせない。
逃げようとしても後ろに建てた柱の位置までは解らない。
今だ!
柱を盾にしながら、それでも考える時間が無い様に走り出す。
「好機だと思って、手を緩めましたね。」
静かに、けど、何かに失敗していることだけは解った。
「無理矢理環境を変えられたなら、さらにそれを変え返すまでです。」
『身体強化』
『強度強化』
『気流操作』
純粋に筋力を強化。
木剣が折れないように強度を強化。
そして、木剣の峰から空気を噴出。木剣の刃を撃ち出す。
土の柱がまとめて両断された。
「はい、これでとどめです。決闘の相手が私なら、負けていましたよ。」
木剣の切っ先がクソガキの喉笛に突き付けられていた。
「先生、ズルしてない?それ、本当に木剣?」
「バトラーさんからお借りした、正真正銘ただの木剣ですよ。さぁ、確認してください。」
今しがた自分の作った土の塊を切断したそれを渡され、おっかなびっくり手にする。
「本当だ……木剣で、コレ、やったの…ですか?」
指差した先には綺麗な断面。
「『身体強化』は常時発動。『強度強化』は接触の瞬間に最大出力にして、『気流操作』で振る速度を上げました。
あの柱に『強度強化』をかけていれば、勝負は解らなかったでしょう。」
「そうすれば勝てたのか……」
「かもしれませんね。」
「先生みたいな上級者の闘い方、羨ましい……。」
「いいえ。これは上級者の闘い方、という訳ではありません。少ない魔力をどうにかやりくりして誤魔化しているだけです。
基本的にモンテル君は魔力が抜きん出ているので、今は当然魔法の精度を上げることも重要ですが、その強大な魔力の活かし方を学ぶことも必要です。
私の闘い方は参考にして、自分の強さを知ることが大事ですよ。」
「解りました、先生。」
「さぁ、決闘茶会は未だ終わっていません。どんどんいきますよ。」
「わかりました。
あ、先生、そういえば、もう直ぐアイツ……ヤヤーナの所で決闘茶会の仕上げをするんですが、準備はどうですか?」
刺さる音がした。
「うぐ…ジュンチョウ、デスヨ。」
おめでとうクソガキ、今日一番の会心の一撃が入ったぞ。
前話タイトルを 烏羽のチケット→鴉羽のチケット にしました。
鳥と烏って判別難しいですよね、申し訳ありません。




