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コックと少女の奇妙なタッグ

 撤退するか?

 難しそうだな。

 コックは堅気じゃない。

 不意討ち自体に気付いてはいたし、手強い。

 そして、トドメとばかりのあのガキ。あれは不味い。危険だ。

 こっちの不意討ちを防いだ。修羅場慣れしている。

 入り口を見張らせておいたのに、無傷でここ来ている。見張りが居眠りでもしていない限り、一人倒してきたということだ。

 この状況で表情一つ変えないという胆力はこの年齢で異常が過ぎる。


 そして何よりも、気付けなかった。

 こんな開けた場所で、夜とはいえ月明かりの中、不意討ちを防ぐまでそこにいると気付かなかった。

 使い手として純粋に脅威だ。

 「先程の方といい、そちらの木の上に居た(・・)方といい、幻燈の魔法を使うということは、相当の使い手なのでしょう。

 たとえそれが使える魔道具を持たされていただけだとしても、それだけのものを渡すに値する実力を持った、信頼された方ということになります。

 出来れば穏便にお帰り願いたいのですが、如何でしょう?」

 そう言いながら投げた盾を回収している。逃がす気は無いと言っているようなものだ。

 当然……

 「押し通る!」

 ナイフを構えて最短距離を突き進む。そもそも手ぶらで帰る気は無い。

 「……」

 小娘を庇うべくコックが前に出ようとして制止させられていた。

 「こんな小娘相手に無粋が過ぎますよ。」

 盾を置いた。そして……消えた。

 「!」

 「ナイフ、仕舞って頂けますか?」

 違う、急加速して動いただけ、後ろ……

 「に………ごばぁ………ぅ゛」

 胴体に重い一撃を貰った。だがそれは小娘の拳じゃない、正面からだ。

 「美女ばかりで俺は無視かい?」

 猛禽類の様な鋭い目の男がニッコリ笑った。

 「そんな風に言われたのは初めてです、レイバック様。

 では、私はもう一方にお帰り頂くので、お願いいたします。」

 「いいとも、気を付けて。」

 互いに手を振る。そうしている間に弾丸は飛んでくるしナイフは飛んでくるが、それはそれとして手を振った。

 「この……」

 「招かれざる客が何を言っても無駄だぞ。文句言わずに喰らっときな。」

 ナイフの刃に触れないように捌き、打撃を確実に当ててくる。

 腕の長さはほぼ同じ、ナイフ分こちらの方が長い。だが距離を詰められるせいでそのアドバンテージが潰されている。

 玩具じゃない。殺す為の道具を前に冷静に対処してくる。

 「お前がコックだと?ふざけるな!」

 「ナイフにビビってちゃコックは務まらんのさ。」

 最初の一撃が響いている。

 後ろから重い金属音が響く。

 援護は、期待できない。

 「なめるなぁ!」



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