モリアーティーの書評7
・『冒険家イエスタの日記』
著名な冒険家、イエスタの日記。冒険家の日記ということで、手に汗握る冒険小説の様なドラマチックな内容になっている。
だが同時に日付や場所、食べた物や出会った人の名前までしっかり記入されて整った文章なので、資料としても価値がある。総じて、それなりに読めるものになっていると言える。
だが、そうだな……これはそれなりに読める代物だが、私の望むものではない。
この日記には、意図的な『空白』がある。
と言っても、日記の日付が露骨に飛んでいるなんて事はない。そこに記された内容も自然なものだ。これ単体なら、そこに嘘は見られない。
だが、著名な冒険家イエスタの動向は後年にも伝わっている。そして、彼の著以外に些細だが、情報が点在している。
例えば、『ラレンツィオシリーズ』の著者はイエスタの実体験を下地に描いた作品が幾つかある。
イエスタの日記とラレンツィオシリーズを照らし合わせる。すると、不思議なことが起きていた。
『イエスタの冒険話を聞いて、そこから着想を得た。』と後書きに記載されているラレンツィオシリーズよりも、その著書の内容に対応すると思しきイエスタの冒険の方が時系列的に後に行われている事があった。
露骨に食い違っている訳ではない。が、取材をしたラレンツィオシリーズの著者が物語を書く時間を逆算すると、どうしても食い違う。
日記の日付を入れ替え、日常の何事も無かった日々を気付かれない様に増やして出来た、空白の時間がある。
そんな風に冒険の時期を偽装して、空白の時間を半年単位で作って、その間、イエスタ、君は何をしたのかね?
・『【閲覧注意】呪詛・解呪秘伝』
文字通り、呪いのかけ方、解き方について書かれた一冊。
呪詛・呪術というものは元々知っている。だが、それは御伽噺や噂と密接に繋がった非現実的なものだった。
呪詛・解呪は『魔法で解明し切れない人を蝕む原理不明の手法』として実在している。
呪術はそれを専門に扱う呪術師というものがいて、その手の人種は秘密主義で、原理は明らかになっていない。
貴族が貴族を呪って病で侵して失脚させる、呪いをわざと使わせ、それを返して正当防衛を装う……。そんな風に頻繁に使われているから、こうしてなけなしの情報をかき集めただけの書籍が出来ている。
まったく、是非研究させてもらいたいものだ。
・『海に消えた巨人』
小説ではある。だが全てが空想という訳でもない。
この小説に出てくる海を荒らす巨人には原典がある。
『海の向こうに巨大な影が現れると、その後海が時化る。それは海の中に住む巨人が暴れたからだ。』という、伝承があるのだ。
そして、『海の巨人』と呼ばれるこの現象、決定的なコレという原因が未だハッキリしていない。
・『■■■の■■■■』
我々はとある■■の■に■■、■■れたエリアで■■た■■を見つけた。
それは■■のあるそれではなく、明らかに人の■で■ら■たもの。
■■の■■を超越したそれは■■、■■■■■■はわからない。だが、恐ろしい■■に■■ために■■れたことだけはわかる。
我々が■■ようとすると、それ■■■■■■■■、塵に■■て消■■し■■た。
■■から他の■■りは見つからなかった。だが、■■■■人の心■■、その■■を■の■から見つけ出した。
■■学者や魔■■■■に訊けば大きな■■■■なるかもしれない。
■■学者は言った。 『これは■■■■の■■であるが、似たようなものさえ見たことがない。』と。
『だが、相当に■■■■である。自分も知らない■■■■■■があるのかもしれない』とも言った。
■■■■■は言った。
『これは■■の■■■ではない』と。
『どころか、これは■■■■存在しない■■の■■で■■■■る。』と言った。
我々は、大変なものを見つけてしまったようだ。
それはほとんど読めない。薬品でも火でもないものが、記された文言のほとんどを喪わせていた。
だというのに、その本の表紙には大きくこう書いてあった
『この本を喪わせてはならない』
これにて、書評は終了!虫食い書の内容は、なんでしょうねぇ?
そしてリアクションを沢山いただきまして、ありがとうございます。




