勝者への称賛と
崩れ落ちるシソーデ=ダイエイト。
見届け人の宣言。
ヤヤーナの声が耳に届かぬまま、何とか立ち上がろうとするモンテル=ゴードン。
それらを見た観客席は割れんばかりの万雷の喝采と賛辞の嵐だった。
よくある未熟な若人の諍い。蓋を開けてみれば未熟故の若さ故の勢いに、熱に、溢れていた。
「まだ、まだだ。」
しかし、そんな喝采も賛辞ももう耳に入っていない。
ふらつく足と頼りない腕を頼りに立ち上がったモンテルは未だ闘おうとしていた。
「まだ……まだ……」
ここに来て限界を迎えた。
崩れ落ちてそのまま真後ろに倒れる。
ヤヤーナが駆け寄ろうとするが、間に合わない。
「モンテル様!」
勝者を抱き止めたのは赤いドレスの麗人……彼のメイドたるカテナだった。
「モンテル様、しっかりして下さい!」
朦朧とした意識の中、声に引き戻されて、我に返った。
「あれ、カテナ?カテナ⁉どうしてここに?ていうか、なんで?その服……」
「このカテナ、貴方様の勇姿をしかと見届けました。立派でした、モンテル様。」
ドレス、装飾品、化粧、振る舞い。どれもこれもどこかの貴族の子女の様で、カテナを知っている者でも一目では気付けないほどの変貌。
「……きれい。」
ちなみに、モンテルは今、飛びかけた意識が戻っているだけで、決して冷静ではない。
だからそんな言葉が飛び出てしまうし、カテナはその言葉に如何受け答えをするかまでは習っていなかった。
「そ、そ、そんな………勿体……ありがとう、ございます。」
ドレスに負けない赤。赤らめた頬を隠しながら、涙で潤んだ目でモンテルを見た。
そんな光景が繰り広げられたのは決闘の舞台で、当然丸見えな訳で……
「え、なにあれ?普通にうらやましいんじゃが?こっから飛び入り決闘してあの男殴ってもええか?ええよな?」
「バカ言わないで下さい。いやぁ、見かけた時に見かけない綺麗な方だとは思いましたが、まさかメイドさんだとは……メイドに随分と良い恰好をさせますね。ゴードン家は資金力から違いますねぇ。他も見習ってほしい。」
「ん、何言っとるんじゃ?パッと見だと確かに良い恰好じゃが、さほど金はかかっとらんぞ、あの娘。」
「えぇ?そうは見えませんけど?」
「じゃろうな、お前服とか飾りとか化粧とか髪型とか見とらんじゃろ。モテんじゃろ。切りやすそうな首じゃなーとか、良い骨格じゃなーとか、そんなことばっかじゃろ?」
「そんな、ことは、ありませんよ!」
「全て察した。ありゃぁそこまで金はかかっとらんが、見せる、そして魅せる方法を熟知しとるプロの仕業じゃな。このワシの目を以てしても、凝視してやっとそれに気付く程度じゃもん。
物より腕の方が高いぞ、ありゃぁ。」
「誰がやったんでしょう?」
「さぁの。興味があるなら後で聞いてみるとよかろうて。」
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