残る後始末その8-15
ショーマス=ゴードンは淑女の依頼で来ている。
依頼の内容は大まかに生徒の行動や言動の調査。
そして、条件として『自分の正体を明かさないこと』・『買収の提案があれば即時報告すること』というものだった。
それはつまり、調査をして身分を明かさず買収もされなければ、並行して私用を遂行しても良いと解釈出来るのだ。
「では報告します。
結論から言って、スバテラ村におけるシェリー=モリアーティーの行動を『淑女的である』と完全に断じることは難しいと考えます。」
トランシア=バックドールは歪な笑顔を浮かべた。
イタバッサは表情一つ動かさずにいた。
「……一見すると、この村や町の状況は著しい発展を遂げたと言っても過言ではないでしょう。
しかし、貴方の結論は表面的に見た私の判断とは違うようです。
その結論に至った経緯を説明して下さい。」
商人に睨まれると思った。恨まれると思った。しかし一見してその様子は見受けられない。
余程感情を殺すのが巧いか、それとも諦めて結果を受けているのか、それとも……いや、それは今関係の無い話だ。
「まず、この村の怪物騒ぎの元凶から話しましょう。
あれはこの辺りの地下から漏れ出すガスによって酸欠が起きたものと結論付けられました。
この村が街道より低い位置にあり、ガスが沈殿しやすかった。だから起きたのです。
彼女はそれを調査し、途中出会った発明家のジーニアス=インベンター氏と協力してガスの漏出している場所を特定、」
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