愉快なゴードン家の当主達を紹介します。(感想で火が点きました)
『ブクーム=ゴードン』
本の虫。読書依存症。
近代の国立図書館の創始者の一人にして出版業界の仕組みを整えた本を愛し本に愛された人。
本依存でありながら、読む人のため・書く人のための環境を整えた理性ある狂人。
自分が読むために環境を整えたので自己満足が社会的に上手くいった典型的な例だ。
「この書庫のひな型を作った方です。
書籍の流通だけでなく、読者の絶対数を増加させる目的で識字率を上昇させた知の巨人とも呼ばれています。」
『レヴォン=ゴードン』
稀代の小説家。
貴族としての能力は並とされていたが、生涯で書いた小説の数は489冊。ジャンルは様々だがいずれも大人気。貴族達はその様を嗤ったが、結果は陰で語っていた。
小説に感化された人々がそれを糧に夢を叶え、各方面で活躍を遂げた。
夢をたくさん与えて、夢を叶える力をたくさん貸して、空想の夢を単純な現実にした大人物。
「この方の作品を読んでその道で大成した方々からの手紙が山ほどあります。それらをまとめた一冊がこの書庫の奥底には眠っています。」
『ブモーブ=ゴードン』
発破解体研究者。
落石やトンネル工事、建築物の解体などに使われる発破解体専用の術式を幾つも作った天才魔法使い。
用途・規模・破片の大きさ・破壊時の音量・爆発時の色までも調整可能なその精緻な術式は芸術と呼ばれている。何より……
「術式の安全装置が爆発に関わる部分と巧みに融合されており、取り外し出来ないようにしたことで、事故の防止・悪用の防止までも考えて作られた点が評価され、術式は今もなお各方面で使われています。
ただ、料理は苦手だったそうです。」
捕まらずに大手を振って逃げ切った偏執的な爆弾魔というわけだ。
『料理が爆発しなくなる方法』・『魔法爆発の指向性変化術式理論』の持ち主は判明したな。
『ヒタマス=ゴードン』
生物学の研究者にして飼育者。
その分野の最高学府ではテストで人名に迷ったらその名前を書けば6割当たると言われた有名人。
「大馬の飼育・繁殖は彼の晩年の趣味だったそうで、こうして今も続いています。」
『上手な大馬の育て方』の著者。『危険認定魔界植物研究』・『魔界生物読本』の著者ではない。
『アデッセア=ゴードン』
考古学者にして冒険家。
屋敷のベッドで寝たのは赤子の頃だけと言われており、人界の地図を大きくして値上げをさせた犯人、最も多く地図を書き換え加えた冒険家、地図出版業界の永遠の怨敵と名高い。
「冒険から帰ると奇妙なお土産が持ち込まれ、子どもを冒険に連れていこうとするので執事とメイドは頭を抱えたという話を伝え聞いております。」
『魔界大歴史記』『天空城考察』
『盗掘記』・『魔●伝説』・『音楽都市地図』・『黄金海水質調査報告書』・『冒険家イエスタの日記』……この辺りの持ち主か。
この家の歴代当主はあまりにも己の欲望に忠実過ぎる。御貴族の皆々様がお好きな『伝統』というものに対して真っ向から中指を立てている。
それでもゴードン家が力のある家であるのは、それぞれが一代でそれなりの結果を残しているからだ。実力があり、結果を残す。だから文句は言わせない。
だが、あまりにも統一性が無さ過ぎる。
「だから良い。
多様で多彩。減数分裂する生き物が多様多彩を拒否したらタチの悪い笑い話だ。
これだけあれば、いくらでも家庭教師の役に立つ。」
「そうですね、今更です。であれば、今はより良い資料を探しましょう。」
眼鏡を掛けたまま、虚空を指でなぞった。
本のタイトルでボケていたら感想がありました。
火が点きまして歴代当主が生えました。
やりますか……書籍の設定追加!やったら言います。




