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それぞれの新天地へと6

 子ども達は未だ染まっていない。

 子ども達の前には未知が広がっている。

 子ども達は自分で歩き出す。


 【スバテラ村にて】

 「魔法!魔法使い!」

 「どうやって?魔法使える人いる?」

 「魔法使いは村にはいないですます。町のお客さんに教えてもらうのが一番ですます。」

 スバテラ村の子ども達、アル、ベーター、チェルシーは考えていた。

 『『『お姉ちゃんにまた会いたい。』』』

 その為にどうすれば良いか?

 そうして思い至ったのは魔法だった。

 「魔法使える人は偉い!強い!カッコいい!」

 「偉いくて、強くて、カッコイイのはお姉ちゃんに会えます?」

 「わかんない!でもカッコいい!魔法使いになりたい!」

 「アル君、答えになっていないですます。」

 「チェルシー君はなりたくない?」

 「ハイハイハイ!なりたいなりたいなりたい!魔法使いなりたい!」

 「なりたいですます……」

 「へー、魔法使いにねぇ。良いじゃないの。」

 子ども達の話に入ってくる者がいた。長身の老紳士だった。

 立っている子ども達と同じ目線になろうと(かが)んでなお2倍以上ある長身。だが異様に細いその体躯は彼を実際の数値ほど大きく見せない。

 身なりは整っていて、身に着けているステッキや帽子、眼鏡も上等なもの。一流の人間が一流のものを身に着け、その風格が際立って見える。

 「誰ですます?」

 「通りすがりの大魔法使いさ。君達が楽しそうに話をしていたものだからつい聞き入ってしまって、ね。」

 「大魔法使い!凄い!何出来るの!見せて見せて!」

 「それはもう色々と出来るよ。少しだけなら……ほら。」

 か細い枝の様な細い指先が虚空に描く。

 何をしたのかと思えば、描いた軌道に宙を跳ねる犬や猫が現れた。

 「わぁ!すごいすごい!おじいちゃんも魔法使いだ!」

 「お姉ちゃんみたいにドラゴン出せる?」

 「お姉ちゃんの魔法に似てるですます。これって、触れない偽物ですます?」

 三者三様の反応。目を輝かせた辺りは概ね老紳士の予想通りだった、けれど。

 「お姉ちゃんの魔法?」

 「そうですます。お姉ちゃんが遊んでくれた時に使った透明の魔法と同じ魔法みたいですます。」

 眼鏡の奥で目が光る。

 「へぇ……それってもしかして、こんな魔法かな?」

 『幻燈』

 老紳士の姿が急に消えた。

 「おじいちゃん消えた!」

 「見えないだけですます。多分いるですます。」

 「おじいちゃんここかな?」

 3人が見えないながらも見えない老紳士を捕まえるべく手を伸ばす。が、その小さな手が彼を捉えることはない。

 「惜っしーい、けど残念、上だよ。」

 彼は宙に浮いているのだから。


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