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ガールズトークというにはあまりに情熱的で

 恋の話は続く。

 「これは、ショーマスが私に初めて贈ってくれた首飾り。私の沢山ある一番の宝物の一つよ。」

 重い口が軽く滑らかに回るようになっていた。

 首飾りには紫水晶がはめ込まれ、明かりに照らされ妖しく輝いている。

 貴族の当主が贈ったものとして考えると少しグレードは低い。だが、当主になる前の若人が贈った物と考えると、それなりの高い買い物だ。

 「このドレスは……忘れもしない。私が彼に思いを伝えて、断られた日に着ていたものよ。」

 中々に赤裸々かつ聞いて良いのか迷う様な内容の導入だ。オチを知らなければ笑えない。

 「その時にはもうぞっこんで大好きで、何とかこらえようとしたんだけど、嫌われたと思って泣きそうになって……それを見て慌てちゃって……。

 後で聞いたら自分から告白しなきゃって気を遣ってくれてたみたいで、それを言おうとしたのに私が勘違いして泣き出したものだからイヤなのかなと思ったらしいわ。

 今になってみれば笑い話だけれど、当時は二人とも慌てていたわ。」

 懐かしみながらも、そこには一抹の哀愁があった。

 「そんな大事なものを私に渡して良いのですか?」

 「私はね、ドレスは着られてこそ、装飾は飾ってこそ意味のあるものだと思っているの。

 眠り続けるドレスや装飾は幾ら綺麗に手入れをしても、死んでしまうものなのよ。

 もう着れなくなったドレスや似合わなくなった装飾を、このまま死なせてしまうのは、大事な思い出さえ死なせてしまう様な気がして……ね。」

 思い出を大事に仕舞って、そのままにしておきたい感情。

 思い出をクローゼットの奥に仕舞い込んで、朽ちさせたくはない感情。

 均衡故に起こるジレンマという奴だ。

 だから、今回シェリー君を出汁にしてすっぱり諦めて、使わせようとした訳だ。


 ははは、気に入らないな。


 天秤を傾ける為の分銅扱いとは、随分じゃないか。

 「思い出はちゃんと心に残ってる。だから、もうそれには別の思い出になってもらわないと。と思っていたの。

 けど、カテナは受け取ってくれないし、モンテルが使えるものは無いし、困っていたの。

 だから、貴女の思い出になるのが一番ね。」

 吹っ切れたという表情を取り繕っている。生憎とシェリー君はその程度で騙しおおせるほど、ちゃちな観察・洞察力の持ち主ではない。


 フッ


 おっと、弾かれた。私が振舞えるのはここまでだ。

 「それは、違います。」

 先程までの困惑と混乱は何処へやら。静かに穏やかに、しかして目の奥には確固たる意志があった。

 「これらは婦人の宝物。ならば、到底私の思い出にはなり得ません。」

 「でも、私にはもう着れないわ。」

 「時間を下さい。宝物がそんな終わり方をしては、いけません。」


 リアクションたくさんいただいています。ありがとうございます。

 ちなみに最新話に複数いただいております。

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