五重装を奏でる2
槍が貫き、鎌が刈り取り、斧が断ち割り、太刀が薙ぎ払う。
同時に己の手の中にある数多の武器を内包するH.T.で生み出された隙を突く。
何もさせない。未知の存在である以上、何もさせずに抵抗する手段を奪う。話はその後だ。
槍・鎌・斧・太刀の動きをイメージ。雑な動きでは捌かれる。精緻に的確に大胆に。
頭何かがに突き刺さる様な感覚がずっとしている。
しかしこれは相手の攻撃ではないと無視して続けた。
『身体強化』で全身を覆い続けている。
あっちを構えばこっちに刺される、こっちを払えばそっちが刈りに来る、そっちを避ければ今度は……面倒だ。ウザい。ウザイウザイウザイウザイウザイ!
口角が上がる。
「けど、そんなモンずっと使い続けてられんのか?無理だよな!無理だよな⁉
人間の頭がこんだけの動きして、長続きする訳無いよな⁉」
「さぁ、どうでしょう?」
平静を装ってるが、動きが鈍くなってる。呼吸が荒くなってる。
確かにウザいが、刺す斬る程度なら後でどうとでもなる。
このまま削って、狩る!
敢えて武器を動かす手間を増やす。
避けられるものを受けて反撃して見せる。
ぶつかるところを敢えて無理に避けて見せる。
予想外の動きで武器が鈍る。
その隙を……狩る!
武器の動きが鈍る。
ほんの少し。ほんの少しだ。けれどそれらが4つ同時に重なって起これば致命的な隙になる。
そして、その隙の向こうに、いた。
武器の狭間に身を通して……笑った。
「隙を作るのも容易ではありませんね。」
その眼を見て、致命的な間違いがあったことを悟った。
次の瞬間、大爆発が起きて体が吹っ飛んだ。
外部を感知する感覚器官がことごとく潰れた。
どころか中身まで高熱と電流でメチャメチャになる。
吹っ飛ばされ、直しながら立ち上がる。
「なに、しやがった!」
不完全な状態で無理矢理立ち上がる。
「何をしたかと言われましても……見た通りですよ。」
精緻さを欠いていたはずの武器が整列する。
その切っ先から魔法を放ちながら。
シェリー=モリアーティーの戦略的な弱点は、魔力の少なさである。
魔力の上限値はそのまま魔法の最大出力に繋がる。
魔力の上限値はそのまま魔法の継戦能力に繋がる。
それは明らかだが、本人の魔力量を劇的に増加させることは原則出来ない。
出来たとて、二週間という短時間でどうにか出来る問題ではない。
では、どうすればこの弱点を克服出来るか?
ジーニアス=インベンターは知っている。
『魔力が無いなら後付けすれば良いじゃないか。』
二週間という時間の中で、彼はシェリー=モリアーティーに『五重装』を贈った。
その特性は『指揮棒』を用いた武器の遠隔操作。
そしてもう一つ。充填された魔力による単純な魔法の遠隔使用である。
いいね、ブックマークありがとうございます。
五重装には飛翔するためのバッテリーが内蔵されています。
これはそのエネルギーの一部を推進力ではなく別の単純な形に変換する形で行われています。
なので複雑な魔法は使えません(犯罪/反罪術式等)。そして、使えば使うほど飛翔の持続時間も大幅に減ります。
一応、使用者の魔力を流してバッテリーを充填することはできますが、戦闘中にそれを行うのは現実的ではないので実質短期決戦用です。
二週間で作ったので操作性や持続力の問題は克服できませんでした。いや十分では?
ジーニアス=インベンターなんて当初は存在しなかったキャラなのですがね…淑女と商人同様、彼も出世頭です。
にしても、出世頭が軒並み世界を滅ぼせる枠になるのは仕様なのかな?




