アリアは厳かに奏でられ、アンコールはまたの機会に。
破壊と殺戮に派手な爆発は要らない。大きな刃物も要らない。沢山の弾丸も要らない。
致命的な部分を爆破するだけの爆発、致命的な部分を切断するだけの刃、致命的な部分を貫通するだけの弾丸さえあれば良い。
そうすれば望む全てが壊れ殺せる。
無駄は必要無い。
シェリー=モリアーティーの最大出力は純粋な魔法使いの観点で見れば、非常に弱い。
だが、この魔法に出力はあまり関係無い。
相手を分析する知識と、それを破壊する知識。それを実現する技術さえあれば良いのだから。
派手な音は立てず、光も熱も無く、文字通り跡形も無く消し去る破壊の術式。
『犯罪術式C.D.E.』
触れた対象を解析し、元素レベルにまで分解する術式。
触れた場所から塵芥となり、最後には消えて無くなる。
鎧も盾も、鍛えた肉体も関係無い。
それが物質として在れば、解析出来れば、等しく破壊出来る。
しかし、弱点がある。
1つは複雑な術式故に発動のために対象に触れる必要があるということ。
露骨にチラつかせては警戒される。
そしてもう1つ。
使用者のシェリー君の気質的な問題もあり、対人使用が出来ないということだ。
『人を塵にするなんて恐ろしいことは出来ない。』だそうだ。
そう、『人』は塵に出来ない。
今しがた自分を『生き物ではない』と嘯いた排除対象はこのルールに該当しない。
馬鹿なことをしたね。どれだけ悪態をついても自分を人だと言い張れば、こうはならなかったというのに。
塵になっていく。
『C.D.E.』は本来、対象の魔力を吸い上げて利用し、自身を塵にさせる魔法。
消費魔力は破壊速度と規模に比例する。
衝突事故を防げれば十分と思っていたが、余裕を持って破壊し尽くせた。
シェリー君が触れた瞬間、異形のユニコーンは角から順に、朽ちた木のように、砂のように、シェリー君を避けるように割れて、散っていった。
残る足ももうすぐ風と共に消え去る。
「んだよ……ウゼェことしやがってよ!」
足から声がした。
「……驚きましたね、そこは足だと思っていました。」
動揺を必死に押し殺す。
これで壊せなければ本格的に打つ手がなくなる。
「あ゛?つまんねェこと言ってんじゃねぇぞ。」
散りゆく足から口が生えた。中からは歯も舌も覗いている。
これまで頭が無いのに話せたのはそういうことか。
「今回はこっちの負けさ、認めてやるよ。」
敗北宣言。だが、その言い草は敗者のそれとは程遠い。
敗北し、塵になりながらも言葉を続ける。
「けど、次あんたに会う時はこうはいかない。
今度はアタシがお前をバラバ…………」
言い切ることなく消えていった。
まるで、再戦が有るかのように意味深な発言を残して。
《同時刻 この世界のどこか》
「アイツ顔覚えたからな!次は殺す!」
目覚めて開口一番、殺意を漲らせてそう宣言した。
いいね、ありがとうございます。
また登場しますかね?どうでしょう?それは未来解るでしょう(ノープラン)。




