表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1795/1840

若人達の決闘の結末

現在連投稿中です。お気を付けください。

 立ち上がる両雄に観客席は沸く。

 魔力は枯渇している。

 爆風で全身痛まないところはない。

 武器も爆風で飛んでいった。

 立っているものやっと。

 しかし、闘志の火だけは未だ消えていなかった。


 ふらふらと立ち上がり、互いに相手の元へと向かう。

 息も絶え絶えの中、シソーデ=ダイエイトは息を吸って、問いを投げかける。

 「改めて、君の名前を聞きたい。」

 答えるのも億劫。そもそもモンテルにはそんなことをする余裕は無かった。

 けれど、その目を見て、ふざけているわけではなく、答えるべきだと思った。

 「モンテル=ゴードン。」

 「ありがとう、モンテル=ゴードン。

 俺の名前は、シソーデ=ダイエイトだ。」

 「知ってる。」

 「一つ聞きたい。何故、一人逃げずに俺を助けた?これは決闘だぞ。」

 とても重要なこと。それの答えを知らねばこれより先へは進めない疑問だった。

 「……そんな勝ち方しても、意味が無い。カテナが悲しむから。」

 これは、モンテルの闘いであり、カテナのための闘いだ。


 『貴方はカテナさんを見ていませんでした。貴方が見ていたのはカテナさんではなく、カテナさんの為に怒る自分。貴方は義憤で酔っていただけです。』

 その言葉が未だ刺さっている。前の茶会での浅慮の結果、カテナを悲しませた。

 もう、悲しませちゃいけない。


 「そうか……闘う理由が解った。

 だが、俺も妹を悲しませたくない。勝たねばならない。そちらの事情がなんであれ、俺が勝つ。」

 「違う。勝つのは、ボクだ!」


 精緻な魔法や強力な魔法は無い。

 大胆な戦い方も堅実な戦い方も無い。

 二人の若人が、立つのもやっとな状況で、互いに歩み寄り、弱々しい拳を振り上げ、相手に振り下ろす。

 互いに満身創痍で腑抜けたそれら。しかし、それまでを見ていた人々はそれを決して嗤いはしない。

 互いに限界を超えて絞り出し、それでもなお立ち上がり、最後まで自分の信念を突き通そうとするその心意気は、心を打った。


 無言で、眠くなるほど鈍間な拳で殴り合う。

 当たる拳。相手が倒れそうになる中、自分も足元がおぼつかない。

 殴り返す拳。相手が倒れそうになり、自分も反動で引っくり返る寸前。

 互いの拳を避けることは出来ない。

 互いの拳で相手を倒すことも出来ない。

 どちらが先に膝をつくか、それだけのこと。

 歓声が最大級に響き渡る。

 その中で一際大きな声が聞こえる。

 一つは劣等感と愛情入り混じる妹と、忠実なメイド達の声。

 もう一つは、自責の念から家庭教師の部屋の扉を叩き、ドレスと貴人の振る舞いを纏ったメイドの声。

 その声のためだけに、両雄は最後の一発を相手に喰らわせた。

 直撃。

 直撃。

 互いの反動で、後ろに倒れそうになり……

 シソーデは耐えた。

 モンテルは吹き飛び、地面に倒れる。

 観客の半数が息を呑み、観客の半数が歓声を上げた。

 「モンテル様……」

 ところで、この決闘のルールを覚えているだろうか?

 この決闘には勝利条件が明確に定められている。

 『相手を気絶させるか、降参と言わせれば勝利となる。』

 気絶させるか、降参と言わせるまで、勝利にはならない。

 倒れただだけでは敗北にならない。

 「まだ……」

 モンテルに降参の意は無い。戦意は失っていない。だが、体力が尽きて立ち上がれない。

 「…………」

 シソーデに降参の意は無い。立ち上がるならまた倒す気でいた。

 だが、もう意識を保つことさえ出来なかった。

 崩れ落ちた。

 今のが、シソーデの最後の一発だった。

 もう、立ち上がることはなかった。


 「ヤヤーナ=リバルツはこの決闘茶会を見届けた!

 この決闘の勝者は、モンテル=ゴードンだ!」


 7:20投稿は、本日はお休みにさせてください。おやすみなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ