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赤白の盾と手裏剣

 投稿遅れて申し訳ありません。



 距離が縮まる。

 順調に順調に、狙撃手との距離は近付いてきた。

 「………………正確ですね。」

 飛んでくる弾を捌きながら称賛の言葉を口にする。

 「同じ場所を的確に正確に狙う。確かに正確ではあるな。」

 正確な狙い、多いに結構。

 たが、頭痛と共にこんな言葉が頭の中で紡がれる。

 『正確さを誇る狙撃手(スナイパー)は二流です。

 狙撃手は早撃ちのガンマンではありません。

 気に入らなければ銃や弾を選び直すことが出来て、気付かれなければ相手に撃ち返されることもなく、好きな時に、最高のタイミングで撃てる……それが狙撃手。

 それだけの条件を整えて、正確に当たらないなんて考えられない。

 狙撃手は『的確』や『正確』ではなくなんとしてでも『絶対』に標的を仕留めるもの。

 最先端医療も、忠臣の命懸けの献身も、急所を外れる偶然も起こらない絶対の死神、それが狙撃手です。』

 傲慢で無茶苦茶な理論が紡がれる。

 だが、狙撃手として、ガンマンとして、自分が最高峰であることを、その理論が正しいことを『積み上げた死体の山』で証明して見せた男が頭の中の稲妻の向こうで堂々と言っている。

 「言っていたな。『この手の輩は鼻持ちならない天狗か、あるいは罠を仕掛けている漁師だから気を付けるように』……とね。」

 「どうかしましたか?」

 「いや、油断していると撃たれるから気を付けろという話だ。

 気付いているのだろう?」

 「えぇ、そうですね。

 ただ、具体的に何があるのかは、未だ何とも……。」

 読み切れてはいない。

 それなら、話は簡単だ。

 「君にも読ませていない手札があるんだ。

 相手の手札がどこまで強いか互いに知らない互角状態。

 やることは一つ。その未知をうまく使って相手を欺く。それだけだ。」

 「簡単に言いますね……」

 「出来なければ家庭教師が滞る、それだけだ。」

 「やるしかありませんね。なら、少しだけ演出いたしましょう。」

 弾丸を弾きながら踏み込む。

 右へ、左へ、速く、遅く、変則的な歩法で走り出す。

 先程まで弾かれていた弾丸が、シェリー君が既に通り過ぎた道を撃つようになった。

 追いついていない。

 弾丸を追い抜き、射程距離に入った。

 『赤白の盾(ブラック・シールド)

 手元の薄い盾が欠けていく。違う、盾が折り畳まれていく。鉄板の様に堅牢なそれが折り畳まれる様はペーパークラフトにも見える。

 「『変形 大手裏剣』」

 盾が瞬く間に様変わる。形状は十字架が最も近い。だが、十字架の先端は薄くて鋭利な刃物ではない。

 『手裏剣』、とある地域の密偵達が使っていたとされる投擲武器。

 そしてその地域の子ども達が正方形の紙を使って作るペーパークラフトとしても有名だ。

 「避けて、下さいね!」

 『身体強化』

 巨大手裏剣が木の上の狙撃手に向かって投げられた。



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