表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1632/1756

積み重ねが生み出した変幻自在の戦い

 『H.T.変形』

 盾の形が歪み、潰れ、変わっていく。

 「先陣は私が切ります。

 レイバック様は援護を!」

 走り出す。その手には身を守る盾から鎧を切り裂く大剣に変形したH.T.が握られていた。



 H.T.は元からその形をしている武器と比べると性能で劣る。

 槌はこれより重い、

 剣はこれより堅い

 槍はこれより鋭い。


 前に使っていた盾もそうだ。

 瞬間的に魔法で強度を底上げしているから弾丸を止められていた。が、本物に比べて矢張り貫くのは易い。

 それでも、このH.T.は優れている。

 多種多様な性質のものを一つで再現して行使できる点もそうだが、これはいつでも自由に形を変(・・・・・・・・・・)えられる(・・・・)


 「構えはサマになっている。武器の選択も正しい。だが甘い。」

 ナイフを構えて振り下ろされる大剣の軌道を反らして近距離戦に持ち込む。

 武器の間合いは不利でも体格と技量で勝てると判断した。

 『H.T.変形』

 ナイフに衝撃が走り、それが腕に伝わり肩まで痺れる。

 小娘の手に握られた大槌によって(・・・・・・)

 「!?」

 危険を感じて後ろに下がる。なんだ?さっきの大剣はどこに?大槌は一体どこから出てきた?

 大槌を腰に付けるようにして構える。それはまるで槍を構える時の所作に似て……

 『H.T.変形』

 大槌が突き出される。

 今、大槌の間合いの3歩外にいる。これなら攻撃は届かない。魔法を使う様子はない、使ったとしても、この距離なら十分対処出来……

 「ぐぼぉぁ…………」

 貫通はしていない、だが抉られるような痛みが脇腹に走った。

 手足が硬直し、動きが鈍る。だがこのまま動かない方がまずい。

 痛む脇腹を無視して更に足を後ろへ、そこでやっとその全体像が露になった。

 大槌はどこへやら、今、小娘の手には槍が握られていた。

 抉ったものの正体はあの槍か……。

 いや待て、おかしい。

 「何処に、それだけの武器を隠し持っていた?お前は武器商人か何かか?」

 大剣、大槌、槍。よりにもよって隠し持つことが困難極まりない武器を3つも連続で使ってきた。

 だが、小娘が今持っているのは槍だけ。大剣と大槌は見当たらない。

 「隠し持ってなんていません。そして、今の私はこの家の家庭教師です。更に言えば、生涯武器商人になる予定もありません。」

 槍先を向ける。

 槍相手にナイフ2本は部が悪い。だがそれでも勝てる自信はある。なのに、嫌な予感は拭い切れない。

 「来ないのですか?であれば、拙いですが私の槍捌きをお見せすることになりますよ。」

 「ふざけるな、小娘の槍相手に負ける程落ちぶれちゃいねぇ!」

 『身体強化』・『強度強化』・『気流操作』

 足を蹴り上げ前へ。後ろからの暴風で更に前へと吹き飛ぶ。

 槍は間合いが怖い。だが小娘の槍は人の背丈程。その優位ならこれで十分に潰せる。

 槍は間合いの内側に入れば怖くなんて……


 小娘が上段から思い切り降り掛かる。

 その手には先程の大きく分厚いそれとは違う長剣が握られていた。


 前にこの戦い方、やったことがあるような?ないような?気のせいですかね?

 もしそうなら、申し訳ありません。


 評価とブックマークありがとうございます。夏の暑さに沁みます。

 皆様、今年の夏もまた熱いのでお気を付けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ