ダンスはお嫌いですか?
「ったく、面倒なこと押し付けやがってよ!」
首から上が無いにもかかわらず、堰を切ったように言葉が紡がれる。
「貴女……一体……」
未知は脅威度を上げる、身構えて正解だ。
「何者かってか?言わねぇよ!知りたきゃ吐かせてみせろよ!」
口は一体何処だ?
「ほらほらほらほら、いくぞ!」
デュラハン擬きが積極的に殴り掛かってきた。速い。
「くっ!」
後ろに退がりながら、袖から繋がっている細い糸を引く。
糸の先に繋がっているのは、先程飛ばした針。
そして、その針は最初に飛ばした油の手投げ弾。それを引き戻す。
「ハッ!バカがよ!そんなもん効かねぇって学習してねぇのか⁉」
後ろから来る手投げ弾を無視。弾けて油だらけになるも無視。殴りかかる腕が人間のそれから棘だらけの金棒に変わる。ハハハ、異種(族)格闘というやつだ。
「生憎と、頭の出来が良い訳では、無いので!」
『身体強化』・『強度強化』・『H.T.』・『火炎』
H.T.で威力を殺しつつ、後ろに飛ぶ。同時に置き土産で火をプレゼント。そのままデュラハン擬きがフライになる。
「おいおいおい、この程度の火力じゃ焼けもしねぇよ!もっと有るだろ?やって見せろよ!こんなんじゃ表面も焼けねぇぞ!」
炎と黒煙の中で動く気配。確かに、火では焼けない。だが焼くのが目的ではない。煙で見えなければ良いだけだ。
呼び出す隙さえあれば良い。
このエキシビジョンマッチまでの間に、2週間という時間があった。
あれこれやることは多かったが、それでも準備する余地はあった。
今、シェリー=モリアーティーは理不尽を打開する実力と知性がある。
シェリー=モリアーティーにはモラン商会という統率された右腕がいる。
モラン商会には豊富な物資とコネクションがある。
そして、モラン商会には今、奴がいる。
黒煙を切り裂くものが4つ。
2週間という期間は長く、だが、大規模なことを成すには短過ぎる。
そんな中で、この日のために用意したものがこれだ。
「突貫工事だ。2週間大したものは出来なかったが、許してほしい。」
命を刈り取る形をした大鎌
心臓を問答無用で貰い受ける長槍
百の敵を薙ぎ払う大太刀
太陽と見紛う存在感の片手斧
急造。しかし、自称そこそこ天才の発明家にして他称天才発明家、ジーニアス=インベンターが造り上げた急造の魔法の武器である。
少女の細腕では到底持ち上げることすら叶わないそれらが、黒煙を切り裂き、シェリー=モリアーティーの背後で浮き上がり指示を待つ。
携える者はいない。だが、それは指揮棒に応えるオーケストラのように秩序の元、動き出し、虚空で構えた。
「ダンスはお嫌いですか?」
『五重装』
『五重奏+武装』
詳細は後々紹介しますが、登場はもっと後の予定でした。
しかし今回、興が乗ったのでβ版での登場をさせました。
五重装の奏でる葬送曲で踊り狂いなさい。




