準備、準備、準備
フードで顔も身体のラインも隠れていました。
こちらが炎上させたにもかかわらず、無言で不動。一般的な人間の反応としては不自然が過ぎます。ですが、だからこそ。
「好都合です。」
H.T.起動。
アルコールで焼けたままの排除対象を縛り上げて……
『身体強化』
投擲、しかも出来るだけ遠くへ。
「場所を変えます。教え子の晴れ舞台に我々は必要ありません。気付かれるものですか。」
この決闘に我々はそもそも登場しなかった。彼らが自分達の信念と情熱を燃やした。その結果があの場にある。
それまでの過程に第三者の介入や干渉、邪魔があってはならないのです。
ましてや、そもそも最初から仕組まれていた……なんて事実は、存在してはいけないのですから。
モンテル=ゴードンの決闘指南を拒否したその日、私の部屋の扉は叩かれました。
「シェリー=モリアーティー先生。どうか、どうかモンテル様へ決闘の指南を、お願いいたします!」
涙目で必死に懇願する姿に、嘘はありませんでした。
彼の振る舞いは浅慮ではありました。しかし、カテナさんへの思いが全く無かったとは言えません。だからこそ、私の助力が得られないことについて、何も言わないのでしょう。
カテナさんのことも思うと『手伝いたい』というのが本心です。しかし、出来ないのです。私が手を貸すことは出来ないのです。
それは彼に反省を促すという意味だけでなく、奇妙なお茶会を調べる上で私が調査をしている、私が関わっているという事実を誰にも悟らせないようにするためにも必要なことでした。
私は今度の茶会に直接触れずにいる。誰から見てもそうあらねばなりません。
故に、私は彼女に提案したのです。
「私は直接関わりません。ただし、彼に臨時の家庭教師をつけることと、貴女に力を貸すことなら出来ます。
そして、貴女に力を貸す場合、努力をしてもらう必要があります。よろしいですか?」
「是非、お願いいたします!」
そこで、私は茶会の準備に際して、調査の他に二つのすべきことを追加しました。
一つは、レイバックさんの姿を借りて彼の決闘の準備を手伝うこと。
レイバックさんに許可を頂き、彼の真夜中の特訓にあくまでアドバイザーという形で参加し、一つだけ武器を贈りました。
そしてもう一つは、カテナさんのリベンジ。
不自然な点があったとはいえ、私がもっと彼女を美しく魅せることができれば、結末は変わっていたのかもしれません。
ならば、今度は徹底的にカテナさんを輝かせましょう。
付き添いのメイドだなんて思わせないように。
彼女が借り物の虚飾ではなく、己の美貌を煌めかせ、装飾はその美貌を飾るように。
姿形に加え、振る舞いもより洗練されたものになるように、私の知る全てを可能な限りお伝えしました。
そうして当日。
様々な方々に成り、調査をして、幾つかの好からぬ企みを取り除き、今、最後の仕上げをしている最中です。
カテナさんの振る舞いは正に貴人のそれ。誰も彼もが彼女に目を奪われていました。
彼の振る舞いは危ういものではありましたが、相手を思い、その上で自分の信念を通す強さを証明しました。
あとは、私だけです。
リアクションありがとうございます。お陰様で2100になりました。
マルチタスクが本当に苦手なので私はシェリー君の真似は出来ません。やれと言われた段階で逃げます。




