決闘茶会の反省会
ということで、決闘茶会は表向き無事にお開きとなった。
本来の決闘はそのまま決闘の用件を済ませるのが習わしだが……今回は似て非なるもの『決闘茶会』であることや主役2人がそれなりに大怪我を負っていることもあり、なし崩し的なお開きではあるがね。
と、言うわけで、総じて今回の結果は……。
「及第点だろう。」
「赤点追試ですね。」
意見が割れた。
ここはダイエイト家の一室。豪奢な装飾がゴテゴテとある訳ではないが、椅子から机から出された茶菓子から紅茶からそのカップまで、安物ではないことが見て取れる。
そんなものに囲まれて、我々は反省会を行っていた。
「最初の事件を未然に防げず、挙げ句に今回、情報一つ引き出せずに終わりました。
得ることは出来ず、私は『未知の切り札』という情報アドバンテージを失いました。
結論は赤点です。」
「反省多いに結構。自惚れないその謙虚さは美徳だ。
だが採点対象が根本から間違っている。
君の身分はあくまで『淑女の零の最中の学生』で、役割はあのクソガキの『家庭教師』だ。
君の役目は貴族社会に暗躍している、得体の知れない何かの排除や切除ではなく、家庭教師だ。
今回あれと敵対した理由は家庭教師の責務に支障が出るため除去したに過ぎない。除去出来れば何の問題もない。結果を見れば十分加点対象だ。
となれば、注目して採点すべきはそれ以外。
クソガキに実戦に足る技術と知識を与え、紳士淑女としての嗜みを教え、その上で自学自習を促した。
改善の余地は幾らでもあるが、クソガキはこの件で実践訓練が出来て、神童と名高いダイエイト家の子息を衆人環視の中で倒したという実績を得た。
しかもその時、『相手の魔法の暴発に際して身を挺して庇う』という高潔さを見せている。
この意味が、解らない訳ではないだろう?」
「…………。」
「クソガキはこの件で名声を得た。神童と持て囃されているガキ一人倒すだけで『神童以上』という名声を得る。
本来やっかみや悪い噂とセットになりそうなものだが……今回はそこに美徳というおまけでついている。
『一貴族のパッとしない子息』から『品行方正で優秀な出世頭』に化けたんだ。
最初の事件が予測不可能な不可抗力ではないと仮定しても、そこからの切り返しは見事なものだ。減点を相殺するくらいの加点は与えられる。合格点だ、合格点。」
クソガキは意中の相手に良い所を見せられた挙句、意中の相手の艶姿を見る事が出来た。文句はあるまい。
そして、最後に。
「『未知の切り札という情報アドバンテージを失った』という戯言が聞こえたが、冗談は止してほしい。
初見にて必殺の魔法が、どうして二度目は役立たずだと思った?」
『犯罪術式』は私の知識の粋を『魔法』という形に仕立てたものだ。
「『犯罪術式』はたとえその仕組みが理解出来たとて、警戒に足る脅威であることに変わりはない。
未知であれば隠し弾、既知であれば見せつけて切り札を刺すためのブラフに出来る。
犯罪術式は必殺のカードであり、必殺を必中にするカードでもある。
次は必殺が必中のためのカードになり、別のカードで必殺を成そう。」
そう、犯罪術式は術式群。一つや二つではないのだから。
別サイトの前話の感想に『ヤヤーナ家とゴードン家の関係性は先代からこうだったのか』という旨の話が合ったので、明かしておきます。
両当主は厄介感情持ったライバル幼馴染です。
お前を倒すのは俺だ、俺のライバルならこれ位で倒れはしない、本心では認めているが言いたくない……的な(黒銘菓はこいつらメンドーだなと思っています。)。
ちなみにヤヤーナ家もゴードン家も決闘慣れしています。当事者として何度もやったので。
更にちなみに、ヤヤーナの当主のモチーフは白哉兄様(ギャグ堕ち後)です。
『犯罪術式』の設定はもう幾つか出来上がっています。改良の余地はありますがどれもこれも悪趣味ですよ。
ちなみに『犯罪』の定義を律令や御成敗式目に当てはめても良いのでこれから幾らでも増やせます。
そう何個もあってたまるか?それは、そうですね。




